Present
□何処までも越えて
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最近アイツがやけに騒がない。 「前は気づけばそこにいて悪さばっかりしやがって」って思ってたのに、いつの間にか消えていた。あんまりにも不思議に思ったもんだから、一度様子を見に行った。
――あ! アーサーですか!?
――お、お前… なんかデカくなったか?
――そうなんです!! 僕身長が凄い伸びたんですよ!!
その口調には、前のように自分を主張するような名呼びの一人称が消えていた。
その上“野郎”が抜けていた。
――そういえば、急に来てどうしたんですか?
――ぁ、いや その… べっ 別に用があってきたわけじゃねぇんだ! 心配だとか様子見に来たとか… そうじゃねぇからな!?
――アーサーは相変わらずですね
そう笑ったピーターの後ろには小さなダンボール箱があった。
その中から、小さな玩具の戦士の腕が傾きながら少し出ているのだった。
俺は少し、少しだけ…
ピーターに子供のままでいてほしいと願った。
そんな会話が ついこの間のような気がする。