Present

□福は内、鬼も内…?
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―――――…



「ヘラクレスさん、お誕生日おめでとうございます」

テーブルの上にはふわっと真っ白のところに可愛らしい苺が飾られていた


「… 恵方巻き?」


「違いますっ」


菊の慌てように、思わず笑う。

「冗談 ありがとう菊」

「いけない人ですね、もう」


そういえば、ケーキなんてサディクがくれたこと無かったな

「自分の誕生日、覚えてました?」

「んー… 全然」

サディクは今部屋の隅で拗ねている

「サディクさんももうしっかりして下さい だから普通にした方が良いと仰ったのに…」

「なんでい! 鬼は仮面つけるって、菊が似合うって言ったんでい」

「そうでしたっけ…」

その会話が、なんだか嬉しかった。

「サディク」

「な、なんだよ」

「臭いから面被れ」

「生憎今日はコレしかねぇんだよ!」

なんだ、いつも通りのサディクじゃないか
そう思いながらわざと悪態をついてやる

「サディクさんも渡すものがあるでしょうが…」

「え」

「あ」

サディクが思い出したように止まる。

俺に?






「ほら… よ」






それは古い本だった。


「これ…」

昔、俺が読みたくて読みたくて仕方がなかったあいつの記録の本


(本当にあれでいいんですか?)

(昔アイツが欲しいっつったんだ)





「サディク、これ―――…」




「あぁ、お前にやr「これ もう要らん」



二人の間に沈黙が、流れる



「今もう必要ない」


ヘラクレスはふるふると首を横にふった

「んなッ!?」

「――…あらら..」

「でも 貰っとく」



「ッ返せこの野郎!!!」


「いい、貰っとく」


ヘラクレスはサッとその本を後ろへ隠し、二人の様子を見て菊はクスクスと笑った。







福も鬼も、人間とちゃんと仲良くすれば追い出す必要なんて無いんだよな


「返せってんでい!!!」


「無理 貰う」



「さぁ二人共、ケーキ切りましたよ」













俺にとって菊が福、サディクが鬼だとして……






「「食べる」」












つまりはそういう事だ




>>END
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