novel

□よく晴れた午後は一緒にお茶をしましょう
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芳ばしい香りが店の外に迄溢れ出す街角のパン屋

ショウウィンドウに並んだぬいぐるみに目を輝かせながら見ている子供達

古びた本ばかりが並び、軒先では店主が椅子に腰を掛けうたた寝をしている本屋

街行く人達は何時も笑顔に満ちている

そんなごく日常の風景が今の自分には歪んで見える


あぁ、苦しい

全てが汚い


どうしてこんな風になってしまったのだろうか


分からない・・・


雲一つ無い青空の下、太陽の光に反射して街も人も眩しい

ただ、自分だけが違う世界にいるような・・・

そこに存在する事を許されていないような・・・

考えれば考える程、思考回路が壊れていく


そして目の前が暗くなった


頭に乗せられた重みに手を伸ばしつつ振り返る


ブロンドの髪に青い目が良く映えた青年が此方を見ている

「なに辛気臭い顔してんだよ」

そう言い、頭に乗せられた重みを取られ彼が被り直した

「・・・相変わらず趣味の悪い帽子だね、ダントン」

言った瞬間に彼の目が細められた

「心配して声を掛けてやったのに、第一声がそれかコノヤロー」

心配される程暗かったのだろうか

「お前どうせ暇だろ?少し付き合えよ」

そう言い、まだ付き合うとも何とも答えていない自分の腕を引っ張っり歩き出した

彼は何時も他人の意見を尊重せずに行動する

ただ、人を振り回す時の彼は何とも楽しそうだ

そんな彼に連れて来られたのは小洒落たオープンテラスのカフェだった

「カフェ?」

今の自分はとてもそんな気分にはなれない

「男が一人でカフェとか寂しいだろうが、だから付き合えよ」

その言葉と自分を残して適当な席に着いた

彼が遠い


また取り残されてしまった・・・


何となく頭に過ったその思いもきっと彼には関係の無い事なのだろう

重い足取りで席に着いた頃にはもう注文を済ませた彼が空仰いでいた

「お前の分も注文しといたから」

此方を見ることなく彼が言った

「ありがとう」

心にも無いお礼を言い、グラスに注がれた水を口に含んだ




暫しの沈黙が二人を包んだが、心地悪い沈黙ではなかった

暫くしてから、ティーポットに入った紅茶と生クリームを乗せたシフォンケーキが運ばれて来た

先程迄空を見つめていた彼の目はケーキに釘付けになり輝いていた

「俺さ、ココのケーキが一番好きなんだよね」

そう言い、満面の笑みでケーキを頬張る

自分は紅茶に砂糖を入れかき混ぜながら何となく訊いてみた

「何で僕を誘ったの」

唐突の質問に少し間が有った

「そこにお前がいたから?」

何故疑問符が付いたのだろうか

何食わぬ顔で此方を見つめている彼がひどく幼く見えた

人が何を考えてどんな心境なのかなんて知りもしない彼の目を見つめていると少し気持ちが晴れた気がした

何故なのかは分からない

ただ、今、彼に何を言ったとしても全て受け止めてくれそうな、そんな淡い期待が波として押し寄せて来る

「もしも、」

彼が食べる手を止める

「僕が」

「殺してやるよ」

まだ言い終わらないうちに彼が笑顔で言葉を重ねてきた

彼には人の言わんとする事が分かるのだろうか

ただ、そう言って貰えたのが少し嬉しくて口元が緩んだ

「ありがとう」

今度は心からそう言えた気がする



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はい!初小説書き終わりました\(^w^)/

設定はですね、
ロベスピエール:10代
ダントン:10代
二人共まだ学生

表紙に微病って書きましたが、あれはロベスピエール自身が微妙に病んでいるって事です!
文章からは全然伝わってきませんね;;;
スミマセンm(_ _)m

次は明るい話を書こー


 

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