恋病棟
□プロローグ
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私は自分の後頭部に触れた
直径8p程、いささか髪が短い部分がある
一年半前、頭を打ち、用心のため検査をした結果、脳に腫瘍が発見されたのだ
幸い良性だったが場所が悪く、脳を圧迫していて、その影響で一時的に目が見えなくなった
不幸は続き
目が見えなくなって二ヶ月を過ぎた頃に階段を踏み外して転げ落ち、背骨にヒビがはいってしまうという………なんであの時、チョコバーが食べたくなったんだっ!?私の馬鹿っ!!!
さらにさらに
背骨の小さな破片が神経を傷つけ両足が不自由になった
「個人差はありますが、三年程のリハビリで元通りに歩けるようになりますよ
(^ヮ^)ь」
我が高校生活よ、さらば(Ωд*)
目が見えなくても、声でどんな顔をして言ったかが想像できる
さらに私をどん底へ叩き落としたのは、それからすぐに、おこなわれた摘出手術…
手術をして一週間後に、目が見えるようになったが、自慢の2.0の視力が1.0にまで下がった
そして、二つの鏡を使い、鏡合わせで手術の傷を確かめた私の目に映ったのはー―‐
巨大な十円ハゲだった…
我が青春よ、さらば(ΤωΤ)
髪はすぐ延びる
解っているが………
アレが人生最大の衝撃だったな
後頭部を見るために、後ろから写した鏡を前から写した鏡には、十円ハゲだけではなく、驚愕に固まる自分の姿が写しだされていた
それを見ていた同室の人達からは爆笑され、その声を聞き付けて来た他の患者さんや看護婦さん達にまで爆笑され、その話しを聞いた医師の先生や、自分の家族、友人にまで爆笑されー―母親に「笑い死にする」とまで言われたよ
二日後には、病院の皆にまで知られていた
ちなみに、看護婦さんや先生達が新しい患者さんに話すので一年たってもその話しは消えない
あの年は私の厄年だね
(=Δ=)
高2生に進級したばかりの私は、これからの出席日数の問題で学校を止め、通信制の学校へ編入した
まともに高校に通えたのは一年間だけだ
通信制だから高校生活も送れず、歩く事も出来ない
しかも、頭には十円ハゲ……
これじゃあ普通に学校に通っていても恋愛の一つもできない
まぁ、一年たってマシになったが
これからも、あと一年は育毛剤を買い続けよう
本格的な歩行リハビリが始まるまで後二週間はある
どう、暇を紛らわそうか?
そう思いながらも私は日課となっている散歩に出た
病院内を車椅子で徘徊するだけだけどね
「あっ、楕円型ハゲの姉ちゃんだっ!」(≧∀≦)
『シャァラァァーープッッッ!!!!!』((☆Ш☆))
あの笑顔で"楕円型"ハゲは酷過ぎるよ(泣)
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