白く、色がない、世界。白だけが広がって、不純色がない。白のパレットみたいな。



そこに足を踏み込んで、足跡をつける。ざくざくざく。後ろを振り向けば、自分の跡がある。ざくざくざくざく。足跡を刻む。



太陽の光が白に反射して、眩しい。目がちかちかする。白がきらきらひかる。足をとめて、手でそれを掬うと、さらさらと溢れ落ちる。質がよい、白だ。



また歩く。ざくざくざく。ふと、白のそれが空から降っているのに気づき、上をみる。ざくざく、はらはら。それは緩やかに地に積もるだろう。今までつけてきた跡も、消してしまう。



ざくざくざくざ…く、足がとまる。視線が下にむく。目に入る、白以外。ちかちかきらきら、それ以外。目を細める。白のそれを蹴る。はらはらと、白が白に広がる。



白につけた跡は、白が消す。白が溶けてなくなったら、白が降ってまた積る。ループ。




白のループもあと少し。白の世界にいた、あの緑もあと少し。




暖かい、春がくるまで、

あと少し。




「阿部!」




暖かい、君がくるまで、




あと少し。
 
 
 
 
 
 
 
 









 

M:阿部くんの独白。君を誰か特定しなくてもいい感じだけど、田島くんがいいなって。雪ね、敢えて雪って言わないようにした、みたいなね、ははん。←

2010/01/06


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