空からはさんさんと雪が降り、また積もり積もる、地面へと。それは白く綺麗なものなのだが自分達にとっては迷惑なばかりで。
「…また、積もんな」
隣でそう呟く相手は野球命のうちの捕手。さも残念そうに喋るため、自分もまたグラウンドで思いきり野球が出来ないことを考えてしまい、自然に息がもれる。
「…また、…積もんのな」
喋る度白く染まった息が舞う。それが空に消えていくのを見届けると、視線を相手に移す。無意識なのか、二度も同じこと言うそれは、相手が野球に対する気持ちを物語っている。ここまでくると末期だ、なんて思う。
「…」
でも、今くらいは自分のことを見てくれてもいいんじゃないかと思う。同じ部活のチームメイトで男同士である自分達だが、世間でいう恋人というものであり。それは好き同士の上でなければ、なりえないこと。それでいて男同士となると、非生産的で認めてもらえる関係ではなく、誰にも咎められることない二人でいる時くらいはと、思うのは自分だけなのだろうか。いつの間にか思考は嫌な方向に向かう。
「…三橋もそろそろ、勝手に投げそうだ、」
な、と相手が言い終える前にどんと相手の肩に自分の肩をぶつける。よろける相手を壁に押し付け、顔を間1mmくらいのところまで近づける。視線が交じる、顔はわかりやすく驚いている。やっと自分に意識が向いたことに口端が上がりそうになるのをおさえ、帰り道についてから初めて口を開く。
「…ばーか」
距離が0になる。合わさるそれは、冷たいくらいで。すぐにはなす。また視線が交じる。
「…誰もいねーし、黙って俺のこと考えとけ」
野球に妬いてる自分は、末期だ、なんて思う。
「…ばかか」
そんな悪態は紅く染まった頬に免じて、許してやろう。
M:なんか、わけわかめ。 某法律番組のチリパの体験談を聞いたら、書かずにはいられなかった。 どんてぶつかるやつ、この文の大事なとこ。w
2010/01/25