道に転がる小石は、誰に想われる事もなく在る。
たまに人の目に映るも、すぐに移る意識と視線。
蹴られ転がり転々と。
何を思う訳でも何に想われる訳でもなく、在るのはただの小石。




あの小石とどう変わるんだろうか、ふと浮かぶ疑問。隣を歩く相手と出会わなかったならば、相手が思う自分の価値のこと。無くても在ってもいい、つまりどうでもいい存在。何も想われない程、つらいことはない。あの小石も、同じなのだろうか。


「あれ、どう思う?」
指の指す先には道端に転がる小石。

「…あれ…って、石?」
不可思議な質問だったろう、不審がる相手。

「うん、石」
そんな相手を構わず、直ぐ様頷く。

「どうって、どうなの?」視線は上、顔は歪め。

「さあ」
自分の目は相手だけを映す。

「さあって…、これってどう答えれば正解?」
頭をガシガシとかきながら、視線は自分に向く。

「知らね」
不満のこもった視線がささる。




「…別に、どうとも思わない」




「どうとも、ね、」




「煮えきらねーてか、つっても…ただの石じゃ、ん………、何、泣いてんの」





ああ、馬鹿な自分。涙が出てしまった。自分じゃないのに、悲しい。ああ、止まらない。頭がぐちゃぐちゃ。ああ、悲しい。情緒が不安定で何をしたいのかもわからない。自分はあの、小石とは違うのに。ちゃんと、目に映ってるのに。それ以上に、何を望むでもなく。ただただ、映らなかった自分、その想像の自分に、何かを想う。この人を想わない自分が悲しくて哀しくて愛しくて。ただただ、愛しい故に思うこと。




「お前が泣いてる、だから慰めて早く笑顔にしたい、でも、何もわからない、俺は、一番にわかりたいのに。俺じゃない誰かはわかってるのかもしれないとか、阿部が泣く前に、それに気づけてたかもしれないとか、すげーかっこわりー事とかばっか考える。今、頭ぐちゃぐちゃで、すごい焦ってて心臓ばくばく、お前がなんか言う度に、いつもいつもいつもいつも、狂っちまいそうで、なあ…、」

――お前は俺をどうしたいの








繰り返される愛の確認。
ただの杞憂だと知りながらも。
ただただ自分を想うお前を見たいだけ。
全部全部全部、愛故だから許して。





小石は蹴られることもなく、ただそこにあるだけ。







































M:はい阿部君病んでまふ。小石とか全部何も関係なくて、阿部君はただ自分を想ってる泉君を確認したいだけ。石とか全然何も思ってないけど、なんか、ねえ?まあ阿部君情緒不安定だから、ねえ?←

2010/04/07


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