※若干ネタバレ
月明かりの下、歩く道は何処に続くのか。何を目的に何を終着地に、考える事はしなかった。ただ、何と無く、外に出て、道を歩いた。いつものように部活を遅くまでやり、明日の朝も早い。身体はもう休ませて欲しいと悲鳴をあげているだろうだが、足は尚歩く事を止めようとしない。ふと意識を周りの風景へと移す。それは、何度も見た景色。深く記憶に残っている景色。道も住宅も空すらも昔と同じだった。思い出したくもない、道と月と――
「…さみ」
隣にいた、人。
あの日、また彼に会った。今度はちゃんと向き合って、普通に、会話を交した。
「今更、遅いんだよ…っ、ノーコンが」
――「 」
謝られても、そんな事言われても、もう遅い。
バッテリーを組めて良かったと思った、バッテリーとして自分達は最高だと思った、凄い投手だと思った、褒められて叫ぶほど嬉しかった、
好きだった。
でも、遅いんだ。全て。
だから、小さく震えている携帯も、とることはしない。
M:阿部君独白。あふた立ち読みした姉から聞いてあれはびびった。榛名さんと阿部君仲直り的な。榛名さんアフォの子だから。わ、やべ、泣けてきた。←
2010/01/05