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□教師が見た彼らの授業参観風景
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本日は雷門中の参観日。
親達はばっちり綺麗な服に身を包み、母親はぎっちりメイクに、父親はびっしりと髪を整え、子供達はいつ親が来るのかとドキドキする日です。
では早速、雷門中のとある教室を覗いてみましょうか。

此処は二年生の教室ですね。
元気そうな子供の声が響いております。
科目は……英語、ですね。
中学二年生とはいうやはり何処かぎこちない発音ばかりです。
では中を覗いてみましょう。

「これを和訳しなさい。 では……鬼道」
教師が指名したのはゴーグルに後ろの座席の生徒の授業妨害にしかなりそうにない、どう考えても変な人ですありがとうございましたな生徒。
皆ご存知、鬼道 有人君です。 通称シスコンです。

見た目変な人、略して変人の鬼道君は優等生の如く立ち、和訳します。

「『そしてユミはジャックに言った。 “男はいつかハゲてしまうのよ、たった一本でも抜ければハゲに近付くわ”』」
どんな文やねん。

おっと、関西から浦部さんが出張してしまったみたいです。
仕方ありませんね。

教師はその完璧な和訳に満足そうに頷きました。
鬼道君は見た目こそ変人ですが優等生の鏡なのです。
ええ、人は見かけではありません。
見た目がまともだからってストーカー要素が無いとは言い切る事が出来ないのです、嗚呼悲しいね。

「流石私の息子だ!」
なんかオッサンが喜んでます。
ええ、皆さんご存知の鬼道家の方です。
養父です、忙しい中ご苦労様ですね。

「流石鬼道だ」
「流石鬼道さんですッ!」
なんか違う学校の人達が紛れ込んでる様な気がしますが気のせいですよ。
ええ、サングラスのオッサンと銀髪で片目に眼帯の子なんて居ません。
『鬼道ファイト』と書かれた看板や、『鬼道LOVE』なんて書かれた鉢巻きも巻いていません、写真がプリントされた団扇も持ってません、何処のアイドルのライブ会場なのですか此処は。
ついでに眼帯の子に引きずられて、目の下にペイントのある長い茶髪の子や将来ハゲそうなデコ丸出しな子なんて居ません。 可哀想に。
 
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