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□教師が見た彼らの授業参観風景
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「さっきから他の子ばかり当てているけど、なんで円堂君を当てないのかな!」
アンタらが怖いからに決まってんだろ、とか教師は言いません。 職業柄。

すると隣に立っていた茶髪の、赤毛の子と全く同じ格好の子が言いました。

「そうです! さっきから別の人ばかり当てて! それでもあなた教師ですか!!」

あんたら何処の学校だよ授業は良いのかよ、と教師は激しく突っ込みたい。
しかししません、教師ですから。

赤毛の子の隣に居た、チューリップを生やしている様な頭の子が凄く同情した目で見てきます。
どうやらまともな子らしいです。
ありがたいです。 是非お友達を止めてあげてください。
しかし更に隣に立った、『絶対零度の闇でも良いじゃない、冷たいもの がぜる』と書かれたシャツを着た(しかも腕捲りをしている)子が大真面目な顔をして言いました。

「バーン、お前の発言のせいで授業が滅茶苦茶だ、自重しろ」

「何も言ってねぇよ!」
まったくですな。

「あの先生」
生徒の一人が手を挙げました。
名前が分かりません。
どうも、他の生徒に比べて地味で普通なので。
 
「これいつもの事だから気にしないでください」

「そうだね、……」
生徒の名前が出てきません。
親の前で名前間違えたら大惨事です。

すぐに思い出した名前を教師は言いました。

「半端」

「先生、半田です」
間違えました。

「先生!」
生徒の一人が手を挙げました。
しかしその服装、どう考えても雷門ではありません。
でも机に座っています。

白い髪のその生徒は、席から立ちました。

「染岡君の出番はいつですか! 僕さっきから録画の待機してるんですけど!」
他校の生徒でしたどうもありがとうございます。

「吹雪のばか野郎……ッ!」
当の染岡君は恥ずかしそうに教科書で顔を隠しています。
そんな顔を微笑みながら、謎の生徒は撮影します。
 
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