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□教師が見た彼らの授業参観風景
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「……黒歴史なんか出されて、大変だな」
まるで他人事の様に溜め息を吐いてますが風丸君、君の足元に隠れて居る生徒は誰ですか。
教師にはとっても見覚えがあります、本当なら体育の授業のはずなんですが。

「まったくですね、僕は風丸さんの勇姿どころか日常生活を全て撮影してるのに」
なんか当たり前の様に彼喋ってます。

「風丸さんの陸上部時代のユニフォーム姿も、寝る時もお風呂に入る時もご飯食べる時もトイレに入る時も、僕は完璧に録画と撮影をしてますよ!」

「……宮坂、お前は自分の授業をどうしたんだ」

「風丸さんの授業風景を拝む絶好の機会を逃す事は出来ません!」
いや授業に戻れよ、と突っ込みたい。

「染岡なんかより円堂君だよ、ね、ガチ向居」

「えぇ円堂さんの方が良いですね、ビッチ」
なんかあの二人はあの二人で怖いです。
肝心の円堂君は、全く聞いていません。
凄いです、動じていません、まるで慣れているかのようです。

仕方ないので、教師は外野を無視して授業を進めます。
あまり外野が五月蝿いとアレなので、一応当てておきます。
 
「円堂、問題文の改行までの和訳を」
さっきから和訳ばかりですが、気にしたら負けです。

「はい」
なんか凄いです、円堂君は周りが五月蝿いのに無かったかの様に振る舞っています。 なんだか格好良いです。
冷静に考えてもみれば、今まで問題があった雷門の生徒は全員がサッカー部だった気がします。 流石キャプテンですマジ格好良い。
なんか教室の後ろの方で、まるでカメラを組み立てるかの様な音がしますが気のせいです。

「えっと、………………」
黙りました。
円堂君黙りました。

その顔は語っています、『分からない』と。
授業参観の日にそれをやらかすとは痛いです、お小遣いが減らされます。

円堂君。 表情が固まっております。
さてどうする。

最初に動いたのは、赤毛の子でした。
何か携帯みたいな物を取り出しています。

「姉さん、シミュレーションAを実行に移すよ」
まるでトランシーバーの如く相手に向かって喋っています。
何が起こるのかと生徒(一部除く)は気にして、そして。
 
バババ、とヘリコプターの音。
それもすぐ傍です、物凄く五月蝿いです。
 
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