作品

□僕のこと、好きだよね…?
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今日も彼女は僕の前に、

只突っ立っていた。




詰んないな、ずっと下向いていちゃ。


そんなくだらないこと思いながら、

僕は彼女の目線と自分の目線を合わせた。






「なんで黙ってるの?」


「・・・・。」




なんだよ、無視?
彼女、冷めてる。

全く、何が気に入らないんだか。



「ねえ、僕が質問してるんだけど」

「わかんない」


「は?」



そう言い放った彼女の顔は少しだけ青ざめていた。



大体、何で黙っているんだと質問しているのに「分かんない」と返答が帰ってきたことが
僕は分からない。

自分のことなんだから、知ってるのは君だけだろ、と。



「なんでそこで『わかんない』って言葉が返ってくるか、わからないな。」


「ねえ、リドル…痛いの、お願い…もうやめてよ」



ふと彼女の視線が向けられたほうに視線をやると、
彼女の手は気持ちが悪くなるほど痙攣していて。




「…どうしたの?」
「え…?リドルがやったんでしょう?」



すっかり記憶になかった。
もう一度彼女の手には、しっかりと杖が握られていた。

痙攣しているせいか、今にも零れ落ちそうではあったが。





「リドルが昨晩、行き成り私を部屋から連れ出すから…」

「…ああ、そんなこともあったかもね」



やっと思い出した。

僕は昨日、図書館で『ホークラックス』に関する記述を見つけ、
さっそく実行しようと考えていた。



「リドル、どうしたの?行き成り殺人だかなんだか意味の分からないこと…」



「別にどうもしないよ。只、只ね?僕への愛を感じたかったんだよ?」


「は…?なんで殺人…が出てくるの?」






「君が僕に何処まで尽くしてくれるのか、楽しみだったんだよ。」




そこで僕は考えたんだ。
愛する彼女を使って、



ホークラックスが本当なのか、

確かめたかったんだ。


君が誰か、存在価値のないような人間を殺し、
僕が愛する君を殺す。


そして君は生き返る。



これで良いだろう…。


これは僕の、

彼女への愛故の行動なのだから。



嗚呼、完璧だ。









「さあ、やってごらん?」


僕の目の前には、
大泣きしている愛しい彼女、

それからその瞳に映る僕、


最後に犠牲、だ。






















(もっと、素晴らしい愛し方ができればよかったのに)
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