儚く咲いた一輪花
□ouverture
2ページ/3ページ
『ん…ここどこ…?』
周りを見渡すが、どこを見ても真っ暗。
否、闇と言ったほうが正しいだろう。
トラックに衝突して生きてるわけもない。
生きてたら化け物ですよ。
ってことは…ここは天国?地獄?
花畑と三途の川とか、針山とマグマに閻魔大王とか‥そんなとこを想像してたんだけど…
なんだこれ、期待外れにも程があるよ…
君がトラックに衝突した和泉 海璃だよね?
誰かの声が聞こえた。
辺りに響いているのか、私の頭に直接響いてきたのかは分からない。
『な、誰?ってか、どこ?』
まぁ…俺は神様かな?
自称神様は暗闇の中、目の前に姿を現した。
若者じゃん。
全身が光ってるよ。
白い光だけど、アクセサリーが更にそれを後押しして鬱陶しい程の眩しさしかない。
ここはどこかって言う質問は無視なのね、自称神様…
ごめんね、キッカケがほしかったんだ。
『キッカケ?
何の事よ、自称神様』
自称って…なんか嫌だな…
海璃には世界を変えてもらう為に活躍してもらおうと思ってる。
だからキッカケを作る為、トラックに衝突してもらった。
『してもらった!?
いやいや、あれは自分の意思だけど?』
そこにグウゼン車を走らせることもできるってこと!
君だったら子供の為に命投げ出しそうだもん♪
…うっわー、コイツ超ウザい。
語尾に「♪」つけるなよ。
ウィンクして舌をペロッと出されたが、少しも、微塵も、可愛くない。
苛立たしさが増すだけだ。
『あたしはアンタが敷いたレールの上を歩いたってか、自称髪』
何が髪だ。神だ、神。
アンタって言うなバカ。
『バカとは何だ、自称紙』
……まぁいいや。
それより、この先すっごい大変になるから能力を渡しておくね。
『えー…何それ、心の底から信じられない』
ちょっとくらい信じて!
この能力は使い方私次第で無敵になるよ。
『無敵って…何を世迷い言を。
で?一応聞くけど、どんな力なのさ』
ひ・み・つー☆
頑張って色々試してみな♪
『はぁ!?ちょ、何それ!!』
じゃあヒントとしてプレゼント!
大事に使ってくれよ?
『あ、うん、ありがと……じゃなくて!』
話が微妙に噛み合ってない。
噛み合わせてくれない。
言葉のキャッチボールしてよ…
『能力ってなんなの!
というか本当にここどこなのよ!?』
騙されたと思って行ってみな!
『はぁ!?あーあー騙されたー!』
まだ行ってないでしょうが。
『何でアンタみたいな会話してくれないチャラ男の為なんかに行かなきゃなんないの…!』
…能力の事はスルーか。
もういいや、何を聞いても意味なさそう。
いや神様なんですが…
チャラ男じゃねーよ、俺
『んな格好でチャラくないとか。
神様とか信じれる訳ないし。
居るとしたらジーサンでしょ』
偏見!
若くてもいいじゃろ!!
『だからって何で老人口調?気持ち悪い。
あーもう飽きた疲れた!
早くここから出たい!!』
我侭だなぁ!
とにかく世界変えて来いっての!
絶対俺に感謝するから!
『しないよ、アンタなんかには!』
はぁ…ったくー。
…死んじゃ駄目だよ、海璃。
そう言われた途端、光に包まれ
またフェードアウトした。
→