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□連理之枝
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突然だけど。
本当に突然すぎるけど。

夜の12時近く。

彼女はいきなり…
酔っ払って家に押し掛けてきた。



『たっだいまぁ〜!』

「えっ!?お、かえり…?」

『マリく〜ん…えへへ〜…』



風月には、ちゃんと家があるはずだって思った瞬間。

いきなり抱き付いてきた。
土足のまま。



「なっ、風月!?さ、酒臭い…!」

『えへー、友達と飲んじゃったぁ』



抱き付いたまま、離れない風月。

理性は…まぁ大丈夫って事にしておいて…



『マリクマリクマリクぅー!!』

「う、わぁ!
風月…苦しい…っ!」

『がまんー!
ほらー、ちゅーしてよー!』



トロンとした目で、しかも上目遣いでボクを見る風月。

正直、いつも以上に可愛くて。
とても…可愛くて。

誘っているようにしか見えなくて。

僕はたまらずキスをした。
酒の匂いなど、お構いなしに。



『ん…む、ぅ…はぁ……!』

「…んっ……ふ…」



それとも、ボクもお酒の匂いにつられてしまったのかな。

舌と舌を絡ませる、濃厚なキス。
所謂、ディープキスをした。

キスはとても気持ちよくて。
とてもとても幸せで。

少しだけ目を開くと、風月はギュッと目を閉じてボクのキスに答えていた。

その表情に煽られ、もっと、もっとと欲してしまう。
流石にこれ以上はしたら駄目だと思って、ボクは唇を離した。

風月がゆっくりと目を開く。

その目は、さっきよりもトロンとしていて。
頬を赤く染めて色っぽく。
名残惜しそうな表情でボクを見ていた。

そして、風月はへらへらと締まりのない笑顔を零した。



『へへ…べろちゅーだ〜』

「ば、馬鹿!言うなよ!』

『マリクー。
だいすき、あいしてるー』



ぎゅう、と力を強めて抱き締めてくる。

ボクに取っては、それがほんの少し苦しいくらいで。

いつもより苦しいのは、手加減していない力なんだと思うと嬉しくて。

ボクも力強く抱きしめた。



『くーるーしーぃ』

「これくらい我慢しろ。
ボクも…愛してる」

『えへ〜愛されてるぅ〜』



そう言って。

彼女は意識を失った。
正確には、寝てしまった。

ボクに抱き付いたまま。



「……可愛いな、もう」



優しく頭を撫で、靴を脱がし、抱っこしてベッドへと連れて行く。

風月をどうしていいか分からなかったが、化粧だけは落としてあげた。

家には風月の寝間着があった。
が、流石に寝間着には着替えさせれなかった。

きっと、ボクの理性が保てない。

ボクから離してあげようとしたけど、風月は力強く抱き付いてくるから離させる事ができなかった。

仕方ないと思い、僕もベッドに寝転がる。

シングルのベッドで少し狭いかと思ったが…抱き締めてると、あまり変わりはなかったように思えた。



「おやすみ、風月」



そう呟き、ボクも眠りへと墜ちていった。




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