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□1日遅れの
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最近、目が回るほど忙しい。
あの平和で穏やかな日常を返してと言うほど、用事がギッシリ詰まっている。

通っている高校が違う彼氏と、一緒に帰ることすら出来ていないほどだ。

会えなくなってから、今日で1週間。
夜に毎日電話してるから声は聞いてると言えど、流石に寂しい。

7月8日は用事があって無理だとバイト先に言っても、人手が足りないから頼むと言われて…

結局、バイトに入ることになってしまった。



『総悟…ごめん…』

―………。



電話で事情を説明し、謝った。
しかし、彼から返事が返ってこない。

もう泣きたくなる。
あの店長ぜっっったい殴る。

はぁ、と電話越しに溜め息が聞こえた。



―最近忙しいんですかィ?

『うん…』

―俺を放ったらかしにするほど?

『……。』

―…本当の事を行ってみなせェ。

『ホントの…こと?』

―俺に会いたくなくなってきたんだろィ?

『…!?』



突然何を言い出すのか。

呆気に取られ、言葉が詰まる。
嫌な沈黙状態が流れ、我に返って反論した。



『違う!そんなこと…』

―黙りなせェ、言い訳なんか聞きたくねェ。

『…っ…』

―…もう、暫く俺に電話掛けて来ないでくだせェ。



そう言い、プツッと電話の切れる音がした。
私に反論なんてさせないとでも言うかのように。

通話の切れてしまった自分の携帯をぼーっと見詰める。

何も考えず…
いや、暫く何も考えれなくなった。

物事が整理できた時、初めて事の重大さを思い知った。

距離を置く…それは自然消滅してしまうことだってある。
高校が違うなら尚更だ。

急に目頭が熱くなり、止めどなく涙が溢れだす。

とうとう嫌われたんだ。
愛想つかれたんだ。

そんな考えが頭の中をグルグルと回り、絶望にうちひしがれていた私は、泣き疲れていつの間にか眠ってしまっていた。












7月8日の朝。
天気はどんよりと曇っていた。

まるで私の心と同じだ、なんて詩人のようなことを考える。
もう自分に対しての嘲笑しか出てこない。

のろのろと制服に着替え、洗面台で自分の顔を見る。
目は真っ赤に腫れ、見るに耐えないものとなっていた。

もういいや、学校には行かない。
行ったって総悟に会えるわけでもないし。
…休んだって会えないけど。

携帯を開き、友達でありバイト仲間の九ちゃんに電話した。



―もしもし、どうした?

『あ、九ちゃん?
ごめん、今日学校休む』

―!?具合悪いのか!?
 今すぐ行って看病を…

『待った!違う違う!
ちょっと目が腫れただけだからっ』

―目が腫れた?…大丈夫なのか?

『うん、夕方までには治るから大丈夫』

―…分かった、じゃあまたバイトでな。



そう言って電話が切れた。

九ちゃんが過剰に心配してくれて何だか申し訳ない気になったが、少しだけ元気になれた。

このまま休むのは勿体ない。

総悟のためにケーキ作ろう。
それで、バイトが終わったら渡しに行こう。

ごめんって意味も込めて…




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