儚く咲いた一輪花

□ouverture
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今までの日常がガラッと変わる少し前、あたしは全力疾走していた。

今日は3時間しか授業がなかったと言えど、学校は退屈で仕方ない。
勿論、友達とバカやってダベるのは大好きだけど…好きなゲームをしてる方が楽しいかなーって思っちゃう。

そのゲームの事を考えたらテンションが上がってしまい、こんな状況になっている。



『幸村ぁー!慶次ぃー!
今行くからね、半兵衛ー!!』



…周りに人は居ないのが幸いだけど、見られたら変人扱い間違いナシだと自分でも思う。



『フフフ…今日は誰でやろっかな‥‥ぁ‥?』



あたしの目に映ったモノは…2人の子供で横断歩道で遊んでいるとこ。
しかもトラックが速いスピードで近付いてきてた。

絶対に急停止できなさそうと思ったとき…
気付けばカバンを捨てて走っていた。

足の早さには、まぁ自信があったけど…
間に合うかどうかは分からない。



『…っ親…何してんだよ…
どこにも居ないじゃん!』



何とか間に合い、子供たちを突き飛ばした。
そして…あたしはトラックに衝突した。

大きな衝撃、跳ね飛ばされる身体。
何度か地面に打ち付けられて、生暖かいものがじんわりと広がっていく。



(あー無事みたい…
ガキ共めー…いや、親かな。
どーゆー教育してんだ)



声を出したいのに出せない。



(ふふ…でも子供達が無事で良かった…)



笑いたくても頬の筋肉が動かない。



(あ、今頃 親来たよ…遅いし親うっさいな。
…ゆきちゃんのノートどうしよっかなぁ)



なんて、どーでもいい事を考えていた。



(も〜今日は走ってばっかじゃん。
ゲームしたいだけだったけど。
頭も身体も痛いし、なんか熱くて寒いし…
目の前‥白黒してるし…)



自分でも分かる。
本当にヤバイ状態のようだ。



(あたし…死ぬのかな…
まだやりたい事 残ってたのに。
最期に戦国BASARA…したかった…)



そこで目の前が暗くなる。
瞼が勝手に閉じたのか、意識を飛ばしたのか。

どちらなのか定かではないけれど、そこで私の記憶が途切れた。




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