儚く咲いた一輪花
□tension
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テンション
[張りつめた気持ち、感情的緊張]
城下町に行く最中の森の中。
なんと、また出会えた。
あのおちゃらけた忍者さんに。
『やっほー!久しぶり〜!』
「あれ、海璃ちゃん。
今から買い物?」
『ううん、ブラブラと!
佐助はどこ行くの?』
「俺様はね〜、今から中国に足を伸ばそうかと思って」
『中国?中国地方?』
外国の中国じゃないだろう。
略さないでいうと中華人民共和国。
それくらい分かってるんだからね!
「うん、密偵みたいなもんかな」
『良いのか、それ言っちゃっても』
「だって海璃ちゃんにはあまり関係ないでしょー。
誰にも言いそうにないし」
関係あるなしは別として。
一応他の軍だからね、あたし達。
でも警戒してくれてないのは嬉しいな!
あ、良いこと思い付いた。
『まぁ、それは兎も角!
中国に行くんでしょ?』
「そうそう。
ここまで来れば、あと少しだわ〜」
『あたしも連れてって!』
「そうだね〜うんうん……え?」
『よっしゃ!やったー!』
「ちょちょ、ちょっと待った!
城下町には?」
『やめた、行き先変更。
目指すは中国!』
佐助の了承(?)も得れたしね!
今まで木の上にいた佐助が慌てて降りてきて、必死に説得してるけど…
そんなの聞こえちゃいませんよ!
あたし、人の話聞かない子だからさ☆
『あ、佐助葉っぱ付いてる。
後ろ向いて』
「え、マジ?取って取って」
『ぃよいっしょー!!
さぁ、行こうか!』
佐助の背中に飛び乗って抱きついた。
どうやら佐助は、振り落とす気力もなくなったらしい。
この勝負(?)はあたしの勝ちだね!
「俺様密偵行くんだぜ?
見付かったら危ないって」
『大丈夫だよ!
密偵にまでは付いて行かないから』
「…それなら良いか。
後のことは俺様知ーらね!」
『Σ薄情者ー!』
2人で笑いながら中国へと向かう。
佐助が走ってくれて、あたしは楽してるんだけどね。
いやぁ…速くて快適だな、こりゃ。
風が気持ち良いし乗り心地は最高だし。
「はぁぁ…これ役得かも…」
『ん?なんで?』
「俺様の背中に海璃ちゃんの胸当たってんだもん」
『うわ、破廉恥!
気持ち良い?』
「うん!そりゃもう!」
『そこまで素直だと返って清々しいな。
佐助の主がまた叫んじゃうよ?』
「海璃ちゃん、俺の主知ってんの?」
『だって有名だもん』
そんで凄い人気あるもんね。
あたしもいつか会いに行きたいな。
ってゆーか抱き着きたい。
今から行く中国でも抱き着きたいな。
まず今抱き着いてるし。
どんだけ抱き着き魔なの、あたし。
…流石に中国のお偉いさんには抱き着けないか。
ふーん…と相槌を打つ佐助の背中で、移り変わりの激しい風景を眺めていた。
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