儚く咲いた一輪花
□jeu
1ページ/5ページ
ジュ
[働き、動き、遊び]
女中の仕事をしている最中。
何故かいきなり半兵衛に呼ばれた。
『どしたの?
まだ洗濯物残ってるんだけど…』
「話しておかなければならない事があるんだ」
『大事なこと?』
「うん」
濡れた手を適当に拭きながら、前を歩く半兵衛の後をついていく。
人通りの少ない部屋に着き、そこに向かい合って正座。
…うわぁ!改まって見ると半兵衛素敵!
綺麗!美しい!美形ー!!
どうしよう昂ってきた抱き付きたい!
髪の毛もふもふしたい!
なんであんな睫毛長いの!
あの仮面って、絶対イケメンなのを隠すためにあると思うんだ!
「ここの生活にも慣れてきた?」
『半兵衛、抱き付いていい?』
「ちょっと待って。
なんでいきなりそうなるんだ」
『え?あ、ごめん。
半兵衛の美しさに酔ってた』
「それは仕方ないけど」
『ツッコミ無いのかよ』
話し合いにならないかもしれない。
このナルシストどうにかして。
あたしもどうにかならないと駄目だけど。
若干ナルシが入っても許してしまうのは、本当にかっこいいからだと思う。
ちょっとイラってするけど。
『ここの生活、慣れてきたよ。
楽しいし、驚きや発見も多いし、皆もあたしと話してくれるし!』
「そう、それは良かった」
『まだ皆との間に壁があるのは分かるけど、それは追々取っ払っちゃえば問題ないしね〜』
そーゆーのは直ぐなくせるワケないし、現状であたしは満足してる。
あ、今思えばこの状況…学校の二者面談に似てるかも。
高校どこ行くかって、休み時間や放課後に先生と相談してたっけ。
高校に入ってからも今みたいな現状報告っぽいの何度かあったし…
うわぁ、懐かしいなぁ。
「人付き合いには問題なさそうだね。
それで、あの力はどんな感じなんだい?」
『要領とかも分かってきたし、使い方も殆どマスターしたかな!
まだ試してない部分も多いけど…その辺りも先生が思ってる通りだと思うよ』
「先生…?
ねぇ、君の頭の中で僕はどうなってるんだ?」
『あーごめん。
なんかごっちゃになってきた』
「ここがどこだか分かる?」
『失礼な、分かるよ。
視聴覚室の隣にある空き教室』
「どこのことを言ってるんだ!」
あ、違った違った。
ここは学校じゃない、教室が畳の学校はきっとない。
あったとしても茶道部とか、そういうのだ。
そういえば視聴覚室って使った覚えないなぁ。
何するとこなんだろ…って駄目だ。
こんなこと考えてたら、また先生とか言ってしまう。
「海璃って、よく師匠や先生にお母さんとか言っていただろう」
『バレた!』
→