儚く咲いた一輪花
□feroce
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フィローチェ
[荒々しい、野性的に激しい]
窓際に腰をかけて、足をブラブラ。
服はいつもの着物じゃなく、動きやすいズボンタイプ。
やっぱ上下が分かれているのって楽だな…
広い城下町を眺めるが、未だならず者の被害は出ていない。
こんな平和な町に、ならず者は本当に出るのだろうか。
下に兵士が集まり始める。
それを確認して、あたしも城に戻り階段を駆け降りた。
お城から出ると、兵士達が一斉にあたしを見た。
その目から感じ取れる想いは様々だった。
コイツで大丈夫なのか?というような疑いの目や、信頼を寄せてるかのように輝いた目などなど…
皆の目はあたしから外され、後ろに向けられる。
あたしも後ろを向くと、そこにはコロが欠伸をしながら城から出てきていた。
「ふぁ…ぁ〜〜…あ?
おー皆早いなぁ」
『コロも行くの?』
「おぅ、海璃1人だと心細いだろ?」
『とっても心細い…と言いたいとこだけど。
兵士たちがいるし、そこまで心細くもなかったりする』
あたしよりも背の高い兵士を見回す。
ザッと見て10人くらいか。
それを聞いて、コロは頬をぷくーっと膨らませた。
(別に可愛くないが…)
「そこは心細いって言ってほしかったな…別に良いけど…
これで皆集まったんなら、さっさと行くぞ!」
『あ、うん。
皆さん、今日はならず者退治の参加ありがとうございます』
参加でいいのか分かんないけど。
ペコリと礼をすると、数人の兵士がザワついた。
何故かコロは声を出して笑ってた。
「海璃様!顔をお挙げください!」
「お姫様なのに、私達に頭など!」
『え…でも皆さん歳上でしょうし…』
「歳など関係ありません。
私達は皆様の補助のためにいるのですから」
うわぁ、うわぁ…
皆なんか格好いいな…
豊臣の為にサポートできれば十分だ!みたいな皆の思いに惚れる。
「海璃ー、早く行こーぜー?
さっさと終わらせて寝てぇし」
『…兵士達の心構えの方が断然良いじゃんか』
「うん?何か言ったか?」
『べっつにぃ〜?
じゃ、出発しましょ』
先に門を出ると、コロが肩に手を回しながら「あ、一緒に寝たかった?」とか言ってきたから、お腹をベシッと殴っておいた。
悶絶してるが、あたしには関係ない。
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