淡雪結晶
□valentineを君に
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僕は電話で櫻井君をいきなり呼び出した。
今日はバレンタイン…。甘い物苦手の櫻井君は受け取ってくれるかな…。
僕が待ち合わせ場所に着くと、既に櫻井君がいて僕を待っていた。
「あ、宮田さん…。宮田さん、自分から誘っておいて遅いです;」
「あはは…ごめんね。ちょっと歩く?」
「あ、はい」
薄暗い中、僕は櫻井君と肩を並べて歩いた。
「……櫻井君、寒い。手握っていい…?」
「え…あ、はい…どうぞ」
「ありがと」
僕は櫻井君の手をとって櫻井君のコートのポケットにズボッと入れた。
あったかいな…
「宮田さ…」
「あ、櫻井君」
「えっ…」
「櫻井君、雪…」
「本当ですね!今降り出してきたんですね」
「電車止まったら嫌だな…」
「その時は俺が送りますよ」
「本当!?ありがとう…」
「宮田さん、これ…」
櫻井君は僕に上着をかけてくれた。僕は上着をかけてくれた櫻井君の優しさが嬉しかった。
「櫻井君が寒いよ…」
「宮田さんが寒いよりいいですから…」
「でも…!」
「じゃあ…これで…」
「うわっ!!」
櫻井君…!急に抱き締めて来ないでー!
「宮田さん、あったかいですね…」
「櫻井君、ちょ、ちょちょっと!!」
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