□PROLOGUE
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……闇がうっすらと明るくなった。頬の下は柔らかく、冷たくない。

雨が降る音が聞こえる。
――ああ、本格的に降りだしたな

ゆっくりと目を開ける。「……!」
私は一気に起き上がり、周りを見渡す。白い壁、黒い椅子に机と本棚。
それに、私が寝ていたベッド。
静かな部屋に、雨の音だけが聞こえていた。
ごくりと唾を飲み込む。
「なんなのよ、これ」
口に出したとたん身体が震えた。体の震えを抑えるように両腕を交差させ自分でジブンの腕をぎゅっと握った。言いようのない不安でいっぱいだった。
しばらくして、震えはおさまった。
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