空しき旋律*儚き唄

□第4箱 仮入部なんかしてないよ
3ページ/4ページ




それからわたしは美術部や陸上部、オーケストラ部それからー…
まあ、いろんな部活を見て回った

どこの部活も仮入部したんじゃ…とかなんとか言ってたけど、それはどーでもいーや

次に向かうは柔道部
日も暮れてきたし急がないと!
今日中に部活見学は終わらせたいんだよ
いい暇つぶしになるんだけど疲れるんだよねー
特に運動部
よくあんな激しい運動を毎日できるよ…
すごすぎる…

柔道部も厳しいんだろうなーと思いつつ
わたしは道場破りチックに柔道部の扉を開けた

『たのもー』

一度やってみたかったんだよね
うん、満足

『初めまして
 一年の和水水泡と言います』

「ようこそいらっしゃいませ
 ウチは柔道部部長の鍋島猫美でっす」

反則王と呼ばれてるらしい鍋島ちゃんは予想外に気さくな感じのするお姉さんだった
さし出された手をわたしも握り返す

「今日は仮入部にきたんやろ?
 とりあえず練習でもみてみてや」

『いいえ
 練習にちょっとだけ参加させてください
 柔道やったことがないんで』

「そうかい そうかい
 ほな誰か教える人がおった方がえーやろな
 阿久根!阿久根クーン!」

長い髪を揺らし柔道着を纏って噂の柔道界のプリンスがあらわれた
半袖ちゃんの話によると彼、阿久根くんはめだかや善吉くんと同じ中学出身らしい
ちょっと面白そうだ

「なんですか鍋島先輩
 おや?仮入部の方ですか
 初めまして阿久根高貴と言います」

『こちらこそ初めまして』

「阿久根クン
 この子に柔道教えたってくれへんか?
 仮入部に来たんやけど柔道やったことないんやて」

「そうか
 じゃあこっちでやろうか…えーっと」

『和水水泡です』

「…和水さんこっちでやりましょう」

『水泡でいいですよー』

名字だと片割れとわかんなくなるからねー
後で鍋島ちゃんにも言わないと

「………じゃあ水泡さん
 行きましょう」

ちょーっと間があったのは気のせいだよね




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ