空しき旋律*儚き唄

□第11箱 只のしがない異常だよ
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…向かったのはいいんだけどねー
校門の辺りから誰か知らないけどわたしをつけてるんだよ
わたしが一人になったら攻撃してくるとか襲ってくるとかするかと思ってたんだけどそれもないし…
あーもーっ面白くない

『いい加減でてきたらどうかな?』

「ケケケ
 オレがつけてたのはバレバレってか」

『えーっと』

確か、この間不知火総帥とお喋りしてた時にいた子だよね

『一応、初めまして…かな?』


「テメーやっぱ、あん時すでに気づいてたのか」

『別にそれを言うつもりはなかったけどね』

「要するに気づいてたってことだろう“異端の人魚姫”」

耳障りな名前

『その名は止めてくれないかなー
 ……………不愉快だよ』

「おいおいそう殺気立つなって
 オレはテメーと敵対するつもりも何もねぇんだから」

『じゃあ何をしにわざわざ一年十三組の教室まできたのさ?』

「別に理由なんかねえよ
 この間の理事長とてめえの会話を見てたらどんな奴か興味を持っただけだ」

『ふーん、そう』

「オレたち《十三組の十三人》だって異常(アブノーマル)だらけの十三組の中じゃあ選りすぐりの異常(アブノーマル)だ
 その中でも異常性(アブノーマル)だけでいったらオレよりすげぇ《裏の六人(プラスシックス)》の連中よりテメーの方が異常(アブノーマル)だと理事長はいいやがる
 興味を持たねえ《十三組の十三人》の奴なんかいねえぜ?」

『そうか、そうか
 どーでもいいから早く帰ってくれないかな?』

わたしは今日、教室で有意義に昼寝をして過ごすって決めてるんだよ

「おいおい
 そんな悲しいこと言うなよ和水水泡
 オレはテメーと戦うつもりも敵対するつもりも――ある!」

『全く……わたしの昼寝の邪魔しないでよ』

彼の攻撃を手で抑える
わたしの手にはスーパーボールが握られた
どうやら彼の武器はスーパーボールらしい
万が一のために愛用の武器の確認をする

「へぇ
 さっき鬼瀬ちゃんの拳を止めてた時はまぐれかと思ってたんだが
 そんななりでも戦えるんだな」

『まあ人並みにはね』

「じゃあこれはどうだ」

今度は大量のスーパーボールがわたしを襲う
今のわたしじゃこれだけ大量のボールの反射を全部計算することなんが出来ないけど

『全部よければいい話だよね』

スーパーボールに当たりさえしなければ痛くも痒くもない

「ケケケ――…甘ーよ」

顔を掠めたスーパーボールから火薬の匂いがした
火薬?

『スーパーボールじゃなくて火薬玉!?』

「おみごと
 今オレが投げたのは跳躍玉(スーパーボール)じゃなくて炸裂弾『灰かぶり(シンデレラ)』だ」

流石にそれはまずい
死ぬつもりには見えない…ってことは何か助かる方法が彼にはあるんだろうけど
わたしはこのままだと教室ともどもボロボロだよねー
………仕方ない、使うか

「気づいたってもう遅せえ
 仕込みはもう終わってんだよ」

どこから取り出したのかそれまた大量のマッチを彼がすった




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