空しき旋律*儚き唄

□第4箱 仮入部なんかしてないよ
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いつも通りに登校すれば、学校全体がいつも以上にうるさくなっていた。校舎に向かってあるけば、通りがかりで無理やりチラシを手に持たされる……わたしにこのゴミをどうしろと?これじゃ校舎にもはいれやしないじゃないか。

「ねぇ君」

後ろから肩を捕まれる。こちとら朝から訳のわからないチラシを押し付けられて、ちょーっと苛々してるんだよ。わたしはその人の方を振り向きもしないで脛に蹴りをいれ、そのまま校舎に向かって歩いていった。悪いことしたかな?………まぁいいや。チラシを押しつけようとしたその人が悪いと自分の中で決めつける。教室についても案の定クラスメートは一人もいない。いつものことなんだけどねー。とりあえず貰ったチラシに目を通していく。

「剣道部入ろうぜ!」
「オーケストラ部に決めた」
「陸上部で一緒に走りましょう」
「美術部員…いいえ芸術家(アーティスト)です」
「日本一の柔道部で日本一になろう」

カラーで印刷されたものから手作り感溢れるものまで、様々な趣向を凝らしたチラシたちはどれもこれも先輩方の気合いを感じさせる。

『部活の仮入部ねー…』

どうやら仮入部期間が始まり、どの部活も一人でも多く新入部員を捕まえようと躍起になってるみたいだ。ふふ、青春だねえ。部活に入るつもりは全くないけど、とりあえず……片っ端から行ってみますか。

暇だし、何より――面白そうだしね。



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