空しき旋律*儚き唄

□第4箱 仮入部なんかしてないよ
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まずは剣道部。和波と同じクラスの日向くんって子が部長をやってるらしい。めだかが更正させた元不良たちもみてみたいしね。
にしても、なかなかいい剣道場じゃないか。弱小部って聞いたのに……。少し重たい扉をあけて挨拶をする。

『こんにちはー』

「お、おう」

ざーっと九人だね。部員は男の子ばっかりで女の子は一人もいない。黒髪の子がきっと日向くんだな。性格はあまりよろしいみたいじゃないけど元不良臭がしないからねー。日向くんも元不良たちも目をぱちくりさせている。あらかわいい。わたしの突然の訪問に驚いてるみたいだね。

『剣道は初めてなんでよくわからないんだけど、よろしくねー』

ひょいと目の前の人から木刀を借りる

目を見開いてるけどまあ、いいや。どれどれ剣道ってのがどんな物だかは知らないけど、剣っていうからには刀と扱い方は一緒だよね。竹刀を握るのは初めてだよ。ぶんと一振りしてみれば、固まっている日向くんと元不良たち。

『…どうかした?』

反応がない。真面目にどうかしちゃったんだろうか……十数秒程そのままだった日向くんと元不良たちははっと気づいたように動き出した。

「剣道やったことないんだろ教えてやるよ」

上下逆さまになっていたらしいそれを正しく持たせると彼らがわたしに剣道を教えてくれることになったのである。

剣道って奥が深いんだね。めだかレベルになると分身できるらしいよ……意味がわからない。時計をみれば予定の時間が過ぎていた……予想以上に剣道が面白かったからね。

『じゃあ
 わたしそろそろ時間なんで帰るねー』

さっさと革靴に履き替えて、にっこりと彼らに微笑む。明らかに驚いている日向くんと元不良たち。これはちょっと悪かったかな?

『用事があってね…』
       ・・
いろんな部活の見学という用事がわたしにはあるんだよ。

「ま…また明日来いよ」

『んー
 気が向いたらね』

「え?仮入部したんじゃ……」

なんか日向くんが言ってるけど知らないよ。扉を勢いよく閉めてわたしは剣道場を後にした。予定がちょっと狂っちゃったからね、急がないと。



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