空しき旋律*儚き唄

□第8箱 一体全体何がどうしたの
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えー、本日も晴天なり晴天なり、絶好の水中運動会日和なり

燦々と降り注ぐ太陽
澄み渡る大空に浮かぶ真っ白な雲

晴れちゃったねぇー
まあ、晴れなくても水中運動会はあるんだけどさ
さてさて、どーしようか
約束を破るわけにはいかないし、アレしかないね

『和波』

「なに?水泡」

『ちょっとこっちに来て』

片割れをわたしのところへ呼び寄せる

「うん?」

片割れが近付いてきたところで鳩尾に軽く拳を入れた

「っ……な、んで……」

『ごめんね和波
 こうするしか方法がないんだ』

よくよく考えたらいくらでも他の方法が思いつく様な気がしたけど、急ぎだからしょうがない
面倒だとかそういうんじゃないんだからね!

気絶した片割れをおぶり、わたしは急いで学校へと向かうのだった






『ふぅ。間に合った…かな?』

「「水泡さん!」」

「来てくれたのねっ」

「待ってたのよ
 さあ、急いで急いで!」

片割れをおぶったまま更衣室に連れて行かれそうになって、わたしは慌ててセンバイたちの手を離す
女子更衣室に男の子を連れてくのはまずいでしょ
片割れは一応健全な男子高校生だからねー

『着替えなら大丈夫だよ
 家で制服の下に水着を着てきたから』

嘘だけど

「本当?ならよかった
 私たちも着替えてあるんだけど水泡さんがどうしたのかわからなかったから」

「じゃあ、会場に入りましょうか」

『…和波まだ起き上がらないのかな』

まずいなー
このままだとわたしが出なきゃいけなくなってしまう

「水泡さん何か言った?」

『なにも言ってないよー』

「何か聞こえた気がしたんだけど…」

『気のせいじゃないですか?周りの人の声が聞こえたとか』

「……そうね」

「開始時間まで後少しよ!急がないと」

「本当!?水泡さん急ぎましょう!」

『え…ああ、うん』

気絶させたのはわたしだけどさ片割れよ早く起きてくれ
否、起きてくださいお願いします




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