夏組

□躍らされる
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学校は好き。
女子生徒が私だけ、って言っても特に苦労はしてないし、友達いっぱいいて楽しいし、皆親切だし、部活も係も生徒会もやり甲斐があって楽しい。星を見るのも勿論好きだし、私、この学校に来てよかったなーって思う。


でも、でも、

「なんかもう無理だよ。明日なんて来なくていい。」

「あと13ページ…ですか…。もう少し頑張りましょう、先輩?」


星を専門的に学ぶ学校とは言っても、あくまでも普通の高校生。勿論テストがある。
今は絶賛テスト期間中、というよりもむしろテスト前日。
ちょくちょくと勉強していたとはいえ、この学校は難関校。しかも明日から始まるテストは学年末で範囲が凄く広い。
追い撃ちをかけるように、学年末ということもあり思いの外生徒会が忙しかった私は絶体絶命な状態にある。

「梓君は、明日からテストなのに余裕そうですね。」

「先輩は逆にテスト前日なのに忙しそうですね。前日は十分な睡眠をとった方がいいと思いますよ?」

横でゆったりと余裕そうに教科書を読んでいる梓君に、羨ましさと妬ましさが混じった感情が生まれて、少し厭味を込めた口調で話し掛けたら逆に厭味で返された。
ひ、酷い、私これでも先輩なのに…!

「ああ神様、梓君が私に冷たいです。彼に私に優しくなる魔法をかけてください。ついでに明日のテストが消滅しますように。」

「どさくさにまぎれて何をついでにお願いしてるんですか先輩は。」

「だって、終わらない。理解ができない。赤点とったら冬休み補習なのにー…。」

「大丈夫ですよ。先輩いつも点数平均より上じゃないですか。」

「でも今回は本当に無理かもしれないの。なぜなら範囲が広すぎるから。範囲決めたの誰かな、星月先生?今度お茶の中にタバスコとかいれてみよう。」

「せんぱーい、頭おかしくなってきてますよー。」

「だって、だって…」

「自暴自棄になるなんて先輩らしくないですよ?」

私がこんな状態なのに、下から覗きこむ様な仕草で私を見る梓君が可愛くて、こういうことを考えれる程度にはまだ脳は正常なのかな、とか一人で思ってたら急に梓君の顔が悲しそうなものに変わった。

「クリスマス、一緒に過ごそうって約束しましたよね?」

「え、うん。」

「補習で、僕との約束つぶす気ですか?」

「!」

「クリスマスだけじゃなくて、僕の誕生日だって一緒にいるって約束してくれたのに…。」

「だだだだ大丈夫、私絶対に一緒にすごすから!補習なんてならないように頑張るから!」

悲しそうだった顔が一瞬だけ怪しげな微笑みになって、それからすぐに満面の笑顔に変わった梓君が言った。

「じゃあ約束やぶったらお仕置きでいいですよね!先輩、赤点とっても構いませんよ?」

その発言のせいで私は今日徹夜確定になったじゃないか。



君に躍らされるのは嫌いじゃないけど


(赤点なかったよー!これで約束通り一緒に過ごせるね!)(じゃあお仕置きじゃなくてご褒美ですね!することは変わりませんけど!)(えええええ…?!)




 

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