夏組
□大胆発言
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待ち合わせ時間から20分が経った。いつもは遅刻とかしない子なだけにこれだけ遅れるのは心配だ。
「どうしたんだろう…。何かあったのかな。」
電話をかけても通じないから待ち合わせ場所から勝手に動いて探しに行くわけにもいかない。
「誉さん!」
どうしようか、と考えていたら後ろから声がかかった。待っていた愛しい、大事な人の、声。安心して声のする方に振り返った。
「お、お待たせしちゃたてすみません…。バス乗り遅れちゃって、しかも携帯も家に忘れちゃったから連絡も出来ないし上手く走れないしで、ほんとにごめんなさい!」
「ううん、遅いから心配はしたけど怒ってはないよ。ちゃんと来てくれてよかった。」
必死に謝る彼女が可愛くてつい笑みがこぼれた。
「な、なんで笑うんですか?!」
「ふふ、いや可愛いなと思って。
着物、凄い似合ってるよ。」
「あ、ありがとうございます…。こんなにちゃんと着物着るの始めてだから、褒めて貰えて嬉しいです。」
「自分で着たの?」
「いえ、着付けは自分で出来ないからお母さんに着せてもらいました。」
「そうなんだ。
本当に可愛いね。食べちゃいたいくらい。」
「ふふ、ありがとうございます。」
あれ、流されちゃった…。
さすが天然スルーキラー。僕が今言った意味をちゃんと理解してないんだろうな。
早く参拝しましょう、と彼女が急かすからそうだね、と返事をして二人で境内に向かった。
「誉さんは何お願いしたんですか?」
「今年も君と一緒に過ごせますように、だよ。」
「じゃあ、私と同じですね!」
嬉しそうに笑いながら話す彼女が可愛くて、愛しくて、つい抱きしめた。
「えええ、ほ、誉さ…!」
「嫌?」
「嫌とかじゃなくて人がいるからその…」
「恥ずかしい?」
「……はい。」
「じゃあさ、人がいない場所ならいいのかな?」
「はい。
わ、私も、その…誉さんと、くっついてたいです!」
さすが天然、って言えばいいのかな。無意識に誘惑するからたちが悪い。
新年早々大胆発言
(僕の家、来る?そしたらいくらでも君に触れていいよね。)(あ、でも私自分じゃ着付けできないからあの…)(大丈夫だよ。僕は出来るから。)(え、でも…その。)(いいよね、姫初め。)(ええええ。)
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2010年最初の夢は部長!
あれ、妄想の中ではヒロイン迷子になって誉に怒られるとかそういうエピソードもあったのにどこいったんだろ←