幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
20ページ/35ページ

――広い建物の跡地



黄泉「魔古忌流炎裂撃」



比羅(!!)

(ぬっ・・・)



ドガァァァ!!



黄泉の炎裂撃が比羅の胸部に直撃する寸前、比羅は咄嗟に右に避けた為に黄泉の一撃が急所から外れて比羅の肩に直撃した。



黄泉「避けられたか」



ジュゥゥゥゥゥ



比羅の左肩が黄泉の一撃で黒く変色している。



比羅はチラッと自分の左肩を見た。



比羅「フィールドを破壊して私に傷をつけることが出来るとは驚いた」



黄泉(確実に奴の胸に直撃したと思ったが・・・。あれを避けることが出来るとは。やはり一筋縄ではいかないな)



比羅「惜しかったな」



黄泉「惜しくはないさ。これで貴様のフィールドは完全に破壊して無くなったぞ。負傷しているとはいえ、貴様を倒す力は残っている。覚悟するがいい」



比羅は黄泉の言葉を聞くと不適な笑みを見せる。




比羅「フィールドを破壊しただと?馬鹿め!これを見るがいい」



黄泉(!?)



比羅は握り締めた右手を上に向かって高く突き上げた。



ピキーーン



比羅の赤いフィールドが再びその姿をあらわす。



比羅「フィールドは私の力で何度でも再生出来る」



黄泉(・・・)



比羅「貴様の呪術は見せてもらった。二度と同じ手は私には通用しない」



黄泉(俺の呪術で奴のフィールドを破壊できるのは分かったが、破壊しても奴のさっきの動きから致命的なダメージを与えるのは容易ではない。一体どうする?)



チラッ



黄泉は自分の比羅に受けた傷を見る。



黄泉(この傷で出来るかどうかわからんが、禁断の呪術を奴に試してみるか。上手くいけば呪術で奴の動きを封じられる。そしてもう一度フィールドを破壊して炎裂撃を奴に叩き込む)



黄泉「行くぞ」



黄泉が戦闘態勢に入ったその時だった。



幽助「黄泉ィィ!」



黄泉・比羅(!?)



幽助が黄泉達の前に現れた。



幽助は黄泉の顔を見てニヤリ。



幽助「次に会うのが大会の予定だったが、また会っちまったな」



黄泉「浦飯、どうしてここに?」



幽助「あんなに直ぐ近くで、おめーがあれだけでかい妖気をぶっ放していれば嫌でも気付くぜ」



チラッ



幽助は黄泉の胸部と腹部の深い傷と無数のかすり傷を見た。



幽助「これをやったのはあいつか?おめーにこれだけの傷をつけるとはな」



そう言うと幽助は比羅に視線を移した。



黄泉「奴は妖気でも霊気でもない異質な気を持っている」



幽助「そうみてーだな。あいつからは霊気でも妖気でもねー、訳のわからねー気しか感じられねー」




黄泉「浦飯、奴はお前や蔵馬の仲間である人間を狙っているぞ」



幽助「人間の仲間?もしかして桑原の事か?」



黄泉「そうだ。人間とそして一緒にいた氷女、それに修羅はこの場から逃がす為に俺が別の場所へ飛ばした」



幽助「そっか…。詳しい話しは後でまたゆっくり聞くぜ。まずはあいつだ」



幽助は目を瞑ると息を軽く吐いた。



幽助「ハァァ!!!」



ブォォォォォォ!!!



そして幽助は目を開けると同時に比羅に向けて攻撃的な妖気を放出したのだった。



黄泉(浦飯、三年の間にここまで妖力を上げているとは驚いたぞ)



幽助の妖気を感じた比羅の表情が変わる。



比羅「そこにいる黄泉とほぼ同等クラスの妖気だな。貴様は何者だ?」



幽助「俺は浦飯幽助だ。てめーこそ何者だ?」



比羅「・・・貴様があの浦飯か。私の名は比羅。貴様の事は桑原の事を私に教えてくれたあの男から聞いてよく知っている」



幽助「そいつは誰だよ?」


比羅「貴様に話す義理はないが、一つだけ教えてやる。貴様と面識のある男だ」



幽助「なるほどな。そいつが誰かわからねーが今回の件の黒幕みてーだな」



比羅「黒幕になるのかどうかは知らんが、あの男が私達が行動を起こすきっかけになったのは間違いないな」



比羅はそう言うと黄泉と幽助がいる方へ向かって歩き始めた。



比羅「お喋りはここまでだ。私はそこの男から桑原を何処に飛ばしたか吐かせないといけないからな。邪魔をするなら貴様も倒すまでだ」



幽助「今度は俺がてめーの相手をしてやるぜ」



比羅「そうか」



黄泉「ま、待て浦飯!」



バッ!!



幽助はジャンプして一気に比羅に近付いた。



幽助「くらいやがれー」



ビューン



比羅の顔面をめがけて強烈なパンチを放つ。



比羅「中々、速いな」



ガッ!



比羅の赤いフィールドに幽助のパンチは遮られた。



幽助「何!?」



比羅「貴様にも教えておいてやる。私のフィールドはあらゆる攻撃を遮ることができる」



幽助「そんなもん俺には関係ねーぜ。オラァァァ!!」



ズドドドドッ!!!



幽助は拳に妖気を込めて比羅の腹部に向かって連打。


ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!


全ての幽助の攻撃はフィールドに遮られる。



比羅「私には攻撃は通用しない」



ビューン!!



比羅は渾身の一撃を幽助に放つ。



フゥ!!



幽助は下にしゃがんで比羅の攻撃をかわす。



幽助「オラァァァ!」



ドドドッ!



幽助は攻撃をかわすと比羅に向かって素早い連打を腹部に入れた。



ガッ!ガッ!



だが比羅のフィールドに攻撃は全て遮られる。



幽助「これでどうだ」



ズドドドドド!!!!



幽助は拳による連打をスピードをさらに上げて撃ち始める。



ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!


この攻撃も比羅のフィールドにまたもや遮られる。


幽助(駄目だ!あいつのフィールドとかいうのが有る限り俺の攻撃は通用しねー。なんかあいつに攻撃を当てる方法はねーのか?)



比羅「ハァァ!!」



ビューー!!



比羅の鋭い蹴りが幽助の頭部を狙う。



フッ



幽助は比羅の蹴りを素早く右に避けてかわす。



チッ



だが、幽助の頬を僅かに比羅の蹴りがかすめる。



幽助「ウラァァァ!!」



右の拳による一撃を比羅の顔面を狙って殴る。



ガッ!



幽助(クソッ!)



バッ!



幽助は後ろにジャンプして比羅から距離を取る為に離れた。



ポタポタポタ



幽助の裂けた頬から血が流れて地面に落ちる。



幽助「さっきの蹴りが擦ってたのか」



地面に落ちた自分の血を見た。



幽助「いいことを閃いたぜ。試してみる価値がありそうだ」



比羅「どうした?攻撃はもう終わりか?」



ズキューン!!!



比羅は素早く動いて幽助に近付く。



幽助(こっちからの攻撃をフィールドが遮るなら、あいつの攻撃が俺の身体に触れる時に、あいつのフィールドが発動するのかどうか試してやる)



比羅の渾身の一撃が再び幽助の腹部を狙ってきた。



比羅「避けないのか」



黄泉「浦飯!!」



ドガッ!!



幽助は比羅の拳を避けずに腹部に直撃を受けた。



幽助「ぐっ!!!」



ゴボッ



幽助は口から血を吐き出す。



ガシッ



比羅(!?)



幽助の腹部にめり込んでいる比羅の拳を左手で掴む。


幽助、ニヤリ。



幽助「どうやら・・・、てめーのフィールドは自分が攻撃して相手に触れている時は発動しねーようだな」



黄泉(!!)



比羅「ぬっ!」



幽助「捕まえたらこっちのもんだぜ!」



幽助はすかさず右手であの構えを作る。



幽助「くらいやがれー」



キュンンンンン



幽助は指先に妖気を込める。



幽助「妖丸!!!」



ズドォォォォォォォン!!!



幽助は十八番である妖丸を比羅の顔面に向かって放つ。



シュゥゥゥ……



妖丸は比羅のフィールドによって遮られていた。



幽助「何だと!?」



確実に妖丸が決まったと思っていた幽助は衝撃を受ける。



比羅「私を掴むまでは良かったがフィールドの力を甘くみたな」



バキッ!



幽助は比羅の一撃を顔面に受けた。



ザザザ…



幽助「クソッ!」



バッ



幽助はバックジャンプで後ろに下がった。



比羅「ワザと攻撃を受けて私の腕を掴むことを考えるとはな。正直驚いたぞ」



ピシッ



比羅(私のフィールドに僅かだが傷が!?浦飯の放った妖丸が私の無敵のフィールドに傷をつけたというのか)



黄泉「浦飯」



黄泉が幽助の隣に歩いて来た。



黄泉「腹の傷は大丈夫なのか?」



幽助「ああ、大丈夫だ。ワザとあいつの攻撃を受けるつもりで腹に防御を集中していたからな」



黄泉「そうか」



スッ



黄泉は比羅の方を向いて再び構える。



比羅(………)



比羅は何も言わずに幽助達に背中を向けて歩き始めた。



黄泉「待て!何処に行く?」



比羅は足を止めて振り向く。



比羅「フィールドを破壊した黄泉にフィールドに傷をつけた浦飯。流石に最強クラスの妖怪であるお前達二人をこれ以上相手にすると私も只ではすまないからな。桑原の居場所は気になるがここは分が悪い。大人しく退かせてもらうことにした」



幽助「てめーは桑原を捕まえて何をするつもりだ!」


比羅「フッ、さあな。黄泉、桑原の居場所は必ず突き止める。貴様らとはいずれ決着をつけてやる」



フッ



比羅の姿が消え去った。



幽助「チクショー!あいつが桑原を狙う理由がわかんねーじまいだ」



幽助の顔は悔しそうだ。



黄泉「ぐっ」



ガクッ



黄泉は膝を地面につく。



幽助「おい!大丈夫か?」


スッ



幽助は黄泉の肩に手を貸した。



黄泉「すまんな。修羅をかばった傷が酷くてな」



幽助「この近くに人通りが少ない路地裏がある。そこで少し休もうぜ」



――路地裏



黄泉「少しの間、ここで休ませてもらうぞ」



黄泉は壁に背中をつけて地面に腰を下ろした。



幽助は座った黄泉の隣に立つ。



黄泉「礼をいうぞ、お前が来てくれなかったら俺も危なかったかもしれん」



幽助「へっ、よく言うぜ!おめーなら俺が来なくても乗りきっていただろ」



黄泉「フッ」



黄泉は幽助の言葉にニヤリ。


幽助「礼をいうなら俺の方だぜ。おめーがあいつらを助けてくれるとは思わなかった」



黄泉「あいつらを助けたのは成り行きだ」



幽助「あいつらをどこに飛ばしたんだ」



黄泉「ああ、それは…」



タッタッタ



黄泉が答えようとしたその時、何処からか足跡が聞こえてきた。



黄泉「フッ、ちょうどタイミングのいい客が来たぞ」


男「あれは…蔵馬じゃねーか!」



幽助と黄泉の存在に気付いた蔵馬が二人の下まで走ってきた。



黄泉「蔵馬、また会ったな」



蔵馬「黄泉!?どうして此処に?それにお前のその傷は一体・・・」



幽助は蔵馬に話しかける。


幽助「よっ!蔵馬、久しぶりだな」




幽助の存在に気付いた蔵馬はかなり驚く。



蔵馬「ゆ、幽助!?」



異質な気を持つ者と戦った幽助と黄泉、そして蔵馬の三人が一つの場所に集結したのである。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ