幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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――人通りの少ない路地裏


幽助と蔵馬にとっては久しぶりの再会であった。



幽助「蔵馬、おめーに会うのは数ケ月ぶりぐらいだな」



蔵馬「そうだな。しかし幽助と黄泉にここで会うとは思わなかったから本当に驚いた。それより…」



蔵馬は壁に背中をつけて腰を下ろしている黄泉に話しかける。



蔵馬「黄泉、その傷は一体どうしたんだ?」



黄泉「成り行きで人間達を助けた代償だ」



蔵馬「助けた人間達?」



幽助「黄泉が追われていた桑原達を助けてくれたみてーなんだ」



蔵馬「そうか、黄泉が桑原君達を…」


(俺が戦っている間にあの男の仲間が桑原君達に接触していたのか。やはり桑原君には危険が迫っていたんだ)



黄泉「蔵馬、魔界に戻る前に最後にお前と会って帰ろうと思い、この街に修羅と寄ったんだが、強い霊気を感じてな、気になって見にいってみたら、奴に追いついめられている人間達を見つけた。それで成り行きで助けるはめになってしまったというわけだ」



蔵馬「そうか、それで桑原君達は今どこにいるんだ?みんなは無事なのか?」



黄泉「ここにはいない。修羅と人間達は逃がす為に別の場所に飛ばした。おそらく無事だと思うが」



蔵馬「飛ばした?」



黄泉「ああ、別の場所にな。俺が人間たちをここから飛ばしたのはそばにいて奴から守りきれないものもあったが、それ以上にあの人間を奴に渡したら何かとんでもないことが起こりそうな予感を肌に感じた」



蔵馬「黄泉のその傷を見たらどんな戦いしていたのか、ある程度想像出来たよ」


黄泉「フッ」



蔵馬「しかし人間を完全に食料としてしかみていなかったお前が人間を助けるなんて昔のお前から考えられないな」



蔵馬の言葉に黄泉は苦笑い。



黄泉「全くだ。お前と盗賊をしていた頃は俺は血の気が多かった。あの頃の俺ならきっと助けてはいないだろう。お前たちの影響を少なからず受けてしまっているようだ」



蔵馬「黄泉…」



幽助「それで蔵馬、おめーはどうしてここに?」



蔵馬「ああ、桑原君と雪菜ちゃんと昼間に会ったんだが、その時に桑原君を監視している者がいるという事を知ったんだ。それで俺は桑原君の様子が気になって、彼の家の近くまで来てみたんだが、そこで妖気を感じ取ってこに来てみたんだ」



幽助「なるほどな。そういえば一昨日桑原に会った時にあいつ、蔵馬に会いに行くって言っていたな」



蔵馬「そういう幽助こそ、どうしてここに?」



幽助「おめーと似た感じだ。仕事を始めたら黄泉の妖気を感じっちまってな。それで気になって来てみたんだ」



黄泉(………)



蔵馬(?)



黄泉は蔵馬の方を向いて何かを考えている



蔵馬「どうしたんだ?黄泉」



黄泉「蔵馬、お前は隠しているようだが、少し呼吸が乱れている。どこか傷を負っているのか?」



幽助は黄泉の言葉に少し驚いた表情で蔵馬を見る。



幽助「そうなのか蔵馬?」


蔵馬「黄泉、よく分かったな。お前には流石に隠せないな。さっき桑原君を狙った男の仲間が接触してきたんだ。これはその時の戦いで負った傷だ」



黄泉「フッ、目が見えないだけに人に分からないものが俺にはよく分かる。それでお前に接触してきた奴はどうした?」



蔵馬「苦戦したがなんとか倒したよ」



黄泉「流石だ。しかし俺と浦飯が戦った比羅とかいう男。俺と浦飯と同等かそれ以上の力をもっている。力も出しきった感じではなかった」



幽助「ああ、そうみてーだな。あの野郎、次に会ったら絶対にぶっ倒してやる」


蔵馬「俺が倒した男の名前は分からないが、物体を武器化する力をもった奴だったよ。俺を甘くみていた節があったから力を出される前に倒せたから良かったが、全力をだされていたら実際に勝てていたかどうか分からない」



幽助「しかし何で蔵馬に接触して来たんだ?あいつらの狙いは桑原だろ?」



蔵馬「俺が桑原君と昼間会った時に彼を監視する視線に俺が気付いた。恐らくは俺が彼らの邪魔する存在だと思ったんだろう」



黄泉「蔵馬、お前が倒した男は妖気でも霊気でもない気をもっていなかったか?」



蔵馬「ああ、異質な気や力だったよ。その口ぶりだと黄泉たちが戦った相手もそうみたいだな」



黄泉「ご名答」



幽助「あいつは妖気でも霊気でもない、わけのわからない気を放っていた。何者なんだ」



蔵馬「正体も気になるが彼らが何故桑原君を狙うのか?桑原君を使って何をするのか?彼らと戦うならこっちも情報をある程度仕入れる必要があるな」



幽助「分かっているのがやたらと強いのと、妖気でも霊気でもない気と桑原を狙っていることだけだからな」



蔵馬(……)



幽助「うん?蔵馬、おめー、何か考えでもあんのか?」



蔵馬「幽助、もしかしたらコエンマなら何か知っているかも知れないですよ。霊界の情報網ならあるいは」


幽助「そっか!コエンマならなんか知ってるかもしれねーな。あいつはああ見えても頼りになるからな。伊達におしゃぶりをしゃぶってねーぜ」



黄泉「おしゃぶり??」



おしゃぶりという単語に黄泉は不思議そうな顔をした。



蔵馬(幽助、おしゃぶりは関係ないんでは…)



幽助「俺は屋台もそのままにしているし、コエンマと話すならここから離れて俺の家に行こうぜ。ぼたんにもらった霊界と通信出来るモニターがあるからよ」



蔵馬「そうだな。黄泉も傷の手当をする必要があるし幽助の家に行こう。それでいいか黄泉?」



黄泉「ああ」



幽助「肩を貸すぜ」



幽助は黄泉に肩を貸す。



黄泉「すまんな」



三人は幽助の家に向かって歩き始めた。



蔵馬「そういえば黄泉、肝心の桑原君達を何処に飛ばしたのか聞いていなかったが、一体何処に飛ばしたんだ?」



幽助「俺もそれは気になっていた。まだ聞いてなかったよな。比羅の野郎も気にしていたし」



二人は黄泉の顔を見た。



黄泉はニヤリと不敵な笑みを浮かべて答える



黄泉「魔界だ」



続く
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