幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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――自宅を出た桑原は、
幽助の屋台にラーメンを食べに行く為に暗い道を一人歩いていた。



ビューっと冬の寒い風が吹く。桑原は寒さにブルブルと震える。



桑原「チクショー、本当に冬の夜って感じで寒いぜ」


コツコツコツと足音が前方から聞こえてくる。



暫くすると見覚えのある女性の姿が見えてきた。



桑原(あれは、浦飯のお袋さんじゃあねーか)



桑原の前から歩いて来たのは幽助の母・温子であった。



温子(!)




温子も桑原の存在に気付いた。



温子「お〜!桑原君じゃあない!!久しぶり〜!元気にしてた〜!!」



辺り一面に響き渡る温子の大きな声。



桑原「浦飯のお袋さんじゃあないっすか!お久しぶりっす」

(テンション高かいな〜)



桑原「どっかお出かけの帰りっすか?」



温子「そうよ〜ん。幽助のとこに行った帰り」



桑原「俺も今から浦飯のとこにラーメン食いに行くとこっすよ。お袋さんもラーメン食べてきたんすか?」」



温子「違うわよ。今日は別の用事でね。幽助ならこの先でお店やっているわよ」



桑原「そうっすか、じゃあ俺は食べに行ってきますんでこれで」

(お袋さん妙に機嫌がいいな…。何か良い事でもあったんか?)



温子は顔が緩みっぱなしで終始笑顔。誰が見ても何か良い事があったんだと思うほどだ



温子「ほいほい、桑原君、またね〜」



テンションが高くてご機嫌な温子の後ろ姿を見ながら桑原は思った。



桑原(絶対、あのテンションの高さと機嫌の良さは、何か良い事があったんだろうな…。羨ましいぜ)



温子と別れて暫く歩いて行くとラーメンの看板がかかった、ちょっと古い感じの屋台が営業を行っていた。


桑原(おっ!やっているな)


パサッ



桑原が屋台の暖簾をくぐると幽助は紙を手に持って何かを読んでいるようであった。



幽助「いらっしゃい…って何だ桑原か」



桑原の顔を見ると幽助は読んでいた紙を置いた。



桑原「何だはないだろ。
せっかく飯を食べに来てやったのによ」



桑原は椅子に腰をかけた。


幽助「おめーに会うの久しぶりだな。注文はラーメンでいいのか?」



桑原「ああ。ラーメンでいいぜ」

(あれこれ考えるのもめんどくさいしな)



幽助はラーメンの調理に取り掛かり始めた。



桑原(しかしこいつ、魔界から人間界に帰って来てから直ぐにラーメン屋を始めたけど、いつラーメンの修行したんだろうな…マジで不思議だぜ)



幽助は慣れた手付きで黙々とラーメンを作っている。


桑原は幽助のラーメンを作っている姿を眺めているうちに、自分の過去や現在の事に対する色々な想いが溢れでてきて幽助に語り始めた。



桑原「しかし不思議なもんだぜ。オレは何年か前まではおめーと一緒に戸愚呂や仙水と戦っていたんだよな。今考えると不思議なぐらいだ。マジで懐かしいぜ。今は俺は大学生、おめーはラーメン屋。何も刺激のない平凡な生活をしているんだからな」



幽助「へっ、昔のことを語るなんて大学生になって少し爺くさくなったんじゃあないのか桑原」



桑原「馬鹿、何言ってやがる」



桑原は苦笑いを浮かべる。


桑原「そういや、ここに来る途中におめーのお袋にあったぜ。なんか妙に機嫌が良かったが」



幽助「あのお気楽中年、ついさっき俺に依頼を持って来やがったんだぜ」



桑原「依頼?ああ〜依頼って浦飯が裏でやってる妖怪専門の何でも屋か」

(俺がここに来た時に浦飯が読んでいた紙がそうなのかな?)



幽助「そういうこと、お袋が仕事の依頼を俺に紹介して、お袋は仲介料をいくらか頂くって形だ。俺が依頼受けたから仲介料が入るから浮かれていたんだろうぜ」



桑原「それであんなに機嫌良かったんか」

(納得したぜ)



幽助「本当にろくな仕事がなくてラーメン屋がそこそこ儲かってるから一本に絞ろうか真剣に考えているぜ」



桑原(俺もラーメン屋だけにした方がいいような気がする……)



幽助「出来たぜ」



幽助は出来上がったラーメンを桑原の前に差し出した。



桑原「おっ!浦飯、これチャーシュー麺じゃあないのか?」

(確か俺はラーメンを頼んだよな??)



幽助「サービスだ。値段は、ラーメンの値段でいいぜ」



桑原「サンキュー。気が利くじゃあねーか」

(へへっやったぜ)



桑原は嬉しそうにラーメンを食べ始めた。



幽助「桑原、俺はもうすぐ戦いに戻るぜ」



桑原「何!?」



幽助の言葉に驚く桑原。



桑原(危うくラーメンを吹き出すとこだったぜ)



幽助「魔界で第二回魔界統一トーナメントが開かれるからな」



桑原「じゃあおめーは今回も出場するんだな」



幽助「ああ、もちろんだ。今回は絶対に優勝するぜ」


この時、桑原は優勝に燃える幽助を見てさっき姉の静流から聞いた雪村螢子の事を思い出した。



桑原(そういえばこいつ雪村に魔界に行くって事を話してるのかな…?)



桑原はお節介と思いつつも螢子の事を聞いてみる事にした。



桑原「まあいいけどよ。そういや、浦飯、姉貴から聞いたが大学から雪村が休みを利用して実家に帰ってきてるみたいじゃあねーか。魔界に行くならあいつにも一言いっていかねーと内緒でいってばれたら後知らねーぞ」



桑原の言葉に一瞬固まる幽助。



幽助「螢子か、大会の事ですっかり忘れてた。俺が魔界にまた行くっていったら怒るだろうな」



桑原(やっぱり言ってねーわ、こいつ)



桑原は少し溜め息をつきながら幽助にアドバイス。



桑原「てめー雪村の事も少しは気にかけてやらないと雪村に愛想をつかされて他の男にかっさらわれても知らねーぞ」



幽助「うっ…」



完全に言葉に詰まる幽助。


幽助「仕方ねー…。明日でも蛍子と話すか」



桑原「へっ、まあ頑張れや」

(なんかわからないが浦飯に勝った気分だぜ!)



幽助は螢子の事を考えているのか、困った顔で頭をポリポリと掻いていた。



桑原「そうそう、明後日雪菜さんと遊びに出るんだがちょうど蔵馬の会社の近くまで行くからよ。久しぶりに会うつもりだ」

(まあ俺が蔵馬に会うのは、訳の分からない視線の事を蔵馬に相談する為なんだけどな…)



幽助「蔵馬か。最近忙しくてあってねーな。あいつも多分大会に出るだろうもうすぐ会えるな。宜しく伝えといてくれ」



桑原「おう」



桑原はラーメンを食べ終える。



桑原「ごっそうさん。金ここに置いとくぜ」

(ラーメン美味かったな。浦飯の奴、また腕を上げたみてーだ)



幽助「おう、悪いな。毎度あり」



桑原「じゃあ浦飯またな。大会頑張れよ」



幽助「ああ」



パサッ



桑原は暖簾をくぐって屋台を後にした。



桑原「さてと、食うもん食って腹も膨れたし、姉貴に頼まれたタバコを買って家に帰るか」



桑原がコンビニに向かって歩いていると小柄の女の子が前方から歩いてきた。



桑原(あ、あれは雪菜さん!?)



雪菜「あっ、和真さん」



雪菜は桑原の存在に気付くと笑顔を見せる。



桑原「雪菜さんも出て来てどうしたんっすか?」



雪菜「さっきよく見たら和真さん、いつも着て出掛けるコートを着ていかなかったから、もしかして寒い思いをしていないかなって心配になって持ってきたんです」



桑原「感激っす!雪菜さ〜ん」



雪菜の優しい言葉に涙を流す桑原。



雪菜(和真さん、何で泣いてるのかしら??)



桑原「俺、今から姉貴に頼まれたタバコを買いにコンビニ行きますど、雪菜さんも一緒に行きませんか?」


雪菜「はい、行きます」



この時、桑原達を見つめる一つの視線があった。



駁である。



駁「さてと、貴様の能力を見せてもらおうか」



ピカーー



駁の目が光ると、雪菜の頭上にあるお店の看板が大きく揺れ始めた 。



ガラガラ



駁「しかし何で氷女が人間と一緒にいるのか不思議だぜ」




雪菜「和真さん、どうぞ」


雪菜は、桑原にコートを手渡そうと桑原に近付こうとしたその時。



ガッ!!



ヒューーーー!!!!



雪菜の頭上に看板が落下してきた。



桑原(!?)



駁「フフッ」



桑原「雪菜さん、危ねーーーー!!」



雪菜(?)



桑原「クソッ!間に合わねーか」



桑原は右手から霊気で作った霊剣手裏剣を飛ばした。


ピュー!ピュー!ピュー!


駁(!!)



霊剣手裏剣は看板に当たり、その衝撃で落下先の軌道がずれた。



桑原(よしっ!)



バッ!!



桑原は素早く雪菜のいる場所に駆け寄る。



雪菜「和真さん…」



桑原「大丈夫っすか」



駁(霊気を手裏剣にして飛ばすとはな。ならばこれならどうだ!)



ピカーー



駁の目が再び光ると軌道を変えたはずの看板が再び桑原と雪菜に向かって来た。


桑原(!)



雪菜「か、和真さん!」



桑原「なんの」



桑原は両手に霊気の剣を作り出した。




バッ!!




シュパーン!!



桑原は素早い動きで看板を細かくばらばらに切り裂いた。



ばらばらになった看板が地面に落ちた。




原「ふ〜う。かなり久しぶりに霊気を使ったぜ」



桑原は直ぐに辺りを確認して他に人がいないことを確認した。



桑原「他に誰もいなくて良かったぜ」



雪菜「びっくりしました」


桑原「怪我はないっすか雪菜さん?」



雪菜「私は大丈夫です」



桑原「良かったです」



駁「霊気の剣か…」



ザッ



比羅が駁の隣に来た。



比羅「今ので奴が言っていた者にほぼ間違いないようだな」



駁「ああ。どうする?今から捕獲するのか?」



比羅「いや、焦ることはないさ。もう数日は今と変わらずに様子を見る」



駁「相変わらず慎重派だな比羅は」



比羅「フフッ、完璧主義者だからな」



フッ



比羅と駁の姿が消え去った。



桑原(今のは時々感じる視線とは何も関係ねーと思うが、なんか嫌な予感がしてならねーぜ)



桑原の感じた嫌な予感がもうすぐ現実となろうとしていた。



桑原に危険が迫る。



続く
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