幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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雪菜「和真さん、朝ですよ〜起きてください」



桑原(zzz…)



雪菜「和真さん、起きてください」



桑原(う〜ん…)



雪菜「和真さん、今日はお出かけですよ」



桑原(…お出…か…け…)




雪菜「和真さ〜ん!」




雪菜が必死に桑原を起こしているその時だった。



ピーーン



桑原(はっ!?)



ガバッ



雪菜「きゃあっ!」



桑原はベッドがら勢いよく起き上がった。



ダダッ!!



そして駆け出す。



ガラガラ



桑原は部屋の窓を開けて辺りを見回した。



桑原(チクショー!またあの視線だぜ…)



雪菜「急に起きるから驚きました」




桑原「あ…おはようっす雪菜さん」

(昨日はあの視線を感じなかったのにな)



雪菜「急に飛び起きて、
どうしたんですか?」



桑原「いやぁ、寝ぼけていただけっすよ」



雪菜が心配しないように誤魔化す桑原。



雪菜「揺すっても全然起きなかったのに、突然起きたから本当にびっくりしましたよ」



桑原「ハハハ、申し訳ないっす」



雪菜「改めておはようございます。和真さん」



桑原「へへっ、おはようっす雪菜さん」



ズキッ



桑原(痛てて)



桑原は頭の痛みから思わず額を手でおさえる。



桑原(しかし気持悪いな。二日酔いだぜ…。あいつらと会ったのが久しぶりだったから、ついつい遅くまで飲んだからな…。昨日は霊気痛で今日は二日酔いかよ)



桑原は起きてから身体を左右に振ってみた。



桑原(昨日、あれだけ霊気を使ったけど痛みはもうあまりねーみてーだな)



桑原は両頬をパンっと叩く。


桑原「よしっ!」



――皿屋敷中学校の裏山での特訓の翌日である今日は、雪菜の提案により桑原の父の誕生日プレゼントを買いに出かけることになっていた。



ようやく目覚めた桑原は雪菜と昼前に出かけたのだった。



桑原「ちょっと雪菜さん、親父のプレゼントを買いに行く前にちょっと会いたい人がいるのだけどいいっすか?」



雪菜「会いたい人ですか??」



桑原「あの建物に書いている会社名を見たら誰か分かりますかね?」



桑原は目の前に見える会社の看板を指差した。



雪菜「え…っと畑中建設…」



桑原「分かったっすか?」


雪菜、ニコリ。



雪菜「分かりました。蔵馬さんですね」



桑原「正解っす。さっき家を出る前に会社の近くを通るから、昼休みに会えるんだったらどこかで会わないかって蔵馬に電話で聞いたんっすよ」



雪菜「それで大丈夫だったんですか?」



桑原「もちろん。会社の近くのあの喫茶店で待ち合わせしているっす」



桑原は畑中建設近くにある喫茶店を指差した。



雪菜「蔵馬さんとお会いするのは久しぶりですから嬉しいです」



桑原「俺も蔵馬に会うのは、久しぶりっすよ」



雪菜「蔵馬さんはお店にもう来ているのですか?」



桑原「蔵馬の事だから来ていると思いますよ。行きましょう!」



雪菜「はいっ」



ガチャッ



店員「いらっしゃいませ」



桑原が喫茶店の入口のドアを開けると若い女性店員が出迎えた。



店員「お客様は2名様ですか?」




桑原「いや、知り合いが先に来ていると思うんだけど」



桑原が店内を見渡すとテーブルの椅子に座ってコーヒーを飲んでいる蔵馬を発見した。



桑原「おっ!いたいた」



桑原と雪菜は蔵馬の座っている席に向かった。



桑原「いよぉぉ〜蔵馬!」



雪菜「お久しぶりです。蔵馬さん」



桑原達が声をかけると蔵馬は二人に気付いて優しい顔で微笑んだ。



蔵馬「あっ、久しぶり!桑原君、雪菜ちゃん」



桑原「悪いな蔵馬。呼び出してよ。お前と久しぶりに話しがしたくてな」

(本当は、蔵馬に相談する為に会社の近くをわざわざ通ったんだけどな)



蔵馬「いいですよ。丁度休憩時間だったからね。桑原君も雪菜ちゃんも元気そうじゃないですか」



桑原「おう!俺はいつでも元気だぜ」



桑原は右手の服の裾をまくって力コブを作る。



雪菜「蔵馬さん、お仕事の方はどうですか?」



蔵馬「ああ、順調だよ。先日大きなプロジェクトが成功してね」



桑原(へぇぇ〜。流石は蔵馬だな)



雪菜「わぁぁ!!凄いです」



桑原「しかし、もったいないよな〜。蔵馬ほど頭が良かったら、かなりいい大学に入ってゆくゆくはエリートコースをまっしぐらだろうによ」

(俺もそろそろ卒業後の就職の事を考えねーと…)



蔵馬「はは。仕事が面白くてね。桑原君の方こそ大学を楽しんでいるでしょう?」



桑原「まあな。二流大学だけどよ。暇な大学生生活を送ってるぜ。そういえばよー、浦飯に聞いたんだけど、また魔界の王を決める大会があるんだって?」



蔵馬「ええ、現在の魔界の王の煙鬼が前大会で優勝した時に三年後にまたやるって言っていましたからね」


桑原「浦飯の奴、今度は優勝するって張り切っていたぜ」



蔵馬「フフ、幽助らしいですね。そうそう、昨日黄泉に会いましたよ」



桑原「黄泉?黄泉ってどっかで聞いた名前だな…。え〜っと誰だったっけな〜」
(う〜ん以前確かに聞いた名前なんだけどな・・)



桑原は腕を組んで考え込んでいる。



蔵馬「前大会で幽助を倒した妖怪ですよ」



桑原「なぬっ!?浦飯を倒したっていう妖怪なら魔界でも最強クラスの奴じゃあねーか!そんな奴が人間界に来ているのか!! 」

(げげっ!マジかよ〜!?)


蔵馬の言葉に桑原は驚いて席から立ち上がる。



蔵馬「もう今は霊界の作った結界がないですからね。どんな妖怪も人間界に来ることが出来ますよ」



桑原「お〜、そういえばそうだったな。霊界は魔界との結界を解いたっけな。平和ボケしてすっかり忘れていたぜ」

(戦いからずいぶん離れていたからな…)



キョロキョロ



桑原は窓の外や店内を見回す。



桑原「ぬうう。この辺りにA級以上の妖級がいても不思議じゃあねーって事か。全く気にしてなかったからよー。なんか久しぶりに緊張感が……」

(あ〜なんか知らねーがドキドキしてきたぜ)



蔵馬「はは、別に邪悪な妖気を感じたりしないでしよう。煙鬼の決めた法案が人間界に迷惑をかけないということが基本になっていますから、これまで人間と妖怪との間にトラブルが殆どなく順調にきていますよ」



桑原「そうなんか。そういえば浦飯の奴も本業のラーメン屋の裏でやってる妖怪関係専門の探偵もあんまり仕事がないってぼやいてたな」

(浦飯の奴もラーメン屋一本にしたらいいのにな)



雪菜「和真さん、私ちょっとお手洗いに行ってきますね」



そう言って雪菜は席を立った。



桑原「雪菜さ〜ん!トイレでごゆっくりして来て下さいね」



大きな声で喋る桑原に雪菜は少し恥ずかしそうにトイレに歩いていった。



桑原(雪菜さんには悪いが蔵馬にあの話しをするチャンスだぜ)



桑原は雪菜の姿が消えたことを確認すると、ちゃらけていた顔から急に真面目な顔になった。



桑原「蔵馬、おめーを呼び出したのは実は気になることがあってな」

(この為に蔵馬に会いに来たんだからな)



蔵馬「何かあったんですか桑原君?」



桑原「ああ、ここ最近なんだが妙な視線を感じることが多くてな」



蔵馬「妙な視線?」



桑原「ずっとというわけではないけどな。ただその視線が俺に向けられているものか、雪菜さんに向けられているものかが分からないな」



蔵馬「大学以外では、雪菜ちゃんと桑原君は一緒にいることが多いですからね」


桑原「ああ、大学は丁度今は冬休みだからよ。雪菜さんと一緒にいられるのが嬉しいが、その視線が不気味でな。妖気や霊気とかを特別に感じるわけでもないが」



蔵馬「妖気を感じないなら妖怪でもなさそうですね」


桑原「ああ、妖怪じゃあねーってのが気になるんだけどな。妖気なら雪菜さんも気付くだろうし。まあ俺の気のせいならいいが」

(妖怪なら本当に直ぐにでも分かるんだよな)



雪菜がトイレから出てきた。



桑原はチラッと横目で雪菜の姿を確認。



桑原「蔵馬、雪菜さんが帰ってきた。もしなんかあったらまた話すぜ」



頷く蔵馬。



雪菜「お待たせしました」


雪菜が席につく。



雪菜「蔵馬さん、そういえば飛影さんはお元気ですか?」



蔵馬「飛影とは最近は会っていないな。でもあいつは修行をしながら魔界に迷いこんだ人間を保護して人間界に送り返している活動をしているみたいですよ」



雪菜「へ〜。人間の保護とか飛影さんは素晴らしい活動をされているんですね。かっこいいです」



桑原「雪菜さ〜ん、あんなひねくれもんより俺の方がかっこいいっすよ」

(飛影には負けねーぞ)



桑原はまた右手の服の裾をまくって力コブを作って見せる。



桑原「大会には蔵馬、おめーも出るんだろ?」



蔵馬「黄泉にも昨日聞かれましたよ。まだ分からないないと答えたけど、一応出場することになると思う」


桑原「浦飯に飛影にお前に黄泉、前回優勝の煙鬼って奴。今度は誰が勝つんだろうな」

(もう俺にはついていけない次元の戦いなんだろうな…)



蔵馬「俺も今回は分からないな。せっかくの大会なのだから桑原君も出てみたらどうですか?」



桑原「冗談きついぜ蔵馬!俺が行ったら赤っ恥じかいてしまうぜ」

(俺が大会に出たら命がいくつあっても足りねーぜ)


蔵馬「桑原君も妖怪でいえばA級妖怪並の力を持っている。修行次第では、勝てないまでも本選まで残れる力はあると思いますよ」



桑原「まあ俺は、雪菜さんを守れる力があれば充分だけどな」


(雪菜さんを守りたいって気持は誰にも負けねー。昨日の特訓で次元刀は出せるようになったし使いこなせてねーが新しい剣みたいなのも出せたし、何があっても守ってみせる)



雪菜はさりげない桑原の優しい言葉に頬を赤くしている。



蔵馬(!?)



蔵馬は急に腕時計を見て慌ただしい素振りを見せる。


桑原(蔵馬の奴、急に血相を変えて一体どうしたんだ?)



蔵馬「桑原君、すまない。俺はそろそろ時間だ。
仕事に戻るよ」



桑原「おうっ!忙しい時に悪かったな蔵馬。またおめーが魔界に行く前にでも会おうぜ」

(何だ仕事か…。なんかあったんかと思ってびっくりしたぜ)



雪菜「お仕事頑張ってくださいね」



蔵馬「ああ、じゃあ二人ともまたね」



蔵馬は二人を残して喫茶店を後にした。



雪菜「蔵馬さん行ってしまいましたね」



桑原「俺達もここで軽く食事してから行きましょうかね」



雪菜「そうですね」



――夕方を過ぎ、もうすぐ夜と呼べる時間帯。
冬の空はすっかり暗くなっていた。



雪菜「遅くなりましたね。でも時間をかけただけ、
お父様に良いプレゼントが買えましたよ」



桑原「あの親父にその服を見せたらきっと驚きますよ。猫たちが俺の餌を待ってるから早く帰りましょうか」



雪菜「はい」



桑原の父の誕生日プレゼントを買った二人は家への帰路にいた。



桑原「この辺りは暗くて人通りが少ない場所なんだよな」



その時だった。コツコツコツと桑原と雪菜の歩いている道の先から足音が聞こえてきた。



そして暗闇の中から一人の男が姿を現した。



桑原「何だあいつ??髪の色が金髪だ。外人か?」



金髪の男は桑原達の目の前で足を止めた。



そして不敵な笑みを浮かべる。



比羅「初めまして桑原。私はお前の力が欲しい」



桑原(!?)



続く
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