幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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――躯の居城の近くの丘の上



飛影はヘアバンドを外して第三の目である邪眼を開いた。



飛影(大きな霊力が一つ、東に向かって移動しているな)



飛影「やれやれだぜ」

(霊力以外にいくつか妖気を感じた。やはり捕獲に手間どっているようだな)



飛影はヘアバンドを装着した。



飛影「行くか」



飛影はそう言うと人間のいる場所に向かって走り出した。



――2番地区は魔界統一トーナメント前までは躯の支配していた場所で深い森に囲まれ凶暴な獣が多く生息して場所である。



森の中を妖怪が走りながら叫んでいる。



妖怪「おい貴様!いい加減に逃げるのやめてこっちに来い!!」



ザッ!!ザッ!!ザッ!!


一人の人間が全力で走っている。



人間「クソ!なんだってんだ、あいつらは」



人間は 振り向くと同時に霊気で作った複数の手裏剣を飛ばした。



ビューン!ビューン!ビューン!



「おっ!?」



ガキーン!ガキーン!ガキーン!



妖怪は霊気の手裏剣を腕で弾き飛ばした。



人間はその間に霊気と気配を完全に消して姿を消した。



「こんなことまで出来る人間がいるとはな」



後ろから躯の居城に報告に行っていた月畑が追いついて来る



月畑「人間を見失しなったのか酒王?」



酒王と呼ばれた妖怪は振り向く。



酒王「ああ、逃げられた。人間のくせにやたら強い上に霊気を消すことまでできる奴とはな」



月畑「先ほど上に報告してきた。おそらく躯様直属戦士の誰かが派遣されて来る筈だ」



酒王「まったくパトロール中にあんな人間に遭遇するとはな」



月畑「しかしあの人間、俺達が危害を加えると思ってんだろうな」



酒王「失礼だよな。俺の顔を見るなりいきなり逃げ出したんだからな」



月畑(・・・)

(お前の顔をいきなり見たら人間なら驚いて逃げるよ)



酒王「このナイスガイな俺に驚いたんかな」



月畑「ははは…だろうな」
(絶対にない)



ザッザッザッ



草村から足音が聞こえてきた。



月畑「時雨様!?」



酒王「時雨様が派遣されてきたのですか?」



時雨「何の話だ?拙者は躯様に用があって居城に向かっていたところだ」



酒王達はこれまでの事情を話した。



時雨「これは真に驚いた。そんな人間がいるのか。何者か興味があるな。拙者が捕獲してやる」



――一方酒王達の追跡から逃れた人間は森の出口を探して走り続けている。



人間「チキショー、どうにか妖怪をまいたのはいいが早くここから抜けないとな」



人間の姿は180を超える長身で髪の毛はリーゼント風。逃走中の為か所々ズボンとシャツは破れている。



人間「ここはおそらく魔界だろうな…。また来ることになるとは思わなかったぜ。あんにゃろう!こんなとこに俺を飛ばしやがって」
(ここが魔界なら俺を助けて協力してくれそうな奴はあいつぐらいしかいないな)



草村をひたすら走り続ける人間。



ザッ



人間(!?)



時雨「先回りさせてもらったぞ」



人間(こいつはスゲー妖気だ。俺を追いかけてきた奴らとは比べものにならねーぜ)



時雨「人間にこれほどの霊気を持った奴がいるとは真に驚いた。霊界の基準でいうとA級妖怪クラスか」



人間(まずいぜ・・・。まともにやりあってどうにかなる相手じゃあない。逃げる方法を考えないとな)



時雨「人間にしては高い霊力を持つ御主が何者か興味があるが御主を傷つけるつもりはない。拙者と一緒にくれば悪いようにしない」


人間(浦飯、てめーならこの場合はどうするんだろうな)



続く
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