幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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――深い森の中を桑原は、全力で走り続けている。



酒王から追いかけられていた桑原は、長時間に渡って酒王から逃げ続けていた。



酒王「おい、貴様いい加減に逃げるのやめてこっちに来い!!」



ドスドスドス



酒王は、遅い足ながら桑原を見失しなわないように全力で追いかけている。



桑原「クソ!なんだってんだ、あいつらは」

(霊気をけっこう消耗するけど仕方ねぇか!)



クルッ



ジジジ・・・



桑原は、 振り向くと同時に霊気で作った複数の霊剣手裏剣を飛ばした。



桑原「うらぁぁぁ!!」



ビューン! ビューン! ビューン!



酒王「おっ!?」



ガキーン! ガキーン! ガキーン!



酒王は、桑原の放った霊剣手裏剣を腕で弾き飛ばした。



桑原「よし、今のうちだ」



スゥゥー



桑原は、酒王が霊剣手裏剣を弾く間に霊気と気配を消して隠れた。



桑原(金髪の野郎から最初に逃げた時に霊気を消していればあんな発信機で簡単に見つからなかったんだけどな・・・)



ドスドスドス



酒王は、桑原を探して先に向かって走り去っていった。



桑原「しかし、あの妖怪の姿には、参ったな・・あんな気色悪い姿のくせに戸愚呂(弟)より妖気が上なんてよ〜」



ザッ



桑原(暫くこの辺りに隠れながら少しずつ進んで行くか・・)



ザッザッザッ



桑原は、霊気と気配を断ちながら森の中をゆっくりと走りながら進んで行く。



桑原「畜生、どうにか妖怪をまいたのは、いいが早くここから抜けないとな」



キョロキョロ



まるで迷路のような深い森を桑原は、走っていた。



桑原「ここは、おそらく魔界だろうな・・。また来ることになるとは、思わなかったぜ。あんにゃろう!こんなとこに俺を飛ばしやがって」


(ここが魔界なら俺を助けて協力してくれそうな奴は、あいつぐらいしかいないな)



草むらをひたすら走り続ける桑原。



ザッ



桑原(!?)



時雨「先回りさせてもらったぞ」



桑原の目の前に円形の刀を持った強い威圧感を放つ男が現れた。



桑原(こいつ凄げぇ妖気だ。俺を追いかけてきた奴らよりケタ外れだ・・)



時雨「人間にこれほどの霊気を持った奴がいるとは、真に驚いた。霊界の基準でいうとA級妖怪クラスか」



桑原(まずいぜ・・まともにやりあってどうにかなる相手じゃあない。逃げる方法を考えないとな)



時雨「人間にしては高い霊力を持つ御主が何者か興味があるが御主を傷つけるつもりはない。拙者と一緒にくれば悪いようにしない」



桑原(浦飯てめぇならこの場合どうするんだろうなぁ・・)



桑原は、頭の中で自分より遥かに強い目の前の相手をどうするか考えて一つの結論に至った。



桑原(仕方ねぇ、まともに戦って勝ち目は、ねぇ。ここは、先手必勝)



桑原「うぉりゃぁぁぁぁ!!!」



時雨(こちらは、危害を加えないっていっているのに抗戦的なやつだな)



ザッザザザザッ!!



バッ!



桑原は、走りながら両手を広げた。



桑原「くらいやがれぇぇ!!」



ジジジ・・・



桑原「霊剣二刀流!!!」



時雨(霊気で作った剣か・・)



カシャッ



時雨は、桑原の攻撃を受け止める体制を取った。



バッ!!



桑原は、時雨の少し手前から思いっきり飛び上がった。



時雨(何をするもりだ)



キュキュッ



ギュッ!!


桑原は、空中で2本の霊気の剣を繋げて一本の長い棒を作り上げた。



時雨「なんと!?」



時雨は、桑原の意外な行動に驚いた。



桑原「おらぁぁぁ!!!」



ザクッ!!



ビョーーン!!!



桑原は、その棒を地面に突き刺さしその反動で身体を振り時雨の頭上を越えて10m先まで飛んだ。



ズシャッ!!



桑原「へっ戦っても勝ち目がないからよ!ここは、逃げるぜ」



ザッザザザザッ!!



桑原は、着地すると同時に走って逃げた。



時雨は、苦笑いを浮かべた。



時雨「油断していたとは、いえ、真に驚いた」


(霊気の剣を空中で結ぶとは、非常識なやつだな)



チラッ



桑原は、後ろを振り返りながら



桑原「へっ上手くいったぜ。やはり先手必勝だ」



ドン!!



桑原「うぉっ!?」



ドテッ!



何かにぶつかり思いっきり尻餅をついてしまった。



桑原(痛てて・・何だ・・)



飛影「フッ、先手必勝とは、お前も利口になったな」



桑原「あっ・・お、お前は!?」



飛影「やれやれ。しかし何でお前がここにいる?」



桑原「ひっ飛影!!」



桑原は、驚きの表情を見せる。



飛影「フン、久しぶりだな。桑原」



桑原と飛影の二人が会うのは、正聖神党事件以来であった。



桑原「な、なんでお前がここにいるんだ・・」



飛影「それは、俺が聞きたいぜ。A級クラスの力をもった人間がいるからと報告を受けてどんな野郎かと思ってきてみればまさかお前とはな」



ザッ



桑原の背後に時雨が追いついてきた。



時雨「飛影か」



飛影「時雨、この人間は、俺の知り合いだったぜ」



チラッ



チラッ



桑原は、飛影と時雨の顔を見た。



桑原「お、おめえら知り合いなのか?」



飛影「ああ。こいつの名前は、時雨。躯の直属の77人の戦士の一人で俺に邪眼を移植し剣術を教えた男だ」



桑原「じゃあ、あんたが飛影の邪眼を・・・」



コクッ



時雨「如何にも拙者が飛影に邪眼を移植し剣術を教えた。しかし御主が飛影の知り合いとは、真に驚いたぞ」



ザッ ザッ



時雨に続いて酒王と月畑も追いついてきた。



酒王「追いついた・・」



桑原「げげっ、てめえは・・!?俺を追いかけていた奴じゃないか!!?」



チラッ



桑原は、また飛影の顔を見た。



桑原「飛影、まさか、こいつらもおめえの知り合いか」



飛影「ああ、こいつらは、躯の部下の妖怪、酒王と月畑だ」



時雨「拙者達は、魔界に迷い込んだ人間を捕獲して保護し人間界に返すパトロールをしているのだ」



桑原「じゃあ、こいつらが俺を追いかけていたのって・・」



飛影「フン、お前を保護して人間界に連れて帰る為だったというわけだ」



桑原「そうだったんか、俺は、てっきり・・」



(ニコニコ)
酒王「俺の顔を見るなり逃げるなんて俺の美しさに照れたってことだな」



バキッ



桑原の強烈な一撃が酒王に直撃した。



酒王「なんで・・」



バタッ



この時ばかりは、比羅のスピードを超える程の素早い突然の桑原のツッコミの一撃だった為に酒王は、まともにくらって失神した。



桑原「ハアハア、なんかこいつの顔を見ていたら手、手が勝手に・・」



コクコク



時雨・月畑(分かる)



飛影(やれやれだぜ)



月畑「ところでこの人間をどうしますか?」



時雨「そうだな、とりあえず躯様の居城にでも連れていくか?」



飛影「そうだな、だがその前に先程の質問だがなんで魔界にお前が来ているんだ?」



桑原「実はよ・・」



桑原は、これまでの出来事の全てを飛影に話した。



―5分後



飛影(雪菜が・・・)



飛影は、桑原から雪菜の事を聞かされて表情は、変えないものの動揺していた。



時雨「その者がお主を追って魔界にまで来るかも知れんな」



桑原「黄泉の奴と金髪の野郎がその後どうなったかわからないが金髪の野郎には、他に仲間もいそうな感じだったから金髪の野郎もしくは、そいつらが俺を追って魔界に来るかもわからないぜ」



ずっと桑原の話しを聞いていた飛影が時雨に話しかけてきた。



飛影「・・時雨、悪いが桑原を躯の所へ連れていってくれ」



時雨「お主は、どうするのだ?」



飛影「俺は、少し行く所が出来た。悪いが頼んだぞ」



桑原「お、おい飛影!」



ザッザッザッ



飛影は、そう言うと素早く走り去っていった。



時雨(おそらく、妹を探しにいったな・・)



桑原「急にどうしたんだ、あいつ・・」



月畑「桑原っていったな。今から俺と時雨様で躯様の所へ案内するぜ」



時雨「拙者達についてくるがいい。躯様にも御主のことや先程の話しを報告せねばならないからな 」



桑原「おう!わかったぜ」



チラッ



時雨は、飛影の走り去った後を見て心の中で呟く。



時雨(飛影よ。拙者との対決で手術代は、お主に返した。そろそろ妹に自分が兄と名乗ってもいいのではないか?)



飛影は、魔界に妹・雪菜が黄泉により魔界に桑原と同様に飛ばされて来ているかも知れないことを知り心の動揺を抑えられなかった。



飛影(・・・雪菜)



そして酒王は、そのまま忘れられて失神していた。



酒王「う〜ん・・・」



続く
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