幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
22ページ/35ページ

――寒い冬のある日。とある墓地に、墓参りに来ている三人の男女の姿があった。



雪菜「静流さん、お水入れ替えましたよ」



静流「ありがとうね、雪菜ちゃん。こっちもお墓の掃除は終わったわよ。和〜雪菜ちゃんにお花を渡してよ」



桑原「へいへい」



静流と一緒にお墓のまわりを掃除していた桑原がお花を持ってきた。



静流「フフッ、しかし和の顔でお花を持つと似合わないわよね」



桑原「うるせー。それが姉が可愛い弟にいう台詞か!」



キョロキョロ



静流は辺りを探す素振りを見せる。



静流「可愛い弟なんて何処にいるのかしらね〜」



静流は桑原の後ろにまわると桑原の両肩に手を置いてヒョコッと顔を出す。



桑原「おいおい…。姉貴なんだよ」



静流は悪戯っぽい顔で雪菜に問いかける。



静流「ねえねえ雪菜ちゃんはこの馬鹿は可愛いと思う?」



突然の静流からの質問に驚いた顔をする雪菜。



雪菜「えっ?えっ?和真さんですか??」



ジーーと桑原の顔を見つめる雪菜。



雪菜に見つめられて頬を赤くする桑原。



桑原(雪菜さん…。貴女はやっぱり可愛いっす)



雪菜「えっと…。和真さんは凄く特徴的なお顔で可愛いと思いますよ」

(何て言ったらいいのかよく分からないです)



雪菜の答えに桑原はニヤリ。



桑原「聞いたかよ姉貴!。雪菜さん俺の事可愛いとよ」



桑原は思わずVサインをした。



静流はやや呆れた顔で溜め息をつく。



静流「やれやれ特徴的なって言葉は全く耳に入ってないようね」



桑原は一人で小踊りを踊っている。



静流「はいはい和、馬鹿はもういいから、雪菜ちゃんにさっさとお花を渡して」


桑原「何だよ、姉貴がいいだしといてよ〜。はい、雪菜さん。お花です」



雪菜にお花を手渡す桑原。


雪菜「ありがとう和真さん」



やることを終えた三人は、線香に火をつけてお墓に手を合わせた。



静流「でも早いもんね。婆ちゃんが亡くなって三年近くたつもんね」



桑原「そうだな。幻海の婆さんが死んでから月日がたつのがあっという間だったぜ」



雪菜「いい御方でしたよね」



桑原「この婆さんの弟子の選考会で、俺は武蔵と戦って霊剣が使えるようになったんだよな」



静流「和も選考会が終わってから色々なことに首を突っ込むようになったのよね」


桑原「まあな。浦飯にくっついて四聖獣と戦ったり、垂金邸に乗り込んで暴れたり、戸愚呂や仙水たちと戦ったんだよな」



チラッ



雪菜を見る桑原。



雪菜(?)



桑原(考えたらあの選考会がなかったら浦飯の戦いにも首突っ込んでいないだろうし、雪菜さんに会うこともなかったんだよな…)



桑原は幻海のお墓の方を向いて再び手を合わせる。



桑原(婆さんに感謝するぜ。願わくばこれから俺達が変な争いに巻き込まれることなく雪菜さんとずっと一緒に暮らせて、大学も無事に卒業出来て、それからいい就職先が見つかってそれから宝くじが…)



その時桑、原の耳に幻海の声が響いた。



幻海(馬鹿たれが!!あたしは神様なんかじゃあないよ。勝手にそんなこと頼むんじゃあないよ)



ゴンッ!!!



桑原「痛って〜〜!!」



桑原が突然声をあげる。



静流「なによ!いきなり声をあげて…。びっくりするじゃあない!」



雪菜「和真さんどうしたんですか??」



桑原は頭をさすりながら



桑原「なんか、急に幻海の婆さんの声が聴こえてきて誰かが俺の頭を叩いた」



ゴンッ!!



静流が桑原の頭をどつく。


桑原「痛ってーな姉貴。何すんだよ〜」



静流「そんな馬鹿な話しがあるわけないだろう。何を寝ぼけてるんだい」



桑原「だって婆さんの声が……」



ゴン!!!



静流「まだ言うか、この口は」



桑原「痛てーー!!また殴りやがったな!この馬鹿姉貴!」



静流「誰が馬鹿姉貴だ!」


ドカッ バキッ ボコッ



何故か幻海のお墓の前で姉弟喧嘩をはじめた二人。



――1分後



桑原「痛てて。あ、姉貴!参った、参ったって」



雪菜(前々から思っていましたが、やっぱり和真さんより静流さんの方が強いような…)



静流「全く馬鹿言ってないで雪菜ちゃんと何処か遊びに行ってきなよ」



桑原「へっ?姉貴はどうするんだ??」



静流「あたしはちょっと寄るところがあるからさ。せっかく朝から出て来て時間があるんだからさ。二人でデートでもしてきたら?」


姉の言葉に桑原はニヤリ。




桑原「おうよ。雪菜さん、今から映画でも見に行きましょうよ!」

(やったぜーー!!)



雪菜「映画ですか?」



桑原「そうで〜す」



桑原が雪菜のそばに近づこうとしたその時だった。



ピーン



桑原(!!)



キョロキョロ



桑原は急に辺りを見回し始めた。



雪菜・静流(??)



静流「和、どうしたのよ?」



桑原「いや〜、気のせいだと思うけどよ。誰かの強い視線を感じたんだよ。なんか見られているような、そんな感じだった」



静流「婆ちゃんの声が聴こえるとか誰かに見られているとかあんた疲れているんじゃあないの?」



桑原「そうかな…」


(でもなんか今感じたのは、凄く嫌な感じだったな)


その時、桑原達の姿を遠くから見つめる者がいた。



比羅「フッ、あれがあいつがいっていた例の者か」



比羅は目的のターゲットを見つけて不気味な笑みを浮かべていた。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ