幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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比羅「初めまして桑原。私はお前の力が欲しい」



桑原(!!)



桑原は比羅を見た瞬間に全身に鳥肌がたったのだった。



桑原「てめーは一体何者だ?」

(何だ、こいつから感じる気は…。今まで感じたことのねー感じだぜ)



比羅「フッ、何者かだと?こうすれば私の事に気付いてもらえるかな?」



ピカーー



比羅の目が一瞬光った。



桑原(この感じる視線は!!!?)



比羅「その顔を見ると、
どうやら分かってくれたみたいだな」



桑原「そうか、俺が時折感じ続けていたあの視線はてめーの仕業か!」



比羅「そういうことだ」



桑原「てめーは何で俺をずっと監視していたんだ!!」

(あの視線は雪菜さんを狙っていたものではなくて俺だったのか…)



比羅「さっきも言ったがお前の力が欲しいからだ。
監視していたのは、
まさか人間の中に私達の目的を成就させる可能性がある能力者がいるとはにわかに信じがたかったからだ。能力者かどうか確認する為に、お前を暫くの間監視させてもらっていたというわけさ」



桑原(能力者…)



比羅「ある男からお前の存在のことを聞いた。私たちの目的の成就にはお前が持つ能力が必要なのだ」



桑原「ある男だと?俺の能力を必要とするならてめーの目的は、俺の次元刀か!」



比羅「フッ、何故次元刀だと思う?」




桑原「昔、俺の次元を切るる事の出来る能力を欲しがって俺を捕まえた野郎達がいたからよ!!」



比羅「あの男からも聞いているよ。次元を切り裂くことの出来るお前の次元刀。人間とは思えない素晴らしい能力だ。だがお前にはさらなる上位能力に目覚める素質がある。私たちの目的にはその目覚めた能力の方が必要なのだ。彼は、お前ならその能力に必ず目覚めると言っていたよ」



桑原「次元刀を超える上位能力だと!?」

(鈴木にもらった試しの剣で昨日次元刀を出した時に出たあの剣がそうなのか??いやいや…まだ結論を出すには早いぜ!まだ昨日、力が尽きて試してないからどんな力かも分かんねーし…)



比羅「人間相手に手荒い真似はあまりしたくはない。協力をすれば身の安全を保証してやる。拒めば私は、力に任せてお前にいうことをきかせるまでだ」



桑原(……)



桑原はチラッと雪菜を見た。



雪菜「和真さん…」



雪菜は心配そうな顔で桑原を見つめている。



桑原(クソッ…。あいつが何者か分かんねーが恐らく俺が手に負える相手じゃねーぜ…。俺のせいで雪菜さんをこんな危険な目に合わせてしまうなんてよ…)



雪菜はギュッと桑原の服を掴んでいる。



桑原「てめーがさっきから言っている“あの男”って奴は、何で俺の事を知っていやがるんだ?」



比羅「やはり気になるか?お前とは面識のある者だ。私と来ればすぐに会わせてやるさ」



桑原「へっ!別に会いたくもねーぜ!!こんなことを企むなんてろくな奴じゃねーだろうからな」

(どうする??とりあえずこの場所から逃れることを考えねーと…)



比羅「さてどうするのか?隣にいる氷女をどうにかすれば私に協力してくれるのかな?」



比羅は冷酷な笑みを浮かべて雪菜を見た。



桑原(!!)



比羅の言葉に桑原は比羅に対して強い殺気を見せた。


桑原「雪菜さんには指一本触れさせねーぜ!」



桑原は右手を前に突き出すと霊気を集中し始めた。



桑原「行くぜ!!!次元刀ォォォ!!!」



ピキーン



桑原の右手に次元刀が現れた。



比羅「これが次元刀か」



桑原「おりゃあぁぁぁ!!!」

(先手必勝!!)



桑原は次元刀で比羅に斬りかかる。



比羅「フッ」



比羅はその場所から一歩も動かない。



比羅(私にはフィールドがあるが、あの男のいう通りなら、あの剣に直接接触するのは止めといた方がいいな)



ビューン!!!



桑原の一撃が比羅の頭上に振り下ろされた。



比羅「遅い」



フッ



次元刀が比羅に身体に触れる瞬間、比羅は桑原の目の前から姿を消した。



空を斬る次元刀。



比羅「こっちだ」



桑原(!)



比羅はいつの間にか桑原の背後に回っていた。



ビューン!



比羅の拳が桑原の顔面をとらえる。



バキッ!!



桑原「ぐわァァァァ!」



ズシャッ!




桑原は比羅に雪菜の立っている場所まで殴り飛ばされた。



雪菜「和真さん!!!」



雪菜が倒れた桑原に直ぐに駆け寄る。



桑原「うっ…チクショー……!」



桑原が立ち上がろうとしたその時だった。



グラッ



桑原の足が膝から崩れた。


ガクッ



地面に膝をつく桑原。



ブルブルブル



桑原(足が!?)



比羅「今の一撃で足にきたようだな。もう戦う事も逃げることも出来ないな」



桑原「やべーぜ…」

(こいつ、やはりとんでもねー奴だ。俺が勝てなかった仙水以上の強さだぜ…)


雪菜「和真さん、動かないで」



スッ



雪菜は桑原の顔にそっと手を当てると回復の術をかけ始めた。



桑原「雪菜さん…」



ポワーン



癒しの力が桑原の身体を包み込む。



比羅「あの氷女…、回復の術が使えるのか」



シュゥゥゥ・・・



桑原「助かりましたよ!雪菜さん。なんとかこれで少しは動けます」



そう言うと桑原は立ち上がった。



雪菜「良かったです、和真さん」



雪菜は立ち上がった桑原を見て安堵の溜め息。



桑原「すまねー雪菜さん、奴の狙いは俺だ。俺のせいで危険な目に巻き込んじまって」




雪菜「和真さん、私の事は大丈夫です。それよりここから逃げた方がいいです。あの人は人間でも妖怪でもないです。凄い異質な気を感じます」



雪菜は鋭い目で比羅を見た。



桑原「そうっすね…。俺も今まで感じたことのない気を感じますよ」

(雪菜さんも感じたか…。妖気でも霊気でもない異質な気だからな)



雪菜「和真さん、どうしますか…?」



桑原「そうっすね…」

(そういえば以前正聖神党の奴らをやっつけた時に次元刀で空間を切り裂いて侵入したんだっけな…)



比羅「先ほどの氷女に対するお前の反応。その氷女をどうにかした方が、お前に協力をさせるのに一番効果的みたいだ」



比羅はゆっくりと歩いて桑原達に近づいてくる。




桑原「させねーぜ!!」

(上手くいくか分からねーが、次元刀で空間を切り裂いて他の場所に逃げてやる)

桑原は再び右手を前に突き出した。



桑原「次元刀ォォォ!!!」



ピキーン



桑原の右手に再び次元刀が現れた。



桑原は雪菜に向かって小声で話しかける。



桑原《雪菜さん、俺は今から次元刀で空間を切り裂く。そうしたらすぐに俺にしがみついてください。ここから逃げます》



無言で頷く雪菜。



桑原「絶対に俺は雪菜さんを守ってみせますから」



雪菜「私は和真さんを信じます」



桑原「行くぜ」



桑原は比羅を睨みつけた。



桑原「てめーの思うようには絶対にさせないぜ!」



比羅「お前に私から逃れるすべはない」



桑原「それはどうかな!!」



桑原は左手に霊気を集中し始めた。



ジジジ…



桑原は左手の手の平を広げて霊剣手裏剣を比羅に向けて放った。



ピュー!ピュー!ピュー!


比羅「霊気で作った手裏剣か…。面白い技を使うな」



霊剣手裏剣が比羅に触れる直前に赤いフィールドが姿を現した。



シュゥゥゥ…



比羅「無駄だ。お前には言っていなかったが私の身体フィールドによって守られている」



桑原「そんなもん知ったこっちゃねー!行くぜ、次元刀ォォォ!!!」



シュッ!!



桑原は次元刀で自分の目の前の空間を円状に切り裂いた。



桑原「霊剣手裏剣はあくまでおとりよ!!」



比羅(!)



桑原「雪菜さん!!!」



雪菜「はいっ!!」



ガシッ



桑原はしがみついてきた雪菜の身体を左手でしっかりと抱きしめる。



バッ



空いた空間に桑原は雪菜を抱えて飛び込んだ。



比羅「何だと!?」



比羅が慌てて桑原が開けた空間に近づくと切り裂かれていた空間は閉じたのだった。



シュゥゥゥ・・・



比羅「次元刀で切り裂いた空間の穴に飛び込むとはな…。人間だと思って甘く見すぎていたな」



比羅は消えた空間を見ながら呟く。



比羅「いい考えだったが私から逃れられはしないぞ」



――桑原と雪菜は空間から脱出した先に降り立っていた。



雪菜「ここは何処でしょうか?」



桑原「多分、街外れにあっった広い空き地みたいですね」



雪菜「和真さん、これからどうしますか?」



桑原「とりあえず、今はここを出て浦飯か蔵馬に助けを求めないといけないっす。悔しいけどあいつには、今の俺では歯がたたないです…」

(ここからだと蔵馬より浦飯の屋台の方が近いな)



グラッ



一瞬、桑原は眩暈がして倒れそうになった。



桑原(やっぱり霊剣手裏剣と次元刀の同時使用は身体に結構くるな…)



雪菜「身体は大丈夫ですか?」



雪菜は心配そうな顔で桑原に問い掛ける。



桑原「大丈夫っす。あいつが来る前に行きましょう、雪菜さん!」



雪菜「はい…」



桑原は雪菜の手を取ると空き地の出口に向かって走り出した。



そして出口が見えてきた。



桑原・雪菜(!)



だが桑原達が向かった出口には一人の男が立っていた。



「待っていたぞ」



なんと立っていた男は金髪の男・比羅である。



比羅「言っただろう?私から逃れるすべはないとな」


桑原「何でここが分かった!?」



比羅「お前の肩を見てみるがいい」



桑原「これは…」



桑原は肩に小さな丸い装置がついている事に気付いた。



比羅「霊気を探知する発信機だ。先ほど私に斬りかかってきた時につけておいた」



グシャッ!



桑原は発信機を外して握り潰した。



桑原「クソッ!間抜けだったぜ…」



比羅「もう同じ手にはかからない。ここまでだな」



桑原「クソッタレェェェ!!」



桑原は右手を突き出すと霊気を集中し始めた。



ジジジ・・



桑原(次元刀が出ねー…!?)



桑原の右手には次元刀ではなく霊剣が現れた。



比羅「かなり霊気を消耗してしまっているようだな」


フッ



比羅は桑原の間合いに一瞬で近づいた。



ビューン!



桑原(!)



ドゴォォォ!!!



桑原「がはっ!!」



比羅の一撃を腹に受けて桑原はその場に倒れた。



雪菜「和真さん!!!」



桑原(ち…チクショー!!!)



比羅「さあ一緒に来てもらうぞ、桑原」



その時だった。



ドーン!!



突然、妖気弾が比羅に向かって放たれた。



比羅「何!?」



シュゥゥゥ…



比羅のフィールドで妖気弾は遮られる。



そして妖気弾が消えると同時に小柄な少年が比羅の一瞬のすきをついて桑原を抱えて妖気の弾を放った者の所まで走った。



比羅「何者だ!」



黄泉「でかしたぞ修羅」



修羅「へへっ」



比羅の問い掛けに黄泉は不敵に笑う。



黄泉「俺か?俺の名は黄泉だ」



続く
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