幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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黄泉「俺か?俺の名は黄泉だ」



桑原(…だ、誰だこいつらは…?)



傷ついて倒れた桑原の目に映ったのは目を瞑った男と生意気そうな感じの小柄の少年の姿だった。



桑原は二人の頭についている角、そして彼らから感じる巨大な妖気。彼らが人間ではなく妖怪だという事は直ぐに分かった。



黄泉は桑原の方を向いて話しかけた。



黄泉「お前が何者か知らないが、人間にしては高い霊力を持っているようだな」


桑原「て、てめーは一体…!?」




黄泉「フッ」



黄泉は桑原の質問には答えず不敵な笑みで返した。



桑原(あいつ、確か名前を黄泉って言っていたな?
どっかで聞いたことのある名前だな…)



比羅「黄泉といえばかって魔界の三大勢力の一つとして君臨していた妖怪の名だ。お前はあの黄泉なのか?」



比羅は少し驚きながらも表情は変えずに真剣な目で黄泉を見ている。



桑原(!)



黄泉「ほ〜う。俺の事を知っているのか?貴様が何者かは知らんが霊気でも妖気でもない異質な面白い気を持っているな」



比羅「やはりあの黄泉か。貴様が何故人間界にいるのか不思議だが、それは今はどうでもいい。何故私の邪魔をして人間を助けた?」


桑原(黄泉か…、思い出したぜ…。浦飯が魔界統一トーナメントで戦った相手で浦飯を倒した妖怪…)



雪菜「和真さん…」



スッ



雪菜が桑原のそばにきて桑原の身体にそっと手で触れる。



桑原「雪菜さん…」



ポワーン



雪菜の回復の術で桑原の傷が癒えていく。



雪菜「私の回復の力では、傷と体力の回復は同時に出来ません。ですが、少しはこれで動けるはずです」




桑原「すまねー、雪菜さん」



雪菜はコクッと頷いた。



桑原は雪菜に感謝の言葉を述べると自分の目の前に現れた最強の妖怪を目で追う。



桑原(黄泉か…)



黄泉「フッ、知人に魔界に戻る前に会いに来たらやたらと高い霊力と異質な気を感じてな。興味本位で立ち寄ってみただけだ。その人間を助けたのもあくまで成り行きよ」




比羅「ならば貴様に関係ないだろう。その人間を私に渡してもらいたい」



黄泉「俺にとってこの人間の事はどうでもいいが、
俺の勘がお前にこの人間を渡すなと言っている。それにお前の持つ異質な気に少し興味がある」



比羅「あくまで人間を私に渡すのを拒むというわけだな」



黄泉「俺が拒むと言ったららお前はどうする?」



比羅「貴様を倒すまでだ」


ズキューーン!!



比羅は地面を蹴ると凄まじいまでのスピードで黄泉に接近した。



黄泉はすぐさま戦闘の構えを取った。



比羅「ハァァ!!」



ビューー!!



鋭い蹴りを黄泉の顔面を狙って放った。



黄泉「フン!!」



ガシッ!



黄泉、比羅の鋭い蹴りを左手で受け止める。



黄泉「トァァッ!!」



ビューン!!



黄泉は左手で比羅の蹴りを受け止めると、右手で素早い一撃を比羅に向かって放った。



比羅「フッ」



ガッ!



黄泉(!)



比羅の顔面を完全にとらえたかに見えた黄泉の一撃は、比羅の赤いフィールドによって遮られた。



黄泉「何だこれは!」



バッ



黄泉は直ぐにバックステップで後ろに下がり比羅と距離を取った。



比羅のフィールドに驚く黄泉。



比羅、ニヤリ。



比羅「私には常に身体を守る赤いフィールドが張られている。物理的な攻撃や妖気や霊気の類のエネルギー波は私には通用しない」



黄泉(なるほど。さっき人間を助ける時に放った妖気弾が遮られたのはあれのせいか…)



比羅「行くぞ黄泉」



比羅は再び地面を蹴ると黄泉に向かって駆け出した。


黄泉は自分の身体に流れる一人の戦士としての血が騒ぐのを感じた。



この感覚は浦飯幽助との戦い以来であった。



黄泉、ニヤリ。



黄泉「無敵のフィールドか…。面白い!俺が破壊してくれるわ」



ズキューーーン!!!



黄泉も地面を蹴ると比羅に向かっていった。



比羅「ハァァーー!」



ビューーン!!!



黄泉「ハッ!」



ビューーン!!!



ほぼ同時に繰り出される拳。



ドガァァァン!!!



黄泉と比羅の拳と拳が互いにぶつかりあった。



周辺には凄まじいまでの衝撃が走る。



黄泉「トァァ!!」



ビューーー!!!



比羅「ハァ!!」



ビューーー!!!




今度は黄泉と比羅の蹴りがパンチと同様にほぼ同時のタイミングで放たれた。



そしてお互いの足がぶつかり合い、交差した状態で一時静止した。



黄泉・比羅(…………)



ガーン!!!!



ドゴーン!!!!



ガッ!!



ドゴッ!!



一度静止した後、黄泉と比羅はお互いに拳や蹴りを繰り出して激しい肉弾戦を始めた。



桑原「すげーぜ…。
俺とあまりにも次元が違い過ぎる……」



桑原は黄泉と比羅の凄まじい戦いぶりに驚きを隠せなかった。



修羅「あいつ、凄いや…。パパと互角に戦ってる」



桑原「あいつ、恐ろしい妖気だな。浦飯の野郎、あんなとんでもない化物と60時間以上も本当によく戦ったな…」



修羅(防御力は、あのフィールドがあるからパパよりあいつの方が有利みたいだ。でもスピードならパパがあいつより上回っている)


比羅「ハァーー!」



ビューン!!



比羅の鋭い一撃が黄泉の腹部を狙って放たれた。



黄泉「甘い」



比羅の鋭い一撃は空を切る。



比羅(!)



黄泉の残像が比羅の視界に残る。



フッ



黄泉「本物の俺はこっちだ!」




黄泉が比羅の背後に姿を現した。



そして右手を突き出すと、手の平を広げて妖気弾を放つ。



ドーーーーン!!!!



比羅「無駄だ」



比羅は直ぐに振り返ると黄泉の妖気弾に向かって走っていった。



シュゥゥゥ……



比羅の赤いフィールドに遮られる妖気弾。



黄泉「あれも遮るのか…。本当に強力なフィールドだな」



黄泉の妖気弾を遮ると、そのまま黄泉に接近する比羅。



比羅「ウォォォォォ!!!」




比羅は両手を頭より高く上げると気を溜め始めた。



ジジジ……



比羅の気で作られた巨大なエネルギーの塊が徐々に姿を現した。



黄泉「奴の気で作ったエネルギー弾か」



比羅「ハァッ!」



ドーーーーン!!!



比羅は黄泉に向かって走りながら巨大なエネルギー弾を放つ。



黄泉「そんな攻撃、この俺には通用しないわ!」



黄泉は右手の人差し指を立てて自分の眉間にあてると呪術の詠唱を始めた。



黄泉「這刧∠#&」



修羅「パパの呪術だ!」



黄泉「ハァッ!!」



シュゥゥゥゥ・・!!



黄泉のかけ声と共に目に見えない衝撃波が比羅の気で作られたエネルギー弾を打ち消した。



比羅「俺の一撃を打ち消すとは驚いたな」



黄泉「弾くことも出来ただろうが俺は用心深いからな」



ズキューーーン!!!



黄泉は比羅に向かって駆け出した。



比羅「やるな」



ズキューーーン!!!



再びぶつかる黄泉と比羅。


二人の激しい肉弾戦がまた始まった。



黄泉「フン!」



ビューン!!!



強烈なストレートパンチ
を放つ黄泉。



ガッ!



だが黄泉の拳は比羅のフィールドによって遮られる。



比羅「ハァッ!」



ビューーー!!



比羅は鋭い蹴りで黄泉を攻撃。



フッ



黄泉は比羅の蹴りを難なくかわす。



二人の戦いは果てしなく続く。



全体的にスピードで比羅を上回る黄泉は比羅の攻撃をかわしながら、鋭い攻撃を繰り出していた。そのいくつかは完璧に比羅の急所をとらえていた。だが、その全ての攻撃はフィールドによって遮られていたのだった。



修羅(パパの攻撃は、普通の相手だったら致命的なものになるぐらい、完璧なタイミングで放っている。
でもあいつの身体には一発も当たっていない。あのフィールドがあまりにも強力なんだ)



黄泉(俺の攻撃が全てあいつのフィールドに遮られている…。実際に奴はあのフィールドがある限り、防御が必要ない。防御をおろそかに出来る分、あいつは一撃、一撃に力を集中出来る。奴の攻撃を受けないように気をつけねば)



比羅(戦闘力的には私と殆ど互角か…。人間界に来てまさかこんな奴と遭遇するとはな。計算外だった。桑原の捕獲には駁も連れてくるべきだったな)



黄泉「トァァッ!!」



ビューーー!!!



黄泉は鋭い蹴りを比羅に放った。



ガッ!



比羅の赤いフィールドによって黄泉の蹴りは遮られる。



黄泉(どうやら通常の攻撃ではあのフィールドを破壊するのは難しいようだな)


比羅「ハァーーー!」



ビューーーン!!!



黄泉(………)



フッ



黄泉は素早い動きで比羅の攻撃をかわす。



比羅(流石は黄泉だ。動きに全く無駄がない。完成されている。このまま奴とまともに戦っていては、奴に私の攻撃を当てることが難しい)



バッ!



比羅はバックジャンプで後ろに下がって黄泉と距離を取った。



黄泉「何をするつもりだ?」



ここで比羅はチラッと横目で黄泉の息子の修羅を見た。



修羅(?)



比羅「あれは貴様の息子か?」



黄泉「そうだ。それがどうかしたのか?」



比羅「そうか」



比羅、ニヤリ。



この時既に比羅は、
黄泉を倒す為の作戦を考えついていたのだった。



続く
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