幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜
□序章
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――飛影の回想
飛影は奇淋との初めての出会いを思い出していた。
話しは飛影は躯の直属の77人の戦士の一人時雨との対決で相討ちとなった後に遡る。
死んだ飛影と時雨は躯によって蘇生液につけられていた。
躯「俺の声が聞こえているだろう?目を開けてみろ飛影」
パチッ
蘇生液に満たされた槽の中で飛影はゆっくりと目を開ける。
飛影(…)
躯「目を覚ましたか。蘇生液と俺の力でお前と時雨を蘇生させた」
チラッ
飛影は横目で隣の槽で蘇生液につけられている時雨を見た。
飛影「チッ、余計なことを…」
躯「お前はこれから俺の所でしっかりと働いてもらわないといけないからな。こんな所でくたばってもらっては困る」
飛影「フン」
スッ
飛影は蘇生液から出ると衣服を身に付け始めた。
躯「飛影」
躯の呼びかけに飛影は振り向く。
躯「お前に見せたいものがある」
飛影「見せたいものだと?」
躯「時雨との勝負の前にも言ったのは覚えているか?お前に俺の素顔を見せてやる約束をしていたからな」
シュルシュル
バサッ
躯は顔を隠す為に身に付けていた布を外した。
飛影「貴様は…!?」
布にくるまれてこれまで謎のベールに包まれていた躯の素顔は男性ではなく、なんと美しい女性であった。
だが、その美しい顔の半分は焼けただれて機械化されていた。
飛影の反応に躯はニヤリ。
躯「俺が女で驚いたか?」
飛影の予想通りの反応に楽しそうに笑う躯。
飛影(…)
躯「俺は顔がわれると何かと動きづらくなるからな。直属の戦士と側近ぐらいにしか見せていない」
素顔を見せた躯から感じとれる凄まじいまでの妖気。
かなり抑えられているとはいえ、飛影はその力に畏怖を覚えていた。
飛影「俺が強くなればなるほど貴様との力の差が遠く感じる。化物め…。男か女など俺には関係ないさ」
躯「フッ、俺の強さが分かるならお前はこれからもっと強くなるさ」
ギュゥゥゥゥ…
飛影は首にかけている二つの氷泪石を手で握った。
一つは飛影の物。もう一つは魔界に旅立つ際に妹の雪菜から渡された物だ。
飛影「貴様が俺の氷泪石を腹に隠し持っていたとはな。どおりで俺の邪眼で探しても見つからないわけだ」
躯「お前が邪眼を身に付けてまで探し求めた妹と氷泪石の行方。二つの目的を果たしたお前は目的を見失い生き急いでいる。違うか?」
飛影(……!?)
躯「フッ」
飛影(チッ、不気味な野郎だ。俺の心の奥底まで見透していやがる)
躯は突然、飛影に背中を向けて歩き始めた。
飛影「何処へ行く?」
躯「そこで待っていろ。目覚めて早々だが、お前と手合わせさせたい者がいる」
飛影「何者だ?」
躯「魔道本家奇淋。俺の直属の77人の戦士の中でも最強の男だ」
飛影「貴様の組織のNo.2てとこか」
躯「そういうことだ、直ぐに戻る」
だんだん遠くなる躯の姿を眺めながら飛影は思う。
飛影(No.2か、俺の力は直属の戦士の中でも最弱の時雨と同等クラス。現在の俺とNo.2との力の差がどれほどのものか。手合わせでしっかりと見極めさせてもらうぜ)
――数分後
躯が奇淋を連れて現れた。
躯「待たせたな」
奇淋「躯様から話しは聞いている。私の名は奇淋。躯様の直属の戦士の一人だ」
甲冑のような物を身に纏い、顔も甲冑に隠されて、目元しか分からない。
飛影(こいつが躯のNo.2か)
抑えていても感じる強い重圧感。
飛影は恐怖心よりも早くこの男と戦いたい衝動に駆られていた。
飛影「お前が奇淋か」
ブォォォォォォ!!!!!
飛影は攻撃的な妖気を放ち奇淋を挑発している。
奇淋(………)
躯(飛影、妖気は完全に元に戻っているようだな)
奇淋は躯の方へ振り向いて問い掛ける。
奇淋「なかなかの強さですね。時雨と五分に渡り合った男だけはあります。
躯様、この者と早速手合わせをして宜しいでしょうか?」
躯「かまわん。手加減はするなよ。思いっきりやれ」
奇淋「心得ました」
飛影「最強の戦士の力がどれほどのものか試させてもらうぞ」
カチャッ
ビューン!!!!
飛影はそう言うと剣を抜いて構えた。
飛影の最強の戦士への挑戦が今始まろうとしていた。
続く