幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□序章
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――飛影と桑原が魔界で再会を果たす数日前に時は遡る。



畑中建設



ここで新たな物語が始まろうとしていた。



「南野君、今回も良くやってくれたね」



スーツを着た中年の男は
満足そうに笑みを浮かべて、南野という青年に話しかける。



南野「いえ、大した事ではないですよ」



南野と呼ばれた男性は微笑みながら答える。



「ははは、謙遜するな。今回君が提案してくれたプロジェクトがこれほど上手くいくとは思わなかった。本当に良くやってくれた」



南野「俺の力だけじゃあないですよ。皆の協力があればこその成功ですよ」



「海外に視察にいってるお義父さんも喜んでいたぞ」


南野「はい、ありがとうございます。義父の期待に応えることができて良かったと思っています」



「これからも宜しく頼むよ」



南野「はい。では俺はこれで失礼します」



南野は上司に軽く会釈するとその場を立ち去った。



南野「フゥ〜」



南野は会社の外に出ると結んでいた髪をほどく。女性のように長い髪の毛が風で大きくなびく。



――男の名前は南野秀一。高校時代は学年TOPクラスの成績を持ちながら大学にには進学せず、母の再婚相手である畑中の経営する、畑中建設に就職した。
就職後は持ち前の才能を存分に発揮して会社の成長に大きく貢献していた。



南野は会社に戻ると上司に行き先を告げる。



南野「少し現場の方にいってきます」



事務室の前を通り過ぎていく南野の姿を見た女性社員達が騒いでいる。



南野は会社ではいつも女性社員の羨望の眼差しを受けていたが、本人は恋愛には興味がないのか、特に気にしているような様子は見せない。



女性社員1「南野さん、また大きなプロジェクトを成功させたみたいよ」



女性社員2「本当に凄いわ!でも凄いのは仕事だけじゃないわよね。
顔も女の子みたいに綺麗だし、頭も良くて性格も優しい。さらに運動神経も抜群ときたら男としてこれ以上の男はいないわ」



女性社員1「なあにあんた、南野さんの事を狙ってんの?無理無理、会社内の独身女性はみんな南野さんを狙っているんだから」



女性社員2「何よ!いいじゃない。でも南野さんはあれだけモテモテの要素抜群なのに未だに恋人がいないのが不思議よね〜」



女性社員1「確かにそうね。もしかしたら南野さんには誰か好きな人がいるのかもしれないわね…」



――町外れの路地裏



南野は帽子を深く被り、厚手のコートを着た、いかにも怪しげな男と会っていた。



南野「お前が人間界に来ているとはな。お前から連絡を受けた時は驚いたよ黄泉」



黄泉と呼ばれた男は被っていた帽子を取る。



帽子を取った黄泉という男は人間ではなかった。何故なら人間にはない角のようなものが頭に生えているからだ。



そう、この黄泉の正体は実は妖怪なのである。



黄泉は目が不自由な為、両目を瞑っている。



黄泉「ああ、修羅を人間界に連れて行った事がなかったからな。社会勉強の為に連れて来た」



黄泉がそう言うとその後ろから少年がひょこっと姿を現した。



南野「久しぶりだな修羅。前に会った時より、
少し逞しくなったな」



修羅「へへへ!パパについていっぱい修行したんだ」


南野(妖気が前に会った時より桁違いに強くなっている。相当黄泉に鍛えられているな)



黄泉「蔵馬、もう少しで煙鬼が主催する魔界統一トーナメントがあるが、お前も当然参加するのだろう?」



――黄泉が呼んだ蔵馬とは南野秀一のもう一つの名前。いや、こちらが本当の名前と言った方がいいだろう。彼も人間ではない。
黄泉と同じ妖怪である。
その本当の正体は伝説の盗賊・妖狐・蔵馬であった。



蔵馬「まだ参加するかどうか分からない。
前回の大会から魔界の環境は大きく変わった。今なら優勝の出来る力を持つ者だったら誰が王になっても悪い世界にはならない。今回は大会を見守ろうかと考えている」



黄泉「それは残念だ。
俺はな蔵馬、浦飯が三年の間にどれほど成長しているか、あいつと戦えるのが今からとても楽しみなのだ」


蔵馬「幽助か、人間界に帰ってきてからも、彼はかなり特訓しているようだったよ」



修羅「あいつ、前はボクとおんなじぐらいだったけど今ならずっとボクの方が強いよ」



修羅は自信満々な顔でVサイン。



蔵馬(大会自体には興味はないが、俺も幽助と戦ってみたい気持は今でもある)


蔵馬は身体の中に眠る熱い血が騒ぐのを感じた。



蔵馬「黄泉、せっかく人間界に来ているなら幽助に会ってきたらどうだ?」



黄泉「ああ、そのつもりだ。浦飯に会うのは大会以来だからな」



修羅「パパ!そろそろ行こうよ!ボクあの看板に書いてある遊園地ってやつに行ってみたい」



黄泉「分かったよ修羅」



黄泉は父親らしい表情を修羅に見せていた。



蔵馬「フッ、お前が遊園地とか、昔のお前では考えられないな」



黄泉「そうか?確かにそうかもしれないな。
これまで修羅は産まれてからずっと修行三昧だった。たまには父親らしい事をこいつにしてやらねばなと思ってな」



(ニコッ)
蔵馬「それは良いことだと思うよ」

(魔界以上に変わったのは黄泉お前だろうな)



修羅とこの場を立ち去りかけた黄泉は足を止めて蔵馬の方を振り向く。



黄泉「蔵馬、俺としてはやはりお前が大会に参加してくれることを期待しているよ」



蔵馬「考えておく」



黄泉「では蔵馬、また会おう」



修羅「またな蔵馬」



フッ



黄泉と修羅の姿が蔵馬の目の前から完全に消え去った。



蔵馬(魔界統一トーナメントか、今回は誰が勝つかわからないな)



蔵馬は二人の姿が消えた後暫くの間、この場に残って、これからの魔界が一体どうなって行くのか物思いにふけたのだった。



続く
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