幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――Aブロック内にある深い森



キョロキョロ



修羅「あいつはどこにいったんだ?」



修羅は森で鈴駒を見失なっていた。



ザッザッザッ



修羅は暗く深い森を歩いて進んで行く。



修羅「けっこう深い森だ」


修羅が深い森と言う程、闘場に設置されている森は険しく数えきれない程の魔界の独特の木や草花に囲まれており、夜のような暗さで不気味な雰囲気を醸し出していた。



――選手達の休憩場



凍矢「鈴駒は闘場の森で何をするつもりなんだ?」



陣「あいつの事だから何か考えがあるのではないか?」



酎「鈴駒の奴はもしかしてあの技を使うつもりか」



陣「あの技?」



凍矢「鈴駒の奴は酎と修行をしていたのだったな、鈴駒は何か新しい技を編み出したのか?」



酎「ああ、俺が思っている通りの技だったら、あれは中々強力だぞ」



陣「どんな技か楽しみだなー」



陣は興味津々にスクリーンに映る鈴駒の姿を見た。



酎(ヨーヨーを失ったあいつが修羅と闘うにはもうあれしかない。だが、修羅にこれが通用しないなら鈴駒は負ける)



――Aブロック



深い森の中を進む修羅を巨木の上から見つめる視線が一つ。



鈴駒(来たな)



バッ!



鈴駒が巨木から飛びだした。



修羅(!)



シュタッ



鈴駒は地面に着地した。



修羅「現れたな」



鈴駒「修羅!これが最後の勝負だ」



修羅「逃げたのかと思ったよ」



鈴駒「そんなわけないだろ、ここにお前を誘き寄せただけだ」



キョロキョロ



修羅は森の中を見渡した。


(ニッ)
修羅「なるほどね」



鈴駒「へへっ、暗い森だからわからないだろう?おいらはこの森にちょっとした仕掛けをさしてもらったよ」



修羅「仕掛け?ここで何を企んでいるのかはわからないけど僕には防御壁があるから下手な小細工は通用しないぞ」



鈴駒「悔しいけど妖力ではおいらは修羅に勝てない。ヨーヨも失ってしまった今のおいらがお前を倒すにはもうこの技しかない」



修羅「何をしたって僕を倒すのは無理だよ」



修羅は鈴駒に余裕の表情を見せる。



鈴駒「倒してやるさ!おいらが手を挙げると仕掛けは発動する」



スッ



鈴駒はそう言うと右手を上に挙げた。



ピーーン



何かが張ったような不気味な音が辺り一面に聞こえて来た。



修羅「何の音?」



鈴駒「修羅、これでお前の動きを封じた」



修羅「何をしたのかわからないけど僕の動きを封じれるわけがないよ」



バッ



修羅は鈴駒の言葉を気にせずに上に向かってジャンプした。



ビリビリビリ!!!!!



修羅「うわァァァ」



修羅の身体に電流が流れるような激しい衝撃が走る。


修羅「くっ!」



シュタッ



修羅は直ぐに地面に着地した。



修羅「驚いた・・・今のは何が起きたんだ?僕の身体に激しい痛みと痺れを感じた」



修羅は目を丸くし、ちょっと驚いたような表情を見せる。



(ニッ)
鈴駒「動きを封じたといっただろ」



修羅「僕の周りに何を使っているのかわからないけど結界のような物を張り巡らしそこにお前の強力な妖気を流しているみたいだな」


鈴駒「まあね、そしてこれがおいらのヨーヨーに代わる新しい武器だ」



ザン



鈴駒は修羅に小さな独楽を見せる。



修羅「独楽?ヨーヨーに続いてまたそんな玩具をだすの」



鈴駒「へへへ、これがおいらの新技・魔独楽だ」



――選手達の休憩場



桑原「独楽って、あんなものを武器にするのか!?」


桑原は鈴駒の出した武器が独楽って事に驚きの声を上げる。



幽助「鈴駒の奴、結界を張るとは考えたな」



桑原「あれっ?」



キョロキョロ



桑原は何かに気付いて急に周辺を見渡し始めた。



桑原「そういえば、黄泉の奴の姿がいつの間にか見えないが?」



蔵馬「黄泉なら修羅が鈴駒のヨーヨーを破壊するちょっと前ぐらいに自分の試合に行きましたよ」



幽助「桑原、黄泉がいなくなったのに気付かなかったのかよ」



桑原「いつの間に・・・」



桑原は先程まで一緒にいた黄泉の姿がいつの間にか消えていることに全く気付かなかったのだ。



(ニッ)
幽助「黄泉がいなくなったのに気付かないとは鈴駒の試合に余程、夢中になっていたんだな」



蔵馬「桑原君は鈴駒に暗黒武術会で闘いましたから鈴駒の試合はかなり気になるでしょう」



桑原「あいつとは同じブロックだしよー、闘えるならあいつとまた闘いたいぜ」


蔵馬「鈴駒が修羅に勝ったとしても彼と対戦するまでには二回戦で武威、三回戦ではおそらくは時雨が勝ち上がるだろうから彼らを倒さないといけないですよ」


桑原「時雨も同じブロックだった・・・すっかり忘れていたぜ」



桑原はフゥーっとため息をついた。



幽助「鈴駒が仕掛けたぞ」


桑原「おっ!」



蔵馬「決着は近いかもしれませんね」



幽助達はスクリーンに映る二人の姿に注目した。



――Aブロック



ビュー!



鈴駒は独楽を空中に向けて投げた。



シュゴー!!



投げた独楽は空中で回転し始める。



修羅「な、何で!?」



修羅は驚愕の表情を見せた。



何と鈴駒の独楽は空中で回りながら進んでいたのだ。


鈴駒「行けー!」



鈴駒の声が森に響き渡る。


鈴駒の独楽は空中を回りながら徐々に修羅に向かって行く。



グォォォォォ!!



鈴駒「お前はその場から動こうにも結界の位置が分からないから防御壁を張るタイミングが分からないはず、動くと先程のようになるぞ」



修羅(この場から動かずに独楽が僕に攻撃してくるまで待ち、防御壁で防ぐまでだ)



鈴駒「勝負」



ズキューン



鈴駒は修羅に自らも向かっていった。



修羅(なるほどね)



鈴駒(直接的に攻撃しお前の防御壁で攻撃が防がれてもおいらの一撃で防御壁は消える、その消えた瞬間を独楽で狙う。おいらには結界の位置は分かるからな)


ビューン!!



鈴駒は修羅に鋭いパンチを放つ。



(キッ)
修羅「お前の考えは分かるよ。僕を甘くみないでよ」


修羅の目が鋭くなる。



バッ!



修羅は張り巡らせた結界にジャンプして鈴駒の攻撃をかわした。



鈴駒「な、自ら結界に!?」



鈴駒が張った結界がある為にその場から修羅が動かないとふんでいた鈴駒は驚く。



そして結界に触れた修羅は・・・。



ビリビリビリ!!!



先程と同じく修羅の身体に鈴駒の流した妖気が流れ込む。



(ニッ)
修羅「僕が自ら結界に飛び込むなんて驚いたか?」



グッ



修羅は結界によるダメージを受けながらも空中で妖気を集中し始めた。



修羅「ヤァァァァァァ!!」



修羅は結界による激しい痛みを空中で耐え始めた。



鈴駒「嘘だろ・・・」



(ニッ)
修羅「先程は突然で驚いたけどパパとの激しい修行に比べたらこの程度のダメージなど余裕で耐えられる」


パシッ



修羅は妖気を身体に流されながらも結界の元になっているものを手で掴んだ。



修羅「なるほどね、黒色の糸を妖気で硬化してから張り巡らしていたわけだ。暗がりだからわからないはずだよ」



鈴駒の放った独楽は結界を張る為に張り巡らし、硬化している黒い糸の上を回りながら辿り、修羅に迫っていたのだった。



グォォォォォ!!



鈴駒の独楽が修羅に迫る。


修羅「こんな結界と独楽など」



ググッ



修羅の身体から妖気の光が溢れ出てくる。



修羅「全力だーーー!!!森と共に消し飛べーー」



バーン



修羅は空中で両手を左右に大きく広げると妖気を解放した。



鈴駒「ウォォォォォォ!!!!」




ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!



Aブロックの闘場に設置された森は大爆発を起こして独楽や結界に鈴駒までも消し飛ばしたのだった。



――メイン会場



小兎「修羅選手の解放した妖気でAブロックの闘場の森が全て消し飛びましたァァァァァァ!!!!?」


北神「す、凄い!?」



黎明「森がなくなってしまったな・・・」



流石「鈴駒ちゃん!!!!!!!」



――選手達の休憩場



酎「り、鈴駒!?」



陣「修羅、あいつは本当にすげー奴だぞ・・・」



凍矢「鈴駒の新技も全く通用しないとはな・・・」



幽助「あれが修羅の全力の力か」



桑原「鈴駒の奴は大丈夫か!?」



――Aブロック



ピキーン



修羅の身体の周りには魔古忌流煉破反衝壁が張られていた。



修羅の放った妖気の爆発を反衝壁で吸収しながら身を守っていたのだ。



修羅「フゥ〜っ」



シュタッ



修羅は地面に着地した。


(ニコッ)
修羅「やり過ぎちゃったかな」



修羅の目に映る光景は既に森の姿は完全に無くなり、焼けた地面しか残っていなかった。



鈴駒「修羅」



修羅の腕には鈴駒の姿があった。



スッ



修羅は鈴駒を地に下ろした。



鈴駒「なんで、おいらを助けたんだ?」



修羅「なんとなくだよ」



鈴駒(・・・)



修羅「あえていえばお前とはまた闘いたいと思ったからかな」



鈴駒「おいらの完敗だ」



鈴駒は修羅に自らの敗北を認めた。



――そして数分後



審判「Aブロックの第七試合は修羅選手の勝利です!!」



審判が修羅の勝利を宣言した。



――メイン会場



小兎「あーと!鈴駒選手が自らの敗北を認め、修羅選手の二回戦への進出が決まりましたァァァ!!!」



流石「負けたのは残念だけど、鈴駒ちゃんが無事で良かった・・・」



鈴駒の恋人の流石は鈴駒の無事が分かって安堵の表情を浮かべた。



――選手達の休憩場



幽助「あの修羅が鈴駒を助けるとはな」



蔵馬「彼も成長しているわけですよ」



桑原「小僧と人間界で会った時はかなりスゲー奴だとは思っていたがここまで強いとは」



蔵馬「彼の全力の妖気を見て幽助はどう思った?闘ったら勝てそう?」



(ニッ)

幽助「かなりの強敵になると思うけど、黄泉程ではねーからな、多分大丈夫だ」


幽助は笑みを浮かべ、スクリーンに目をやると試合を一撃で決めていた黄泉の姿が映っていた。



――Aブロック



鈴駒「子供扱いして悪かったな」



(ニコッ)
修羅「分かればよろしい。これからは言葉に気をつけろよ」



修羅は勝ち誇った笑顔を鈴駒に見せた。



鈴駒「可愛いくないガキだな」



修羅「あー、ガキっていったなァァァ!」



鈴駒「すぐにムキになるのがガキっ証拠だ」



修羅「お前なんか助けるんじゃあなかったよ」



鈴駒「なにおう」



バチバチバチ



鈴駒と修羅は互いに顔を近づけて目から火花が飛び散っていた。



注目のチビッコ対決は最終的に修羅の圧倒的な強さを見せつける結果となった。


修羅はこの後も急激に成長していくことになる。



そして一回戦はさらに進み、
もうすぐあの男達の再戦が行われようとしていた。



続く
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