幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界の3番地区・大統領府内にある一室



蔵馬は、部屋内にある机の椅子に座り机の上で明日の大会に備えた傷の治療に使う回復用の薬草や闘いに使う植物の手入れをしていた。



パサッ



調合した薬草をまとめた紙袋を机の上に置いた。



蔵馬「これで明日の準備は、大体終わったな」



スッ



蔵馬が作業を終えて椅子から立ち上げったその時。



バタン



ヒューー!!



パサパサ



蔵馬の部屋の窓が急に開き風が部屋に吹き込み窓にかかっているカーテンが激しく揺れ始めた。



チラッ



蔵馬は、窓の方を向き笑みを浮かべる。



蔵馬「久しぶりですね。わざわざそんな所から入って来なくてもここの部屋の入口から入って来たらいいのに」



シュタッ



蔵馬が何者かに話しかけると一人の鋭い目つきをした小柄な男が姿を現した。



「いちいち面倒だからだ。お前に会えればそれでいい」



(ニコッ)
蔵馬「相変わらずだな飛影。とにかく元気そうじゃあないですか」



飛影「ああ。邪眼でお前と幽助がここにいるのがわかったから来てみたが幽助は、いないようだな」



蔵馬「幽助なら今朝早く、出掛けましたよ。今日が雷禅の命日だからおそらく彼の墓参りでしょう」



飛影「そうか」



蔵馬「飛影、魔界でのパトロール生活は、どうです?あなたには、もの足りないでしょう?」



飛影「退屈だな。こんなくだらないものは、大会で俺が優勝してさっさと廃止にしてやるぜ」



飛影は、うんざりした顔を見せた。



蔵馬「ははは。飛影には、そうかも知れないな」



飛影「フン」



蔵馬「飛影。躯の近くにいるお前の事だから桑原君が異質な気を持つ謎の連中に狙われていることと桑原君達が黄泉によって現在魔界に飛ばされてきているのは、知っているだろう?」



飛影「ああ。桑原を捕獲した時に直接あいつから話しを聞いたからな」



蔵馬「飛影は、どう思う?奴らの話しだと俺達の事を知っている者が奴らと接触して桑原君や俺達の事を教えていた。考えられるとしたら暗黒武術会の参加者か仙水の仲間の誰かと俺は、睨んでいるが」



飛影「誰でもいいさ。目障りな連中は、みんな倒してしまえばいいだけだからな」



蔵馬「フッ、お前らしいな。桑原君は、元気にしているのか?」



飛影「桑原とは、捕獲した後は、直接会っていないが元気だ。あの馬鹿は、時雨に剣術を習っているようだぜ」



蔵馬「あの時雨にか?」



飛影「そういえばお前は、奴と前回の大会の二回戦で闘っていたな」



蔵馬「ああ。凄まじい剣術の使い手だった。倒すのにかなり苦労したよ」



飛影「少し気になって桑原の修行を覗いてみた時雨が本格的に剣術を教えていたのは、驚いたぜ」



蔵馬「確か前回の大会で時雨と俺が闘った後にお前がいっていたな。飛影の剣術を教えたのと邪眼の移植は、時雨によるものだと」


飛影「ああ。俺の邪眼と剣術の基礎は、奴によるものだ。だが俺の剣技は、奴から習った基礎を基に我流で磨いたものだかな」



(ニコッ)
蔵馬「でも良かったじゃあないですか飛影。弟弟子が出来て」



(ニャッ)
飛影「何を馬鹿な事をいっている。剣を時雨から確かに習ったが俺は、師匠とは思っていないぜ」



蔵馬「でも桑原君は、霊剣や次元刀という剣を武器に使うが剣に関しては、全くの素人だから本格的な剣術を時雨から習えば格段に強くなるでしょうね」



飛影「さあな。だがあの馬鹿にしては、良く奴の修行についていって頑張っているようだがな」



蔵馬「そういえば雪菜ちゃんとは、もう会ったのか?」



ピクッ



雪菜の名前が蔵馬の口からでてきて飛影表情が少し変化した。



飛影「ああ」



蔵馬(なんかあったのか?)


蔵馬「煙鬼から聞いた話しだと酎が見つけて保護し桑原君のいる躯の所に連れて来たそうだけど桑原君のいる所を酎に教えたのは、飛影、お前だろう?」



飛影「ちっ、相変わらず鋭い野郎だ。雷禅の仲間の家にいた雪菜の無事が確認出来たからあいつに会わずに帰るつもりだったが帰り際に酎の奴とばったり会って奴によって強引に会わされてしまった」



蔵馬「フッ、そうだったのか。折角、雪菜ちゃんが魔界に来ているんだ。飛影、もうそろそろあの子にお前が彼女の兄だと言うことを名乗ってやったらどうだ?」



飛影「どいつもこいつも俺に名乗れとうるさいぜ」



(ニコッ)
蔵馬「その言い方だと俺以外にも誰かに言われているんだな」



飛影「酎と会った後に雷禅の仲間だった棗とかいう女とも会ったが奴が俺が雪菜の兄だと気付きやがった。全くお前と同様に鋭い女だぜ」



飛影は、蔵馬に棗との出来事を話し始めた。



――5分後



蔵馬「なるほど棗がそんなことをね。大会で当たったらお前にとっては、大きな難題だな」



飛影「俺があの女に勝てばいいだけの事だ。今の俺なら負ける相手でもないし大した問題でもない」



蔵馬「相手は、あなたに雪菜ちゃんの兄と名乗らせたいばかりに実力以上の力を出してくると思うけど。油断していると倒されちゃいますよ」



飛影「あいつの強さは、前の大会で躯とやりあっているのを見たがかなりのものだというのはわかっている。だがそれでも今の俺は、負けないさ」



蔵馬「まぁいいですけどね。勝負にもし負けて兄と言うのを名乗らせられるのはちょっとカッコ悪いですよ飛影」



蔵馬は、ちょっとからかうような口調で飛影に話した。



飛影「うるさいな。俺が負けないっていったら絶対に負けないさ」



飛影は、蔵馬にからかわれた感じからかちょっと向きになった口調で言った。



蔵馬「ははは。冗談ですよ。飛影には油断は、ないでしょうからね」



飛影「フン」



蔵馬「飛影」



蔵馬は、飛影の名を呼ぶと真面目な表情で飛影に話し始めた。



蔵馬「俺は、勝負とか
抜きで雪菜ちゃんにお前が兄だと名乗って欲しいけどな。今後のお前の為にも雪菜ちゃんの為にも」



飛影「フン。要らぬお世話だ。俺の事の心配よりお前こそ明日からの大会での自分の事を心配したらどうだ」



(ニコッ)
蔵馬「ご心配なく。最初は、あの大会で優勝出来る力の持ち主なら誰が優勝しても悪い世界に成らないと思ったから大会には、出ないつもりでいたが大会に出るからには、全力でやらせてもらうよ」



(ニャッ)
飛影「フッ、抗戦的なお前のことだ。出ないわけがない」



蔵馬「フッ」



蔵馬と飛影。それぞれの思いを内に秘めて明日の大会に二人は、挑む。



――魔界の7番地区



幽助は、魔界の7番地区(7階層)の中心地の少し外れに一人訪れていた。



幽助「ここに来るのは、久しぶりだな」



そう呟く幽助の目の前に一つのお墓が建っていた。



ドスン



幽助は、勢い良くお墓の前に腰を下ろした。



幽助「今日は、あんたの命日だったな。来てやったぜ。親父」



幽助が訪れたお墓とは、幽助にとって遠い先祖で遺伝上の父でもある今は、亡き雷禅が眠りについているお墓であった。



雷禅『よお!息子』



幽助には、雷禅のお墓から雷禅の声が幽助の耳に聴こえてくるような感覚に陥った。



幽助「今日で親父が死んでちょうど三年目だな」



(ニッ)
雷禅『俺の命日を覚えていたか。いい心がけだ。オシメがやっと取れるか?』



幽助「へへっ。相変わらずだな、クソ親父」



雷禅『三年も顔を見せないで何をしていた?』



幽助「人間界で色々とな。ずっと墓参りに来なくて悪かったぜ」



雷禅『三年ぶりにお前が来るとは、なんか魔界やお前のまわりであったのだろうな?』



幽助「まぁな。魔界が大きく変わる大きな話しがあるぜ。明日から次の魔界の王を決める魔界統一トーナメントがあるんだ」



雷禅『ほう。また面白い事になってんじゃねえか!俺が生きていたら暴れてやるのだがな』



幽助「全くさっさとくたばるからだ。悔しかったら生き帰って大会にでて暴れちまぇ」



雷禅『 けっ、無理いうな。生き帰れるなら苦労はないぜ。死んだとはいえ肉体自体は、くちていないぜ。まあ、俺が出たらあまりの強さに大会がしらけてしまうだろうがな』



幽助「全盛期の強さの親父と闘ってみたかったぜ。煙鬼のおっさん達から話しを聞いたけどおっさん達より遥かに強かったっていうじゃねーか」



(ニャッ)
雷禅「まぁ、俺は、最強だからな」



幽助「自分でいってら」



幽助は、苦笑いを浮かべた。


雷禅『まぁ、大会を頑張れや息子」



幽助「ああ、もちろんだぜ。親父が驚きそして自分が早く死んだことを後悔させるぐらい派手な大会にして暴れてやるぜ」



雷禅『フン、いってくれるな。俺を驚かすならお前が優勝して魔界の王になって俺に見せろよ。やっとオシメが取れて一人前になりましたとな』



(ニッ)
幽助「ああ。任せておけってクソ親父」



雷禅『フッ、結果を楽しみにしといてやる。また来いよ。そして魔界をしっかりっと頼んだぞ。バカ息子』


幽助「大会が終わったらまた来てやるぜ」



雷禅『フッ』



雷禅が笑みを浮かべると幽助に雷禅がこの場から消えていったような感覚を感じた。



幽助「さてと行くか」



ムクッ



クルッ



幽助が立ち上がり身体の向きを変えた、その時



コツコツコツ



幽助の前に5人の男が並んで歩いてきた。



幽助「あっ」



北神「幽助さん久しぶりです」



幽助「北神!それに東王達も一緒か。本当に久しぶりだぜ。一人見かけない顔がいるが誰だ?」



北神達と一緒に銀髪で黒い瞳をした男がいた。



北神「ああ、彼は、黎明。彼が魔界のオジギソウにやられて重傷を負って倒れていた所を私が発見しまして今は、すっかり仲良くなって行動を共にしています」


幽助「そっか。大変だったな。俺は、浦飯幽助だぜ。宜しくな」



幽助は、黎明に話しかけた。



黎明「はじめまして。私は、黎明」



幽助は、蔵馬に敗れオジギソウとの闘いで記憶を失った黎明と魔界で初めて出会ったのだった。



続く
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