幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界の7番地区の中心地のはずれにある雷禅の墓


幽助の前に5人の男が並んで歩いてきた。



幽助「あっ」



北神「幽助さん久しぶりです」



幽助「北神!それに東王達も一緒か。本当に久しぶりだぜ。一人見かけない顔がいるが誰だ?」



北神達と一緒に銀髪で黒い瞳をした男がいた。



北神「ああ、彼は、黎明。彼が魔界のオジギソウにやられて重傷を負って倒れていた所を私が発見しまして今は、すっかり仲良くなって行動を共にしています」


幽助「そっか。大変だったな。俺は、浦飯幽助だ。宜しくな」



幽助は、黎明に話しかけた。



黎明「はじめまして。私は、黎明」



ペコッ



黎明は、幽助に頭を下げた。



幽助「そのオジギソウにやられたっていう怪我は、もう大丈夫なのか?」



黎明「ああ。ここにいる北神に助けてもらい傷の手当をしてもらったおかけで今は、普通に歩けるまで回復したよ」



幽助「俺と北神達は、この墓で眠っている雷禅を通じて知り合った仲だ。仲良くしてくれな。俺の事は、好きに呼んでくれ」



黎明「じゃあ幽助と呼ばせてもらうよ。北神達から幽助の事は、聞いている。ここに眠る 雷禅っていう妖怪の息子らしいな」



幽助「まあ、俺の遠い先祖に当たる上に遺伝上の父親だけどな。お前は、どこから来たんだ?」



北神「あっ」



黎明(・・・)



黎明は、幽助の問いかけに黙ってしまった。



ザッ



コソコソ



北神が幽助の耳元に近付き小声で話し始めた。



北神《幽助さん彼には、傷を受けた衝撃の為か名前以外の過去の記憶がないんですよ》



幽助(・・・)



幽助は、すまなそうな表情を見せた。



幽助「そっか。悪い事を聞いてしまったな。黎明、すまねぇ」



黎明「知らなかった事だし別にいいさ。ここには、父親の墓参りに来たのか?」



幽助「まあそういうことだ。だけど実際に墓参りに来るのは、三年ぶりだけどな」



(ニコッ)
北神「今日は、国王の命日ですからね」



幽助「ああ。北神達がここの墓の面倒を見てくれていたんだろ?ずっと来なくて悪かったな」



北神「いえ。雷禅国王が亡くなり国も解体してしまった今でも私達の王には、変わりはありませんから。これからも国王のお墓をお守りするつもりでいます」



幽助「本当にサンキューな北神。感謝するよ。年に一度の命日ぐらいは、これからは、墓参りに来るからよ」



北神「そうしてあげてください。幽助さんが来てくれたら国王も喜びますよ」



幽助「ああ。そうだ、北神、それに東王達も、明日の大会には、出るのだろう?」



北神「はい」



東王「もちろん出ますよ」


コク



残る二人も頷いた。



(ニッ)
幽助「お前達ともし対戦することになったら宜しくな」



東王「はい」



北神「私達もこの三年間修行をしていました」



幽助「そうなのか?修行していたわりには、三年前とあまり・・」



(ニコッ)
北神(・・・)



北神は、黙ったまま笑みを浮かべた。



幽助(!)



幽助は、北神の笑みを見て何かを悟った。



幽助(そうか北神達は、親父の遺志をそのまま受け継いでエネルギー源である人間を断っているから修行によって前の力を維持しているのが精一杯なんだ)



北神「幽助さん当たったら手加減なしでお願いしますよ」



幽助は、雷禅と同じ餓死という同じ道を辿るであろう北神達を思って少し複雑な表情を見せたが北神の言葉に笑顔で応えた。



(ニッ)
幽助「もちろんだ。全力でお前達とは、闘うぜ」



チラッ



幽助は、黎明の方を見た。


幽助「黎明は、北神達から明日から魔界の新しい王を決める大会があるのを聞いているだろ?」



黎明「一応聞いているがそれがどうかしたのか?」



幽助「怪我がまだ治ってないかもしれないが大会は、どうすんだ?見た感じ黎明は、かなり強いと見たんだけどよー」




黎明「記憶がないから闘い方は、おろか自分が何者で人間なのか妖怪なのかすらわからないよ。私は、会場で幽助や北神達の闘いぶりを見物させてもらうよ」



北神「まあ、オジギソウを倒していたようだから普通の人間では、ないだろうがな」



黎明「そうかもしれない」


幽助「大会に参加しないなら俺達の活躍を見ていてくれよ」



(ニコッ)
黎明「ああ」



「お〜〜い幽助!!」



その時、幽助の名前を呼ぶ大きな声が辺り一面に響き渡った。



幽助・北神達(!)



クルッ



幽助達6人が振り向くとそこには、なんと煙鬼をはじめとした雷禅の昔の喧嘩仲間達全員がこの場に集結していた。



幽助「煙鬼のおっさん!?孤光にそれに才蔵、棗や他のみんなも来たのか?」



(ニコッ)
煙鬼「今日は、大事な喧嘩仲間の命日だからな」



幽助「おっさん、王の仕事は、いいのかよ?」



煙鬼「雷禅の命日なのだから仕事なんかほったらかしにしてでもここにくるよ」


孤光「あたしは、年に一度こいつに文句をいってやりに来ているさ」



孤光は、そういうと雷禅の墓の前に両手と両膝をついて喋り始めた。



孤光「ヒクッ。雷禅のバカヤローー!!!」



孤光の大声が墓の周辺に響き渡った。



(シクシク)
孤光「勝ちっぱなしで死んでしまうなんて許さないよ。全くもーー!!」



孤光は、泣きながら雷禅の墓に向かってひたすら文句をいっていた。



幽助「おっさん、あれって?」



幽助は、苦笑いを浮かべた。



(ニコッ)
煙鬼「孤光の奴は、朝から、酔っ払っておるからな。雷禅の命日は、いつもあの調子だよ。あいつ酔っ払うと泣く癖があるんだ」



幽助「あらあら」



鉄山「みんな、雷禅のお墓参ろうではないか」



鉄山がそういうと棗や電鳳達が雷禅の墓に花を供えた。そしてみんなで雷禅の墓をみんなでお参りをした。


ザッ



帽子を被った精悍な顔つきの男が幽助のそばに近づいて来た。



(ニャッ)
痩傑「元気そうだなボウズ」



(ニッ)
幽助「痩傑。久しぶりだな」



痩傑「ああ。どうだ?少しは、あれから強くなったのか?」



(ニッ)
幽助「当たり前だ。明日からの大会で修行の成果を見せてやるぜ」



痩傑「ボウズの気合いの入った妖気は、見ていて気持がいいからな。出来たらお前と闘いたいぜ。当たったら試合で俺が鍛えてやるぞ」



幽助「痩傑、そのボウズってのやめてくれよ〜」



幽助は、ちょっと困った表情を見せた。



痩傑「ははは。お前は、雷禅の息子だからな。俺から見たら可愛いボウズだよ」


幽助「おいおい」



幽助は、苦笑いを浮かべた。



ザッ



幽助と痩傑が話していたら小柄でスキンヘッドで頭の横に角が生えた男が近づいて来た。



周「その似合わない帽子の男じゃなくて俺と大会で当たるといいな雷禅の息子」


痩傑「やれやれこの帽子は、俺のトレードマークだぜ周よ。この帽子のセンスは、金物臭いメタル族のチビには、わからんだろうがな」



周「けっ。お前のセンスなんか一生わからんわ」



痩傑「なにおう」



パチパチパチ



何故か目で火花を散らす二人。



痩傑・周「フン」



(ニカッ)
幽助(この二人は、相変わらずだな」



ザッ



(ニコッ)
棗「幽助君。お久しぶり」


(ニャッ)
九浄「幽助、元気そうじゃあないか!」



棗と九浄の双子の兄妹が幽助に近づいてきた。



幽助「棗に九浄も久しぶりだな。棗、蔵馬に前に話しを聞いたが酎と付き合っているんだってな」



(ニコッ)
棗「まあね。実は、彼にプロポーズされたのよ」



幽助「おいおいマジかよー。でもあいついい奴だし棗なら俺は、意外とお似合いと思うけどな」



棗「意外とは失礼ね。でもプロポーズを酎から受けたのはいいけど話しがちょっとややこしくなっていてね」



チラッ



棗が兄の九浄を見た。



(ニコッ)
棗「ね、九浄」



九浄「な、何だよ」



(ニカッ)
幽助「はは〜ん。なんか兄貴の九浄が言ってるのだな」



棗「そういうこと。大会で酎が九浄に勝つか九浄より上の順位にいかないと結婚は、認めないって言いだしたのよ。全く酎の奴もそれを受けて燃えちゃっているし」



九浄「あ、あんなムサイ男が可愛い妹の旦那になって俺の義弟になるのが反対なだけだ」



棗「口では、こういっているけど実際は、あいつのことを認めてはいるのよ。本音は、酎がどこまでやれるか試したいのだと思うわよ」



幽助「へ〜。九浄、そうなんだ?」



九浄「違うわ」



九浄は、慌てて否定した。


棗「まあ、そんな状況になっているってわけよ」



(ニコッ)
幽助「ははは。でも酎の奴は、単純だから必死で頑張るだろうな」



(ニコッ)
棗「そうね。幽助君と一緒で単純よ」



(ニャッ)
幽助「はは。俺も単純か」


電鳳「おお〜い、みんな!!」



突然電鳳が声を上げて煙鬼達に呼びかけた。



鉄山「どうした、電鳳?」


電鳳「今日は、雷禅の命日だから派手な事が好きだったあいつの前でそろそろあれをやるか?」



(ニャッ)
煙鬼「そうだな」



才蔵「フッ、いいだろう」


幽助「何をやるんだ??」


ザッ



北神が幽助のそばに近づいて来た。



(ニコッ)
北神「幽助さん、これは、国王が亡くなってから毎年の事ですよ。まあ見ていて下さい」



煙鬼達が円状に並んだ。



煙鬼「よし!いくぞみんなー!!!」



一同「オウ!!」




幽助「なあ、北神、これってもしかして?」



幽助は、煙鬼達が何をするのかを気付いた。



(ニッ)
北神「わかりましたか?」




一同「うぉぉぉぉ!!!!!」



ドーーン!!!!



煙鬼達は、それぞれ全力で妖気を放出させた。



ビリビリビリ



幽助の肌に凄まじい妖気が伝わって来た。



(ニカッ)
幽助「ははは。やっぱな。さすが親父の仲間達は、すげーぜ!!」



バッ



幽助は、左手を右手の腕に添えて右手を天に向かって銃の形を作って構えた。



北神「幽助さん、何を??」



幽助「せっかくだから俺も一発かましてやるぜ」



ジジジ



幽助の右手の人差し指に巨大な妖気が集中されていく。



幽助「よっしゃあ!!!」


ジジジ



(ニャッ)
幽助「受け取れクソ親父!!!」



バッ



黎明(・・・)



黎明は、幽助を見つめている。



幽助「妖丸!!!!」



ズドォォォォン!!



幽助の放った妖丸が魔界の空に向かって放たれてぐんぐんと天に向かっていった。



(ニャッ)
煙鬼「フッ、あいつめ」



北神「幽助さん」



(ニッ)
幽助「へへっ。あの親父に届いたかな」



(ニコッ)
北神「きっと届いてますよ」



パン!!



幽助は、両頬を叩いて気合いを入れた。



幽助「さてと明日からの大会、いっちょ全力でやってやるか!!」



幽助は、三年ぶりの大会の優勝を目指していざ大会に挑む。



――幽助達が立ち去った後の雷禅の墓



ズズズ・・・



緑色の長い髪に顔の左側に刀で斬られた傷を持つ片目の男が空間から突如現れた。



樹「ここが魔界最強の妖怪といわれた闘神・雷禅が眠っている墓か」



スッ



樹は、雷禅の墓を見つめながら亜空間から壷のような物を取り出し何かを始めた。



――翌日の3番地区
魔界全土を巻き込む新たな王を決める大会がついに幕を開けようとしていた。前回を超える熱き男達の闘いが始まる。



続く
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