幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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奇淋「躯様にすら御見せしていないこの技の最初の餌食となってもらうぞ」



北神「こ、これは!?」



奇淋「行け」



キリキリキリ



奇淋の言葉と共に蟲が不気味な鳴き声を鳴き始めた。


奇淋「軟体術ごときでこれを防ぐのは不可能だ」



スッ



キリキリキリキリ



奇淋の合図と共に一斉に蟲達が襲いかかってきた。


北神「な、何だこいつらは!!?」



蟲の大きさは、蝿や蚊の大きさで小さく頭の先端には、鋭く小さな針がある。



キリキリキリキリ



北神は、自分に向かって飛んで来た蟲達を追い払うべく抵抗する。



ビューン!



ビチャッ



北神の攻撃で数匹の蟲が潰れた。



北神「気色悪い奴らだ」



ビューン!!



ビチャッ



ビュッ!



ビチャッ



北神は、次々と蟲達を倒していく。



北神「くそっ!数が多すぎるな。きりがない」



ピタッ



北神の背中に数匹の蟲がとまった。



北神「ぬっ」



バッバッ



北神は、背中についた蟲を剥がそうと試みる。



キリキリキリキリ



北神(!)



ピタピタピタ・・・・・・



蟲達が北神に次々とくっついてその身体を埋めつくしていく。



北神「うおっ!?」



キリキリキリキリ



ズボッ



蟲達は、一斉に鳴き声をあげると同時に小さな針で北神の身体を刺した。



北神「ぐっ!」



キリキリキリキリ



チュゥゥゥゥゥ



北神(な、何!!)



蟲達の頭の部分が青く光り始めた。



奇淋「人間界にこの蟲と似た性質を持つ蚊という生き物がいるが蚊は、生き物の血を吸うがこの蟲は・・・」


北神「ぐぉぉぉぉ!!!!!!」



ガクッ



北神は、地面に膝をついて急に激しく苦しみ始めた。


チュゥゥゥゥ



北神「ぐぅぅぅぅ!!!!わ、私の力が!?」



ポワァァァァァン



蟲達の青く光っている頭の輝きがどんどんと大きくなっていく。



北神「き、奇淋!!この蟲達が私から吸いとっているものはまさか!?」



奇淋「そう。お前が頭に今描いている事だ」



チュゥゥゥゥ



北神「ぐわぁぁぁぁ!!」


ドタッ



ぐるりぐるり



北神は、妖気を吸いとられる苦しみで地面に倒れてもがき苦しんでいる。



北神(私の妖気を吸っている)



奇淋「一度相手についたら最後、私が合図するまで決して離れる事がない。相手の妖気を吸い尽くすまでな」



ググ・・・・



北神は、蟲達に妖気を吸われながらもゆっくりと立ち上がった。



北神「ハァハァハァ」



奇淋「その蟲達がついている状態で立ち上がってどうするつもりだ?蟲達が身体についている限りお前の妖気を吸い続けるぞ」



北神「・・・だったらお前を倒すまでだ!」



ダッ!



ドーーン!!!



北神は、蟲に妖気を吸われながらも力を振り絞って奇淋に向かっていった。



北神「うぉぉぉぉ!!」



ビューン!!



奇淋「遅い」



パシッ



ギュゥゥゥ



北神の力を振り絞った渾身の一撃が奇淋に受け止められた。



奇淋「蟲達に妖気を吸われてお前のスピードは、急激に落ちている」



チュゥゥゥゥ



北神「ぐぉぉぉぉ!!」



ズルズルズル



ドサッ



北神は、崩れ落ちるようにその場に倒れた。



奇淋「長年に渡る私達の闘いもあっけない幕切れだったな北神」



スッ



奇淋が右手をあげると北神についていた蟲達が北神の身体から離れていく。



北神(くそ・・・・)



キリキリキリキリ



ピタッ



蟲達は、鳴き声をあげると今度は、奇淋の身体にくっついた。



北神(・・・自分に蟲達をつけて何をするつもりだ・・・!?)



蟲達は、青い輝きを放つと一斉に奇淋の身体に吸収されていく。



パァァァァァァ



北神(!)



奇淋の身体が青く輝き始めた。



北神(まさか!?蟲達が私から吸いとった妖気を自ら吸収しているのか!)



グッ



奇淋「ハァァ!!!」



ブォォォォ!!!



奇淋の身体から凄まじいまでの妖気が放たれた。



奇淋「いいぞ。私の妖力が格段に増したぞ」



北神「・・馬鹿な!?まるで先程までと別人のような妖気だ・・・・」



奇淋「そうだ。蟲が吸い取った妖気を吸収することにより私自身の持つ妖気の絶対値をあげることが出来る」



ググ・・・



スッ



北神は、再び立ち上がり構えた。



奇淋「もう蟲達に吸われてほとんど妖気も残っていないはずだ。今の私の妖気を見ただろう?負けを認めろ。お前にどうあがいても勝ち目はない」



(キッ)
北神「闘える力が少しでもある限り私は、最後まであきらめん」



奇淋(勝負が既に見えているはずなのに目は、全く死んでいない)



北神「私の最後の力を見せてやる」



にゅるるる



北神は、軟体術で首を伸ばした。



グググ



ギュンンンン



ピキーン



北神は、先程と同様に伸びた首を硬化させた。



北神「奇淋いくぞ!!」



ブーーーンブーーーン



奇淋「長年の好敵手に敬意を表して私の全力で完全に葬ろう」



グググ



ジジジ・・・



バッ



ゴォォォォォ!!!!



奇淋の両手が青く燃え始めた。



北神「ハァァァ!!!」



ビューーーーン!!



奇淋(・・・)



ガシッ



ズン!!!



奇淋は、その場から動かず北神の硬化した首を両手で受け止めた。



奇淋「うぉぉぉぉ!!!」


ビリビリビリ



奇淋の青く燃えている両手から北神の伸びた首を伝わり北神の全身に電流が流れた。



北神「ぎゃぁぁぁぁ!!」


にゅるるる



スポッ



北神の首が元に戻る



奇淋「いくぞ」



ブォーン



シュタッ



北神(・・・!!)



ビューン!!!



ドゴォォォ!!



北神「がっ・・・」



ビュッ!



バゴォォン!!



奇淋は、北神の腹部に一撃を入れた後に北神を空に向かって蹴り上げた。



チラッ



奇淋は、上空に蹴り上げた北神を見上げた。



バッ



ヒューー!!!



奇淋は、空高くジャンプして蹴り上げた北神を追い抜いた。



奇淋「北神」



北神「奇淋」



奇淋・北神(・・・)



互いの目を見つめる二人。


奇淋「これで終わりだ」



ゴォォォォォ!!!



奇淋の右手の青い炎が激しく燃えている。



ビューン!!!



ドゴォォォ!!!



北神「がはぁぁぁ!?」



ヒューーー



ドガァァァァァ!!



北神は、空中から地上に激しく叩きつけられた。



シュタッ



奇淋は、北神のそばに着地した。



北神「・・・ここまでお前に完膚なきまでやられるとはな。まだ闘う気持はあるが身体が動かないぜ。悔しいが俺の負けだ」



奇淋「一つ聞きたい。お前は、三年前の大会の後にエネルギー源である人間を絶ったのか?」



北神「・・・何故そんなことを聞く?」



奇淋「妖気が三年前とほとんど同じだからだ。お前が三年の間修行をしないわけがないからな。エネルギー源を絶つことをしていなければ先程私を締め付けた時に勝てていたかもしれないぞ」



北神「人間を絶ったのは、雷禅国王の意志を継いだまでだ。人間を絶ったことを負けた言い訳にはしないさ」



奇淋「お前の事だから人間を絶つのをやめろといってもきかないだろうな」



北神「ああ」



奇淋「予選とはいえお前と決着をつけられて良かったぞ」



スッ



奇淋は、右手を北神に差し出した。



(ニッ)
北神「私もだ。お前に魔道本家の技を一切使わせることなく敗れてしまったのは悔しいがな」



ガシッ



ムクッ



北神は、奇淋の右手を掴み立ち上がった。



審判「71ブロックは、奇淋選手が本選出場を決めました」



奇淋(飛影、そして躯様をこの大会で超えて見せる)


魔界統一トーナメント予選71ブロック・北神vs奇淋の予選最大の注目のカードは、魔道本家奇淋が北神を圧倒的な強さで倒し、本選出場を決めた。



続く
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