幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界統一トーナメントの一回戦は各ブロックごとに分かれて上段から順次行われていく。



本選は巨大な自然式円闘場で行われる。A〜Dブロックにそれぞれに円闘場がありそれぞれが選手達の休憩場と長い階段で繋がっている。



自然式円闘場には高山・湖・砂漠・ジャングル・草原が設置されており各選手がそれぞれの能力を生かせる場所を選びながら闘いが出来る為に駆け引きの要素も重要となってくる。



中央に小型の円闘場も設置されており選手間の同意があればここだけに限定して闘うことも出来る。



選手達にそれぞれ虫型追跡カメラが配備され闘いの様子をもらさずTVモニターに送られる。



次の王が一体誰になるのか魔界全土がかたずをのみ大会の行方を注目していた。


A〜Dブロックそれぞれの自然式円闘場に第一試合の出場する選手達が互いに距離をとって闘いの開始の合図を待っている。



Aブロック

乙夜(いつや)
×
境内(けいだい)



Bブロック

棗(なつめ)
×
達磨(だるま)



Cブロック

木阿弥(もくあみ)
×
卒都婆(そとば)



Dブロック

謙遜(けんそん)
×
蔵馬(くらま)



小兎「では各ブロックの一回戦の第一試合を始めます」



上空から審判の女性達が各ブロックを見守っている。



審判「始め!」



四人の審判の口から同時に試合開始の合図の声がマイクを通して四つの会場に響き渡った。



――Aブロック



乙夜・境内「おらぁぁぁ!」



バキッ!!



バゴッ!!



鳥と熊の顔をした二人が殴りあいを始めた。



――Cブロック



木阿弥「フン」



ガガガッ!!



卒都婆「ちっ!」



躯の77人の直属戦士同士の対決となった木阿弥と卒都婆がお互いの技を駆使して激しい闘いを始めた。



――Bブロック



ドゴォッ!!



試合開始の合図と共に棗の右の一撃が達磨の腹部を直撃。



達磨「あぅ・・・」



ドスン!!



棗の一撃で白目をむいた状態で達磨の巨体が簡単に崩れ落ちた。



棗(そういえば前の大会も確か第一試合からだったわね)



チラッ



棗は上空の審判を見上げた。



審判「Bブロック第一試合棗選手対達磨選手の試合は棗選手の勝利です!」



小兎「おおっと!Bブロックの第一試合は一瞬で決着がつきました」



――選手達の休憩場



飛影(あの女さすがだな)



(ニャッ)
躯「俺と闘った時より遥かに強くなっているようだ。出来るならあいつとまた闘ってみたいぜ」



――Dブロック



蔵馬と謙遜が激しい闘いを繰り広げていた。



蔵馬「薔薇棘鞭刃!!」



ビュー!!



謙遜「むっ!」



バッ



謙遜は素早くジャンプして蔵馬の攻撃をかわした。



ビシッ



攻撃をはずした蔵馬の鞭が地面を叩く。



シュタッ



地面に着地する謙遜。



謙遜の姿形はマジシャン風のマントと頭にシルクハットを被り顔を白い仮面で隠していた。



スチャッ



クルッ



謙遜「ハッ」



シュッ!



謙遜は右手のそれぞれの指の間に挟んだ四枚のカードを身体を半回転することにより勢いをつけて蔵馬に向かって投げつけた。



ピュー!!



蔵馬に向かってもの凄いスピードでカードが飛んで来る。



蔵馬「ハァッ!」



ビュー



ビシッ



蔵馬はその場から動かず謙遜のカードを鞭で弾いた。


ドスドスドスドス



弾かれたカードが地面に突き刺さる。



謙遜「やるな」



蔵馬「悪いがそのカード攻撃はもう俺には通用しない」



謙遜「そうかい」



スチャッ



謙遜が再び右手の指の間にカードを挟んだ。



謙遜「フン!」



クルッ



シュッ



ピュー!!



先程と同じようにカードを謙遜が投げた。



蔵馬「カード攻撃は無駄と今いったはずだが」



ビュー!!



ビシッ!



蔵馬は先程と同様に鞭でカードを弾き飛ばした。



ドスドスドスドス



蔵馬「だからい・・



ピュー!!



蔵馬(何!?)



突然カードの飛んで来る音が蔵馬の耳に聞こえて来た。しかしその姿は見えない。



謙遜「最初に投げたカードはあくまで囮さ」



バッ!



蔵馬の身体が瞬間的に危険を察知しすぐにジャンプした。



ドスッ!



蔵馬「うっ!」



だが蔵馬の肩に謙遜の投げた見えないカードの一枚が突き刺さる。



シュタッ



蔵馬は地面に着地した。



蔵馬(・・・)



チラッ



タラー



ポタッポタッ



蔵馬の肩に刺さった見えないカードに蔵馬の血が伝わり地面に滴り落ちる。



スッ



ズボッ



蔵馬は肩に突き刺さっていたカードを引き抜いた。



蔵馬「見えないカードか。恐ろしい技だな」



手に持った見えないカードを見つめながら蔵馬は呟く。



スチャッ



謙遜は見えないカードを両手の指の間に挟んだ。



謙遜「お前はこの見えないカードによって私に倒される」



バッ



謙遜はその場から上に向かって高くジャンプした。



謙遜「ハッ!」



ピュー!



蔵馬に向かって右手の指の間に挟んだ見えないカードを放つ。



バッ!



蔵馬はジャンプしてそれをかわす。



ドスドスドスドス



地面に突き刺さる姿の見えないカード。



シュタッ



カードを投げる為にジャンプした謙遜が地面に着地した。



クルッ



ピュー!



着地した謙遜が直ぐに左手の指の間に挟んでいた見えないカードを空中にジャンプした蔵馬に向かって放った。



蔵馬(!)



ババッ!



蔵馬はすかさず両手を十字にクロスさせて防御した。


スパッ!スパッ!



ドスドス



謙遜が投げた四枚の見えないカードが蔵馬の両腕に二枚突き刺さり二枚が蔵馬の身体を擦った。



シュタッ



着地した蔵馬は謙遜を見つめる。



蔵馬「さすがに本選に残るだけあって強いな」



小兎「Dブロックの蔵馬選手が謙遜選手を相手にまさかの苦戦を強いられています!!!」



――選手達の休憩場



桑原「大丈夫か!?いきなり蔵馬が苦戦しているぞ。あのマジシャンみたいな変な野郎、けっこう強いぜ」


スッ



飛影が静かに桑原の横に現れた。



飛影「貴様も蔵馬との付き合いがけっこう長いはずなのにわからないのか?。あいつが苦戦している表情をしているかどうか奴の顔をよく見てみるのだな」



桑原「何?」



桑原はスクリーンに映し出されている蔵馬の顔を見た。



蔵馬は涼しい表情で謙遜を見つめていた。



桑原「いつもと変わらない表情だ」



飛影「蔵馬の奴が妖狐化すればあの程度の相手なら直ぐに一撃で倒せるはずだ」


桑原「そ、そうなのか!?」



飛影「あの謙遜とかいう野郎もS級クラスの力をもっているが蔵馬の相手ではない」



桑原「だったらなんですぐに妖狐になって倒してしまわないんだ?」



飛影「さあな」



その時解説の小兎の声が響き渡る。



小兎「Aブロックは激しい殴り合いの結果、乙夜選手が勝利しました」



桑原「おっ!Aブロックの第一試合が終わった」



カチャッ



時雨「さて拙者の出番だな」



コツコツコツ



第二試合目に出場する時雨は燐火円磔刀を手に取るとAブロックの闘場に向かって歩いていった。



――Dブロック



謙遜「カードが見えない限りお前に防ぎようがないぞ」



蔵馬「見えないカード。確かに恐ろしい技だが俺にはもう通用しない」



謙遜「強がりをいうな」



蔵馬「だったらその見えないカードをまた投げてみたらどうだ?」



謙遜「いいだろう」



スチャッ



クルッ



謙遜「ハッ!」



シュッ!



蔵馬「風華円舞陣」



ヒュゥゥゥ・・・



研ぎ澄まされた大量の花びらが一斉に蔵馬を守り始めた。



ガッ



ドスドスドスドス



大量の花びらに見えないカードが当たり弾かれた。



謙遜「馬鹿な!?」



ピュー!



蔵馬が自分の身体に刺さっていた謙遜の見えないカードを投げた。



謙遜(!)



ドス



謙遜の左足に見えないカードが突き刺さる。



スッ



ズボッ



謙遜は自分の足に刺さった自身のカードを抜いた。



謙遜「お前に刺さっていた私のカードを投げるとはなんの真似だ。これで私を倒すつもりだったのか?」



蔵馬「ああ。そのつもりだ」



謙遜「何?」



ピキッ



謙遜(!?)



謙遜「私のか、身体が動かない!!!?」



蔵馬「お前に投げたカードに即効性の身体の自由を奪う透明の植物の液を塗っておいた。身体が暫くの間は身動き一つ出来ないはずだ」



グググ



謙遜「くそっ!全く動かない」



ビュー



ぐるぐるぐる



謙遜「うおっ!?」



蔵馬の鞭が謙遜の身体に一気に巻き付く。



蔵馬「この鞭は俺の好きな薔薇の花を俺の妖気で鞭化したもの」



謙遜「私の見えないカードに植物の液を塗っていたとは・・・」



蔵馬「見えないカードが逆に仇となったようだね」



謙遜「畜生ォォォ!!」



蔵馬「終わりだ」



ギュゥゥゥ!!!



蔵馬が言葉を発すると謙遜の身体に巻き付いた鞭が一気に謙遜の身体を締め付け始めた。



謙遜「ギャァァ!!!!」


鞭の棘が謙遜の身体から血が溢れだした。



ドサッ



謙遜は痛みのあまりに意識を失いその場に倒れた。



シュルルル



パシッ



蔵馬は謙遜の身体に巻き付いていた鞭を解いた。



蔵馬「綺麗な薔薇には棘があるのさ」



チラッ



蔵馬は上空にいる審判の女性を見た。



審判「Dブロック第一試合謙遜選手対蔵馬選手の試合は蔵馬選手の勝利です!」


小兎「驚きました。苦戦しているかと思われた蔵馬選手が謙遜選手を一気に撃破。凄いです」



蔵馬(南野秀一の肉体でも勝てたな)



――選手達の控え室



闘いを終えた蔵馬が戻って来た。



桑原「お疲れ〜。最初はどうなるかとけっこうヒャヒャしたぜ。蔵馬、カードにやられた傷は大丈夫なのか?」



蔵馬「大丈夫。傷は大したことないですよ」



桑原「飛影がさっきいっていたが妖狐化したら一撃で倒せる相手だったんだろ?何で妖狐に戻らなかったんだよ」



蔵馬「大した理由ではないですよ。人間界で桑原君を狙う者の一人と南野秀一の肉体で闘ってかなり危ない経験をしたから現在の南野秀一の身体でどこまで闘うことが出来るか自分の強さの水準を見たくなってね」


桑原「なるほどそういう事だったんだ」



蔵馬「ええ。二回戦からの相手は最初から妖狐化しないといけない相手ばかりだからチャンスは初戦だけでしたからね」



チラッ



蔵馬は闘技場に向かっているおそらく二回戦の相手となるかもしれない巨体の男の姿を見た。



蔵馬(電鳳か・・・雷禅の昔の仲間の一人。かなりの強敵だ)



小兎の解説が聞こえてきた。



小兎「Cブロックは木阿弥選手が激戦の末に勝ちました」



桑原「これで一試合目の最初の試合は全部終わったな」



蔵馬「他のブロックは既に何試合か始めまっていますね」



モニターで時雨の闘う様子を見つめる妖怪がいた。
次の三試合目で闘う月畑である。



月畑「さすが時雨様は強いな。次はいよいよ自分の番だ」



チラッ



月畑は自分の対戦相手である武威という男の姿を見た。



武威は全身に厚い鎧を見に纏い腕を組んで壁越しに立っていた。



月畑「あの鎧の男が武威か」



武威(・・・)



武威は静かに自分の出番を待っていた。



続く
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