幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界統一トーナメント一回戦のAブロックの第二試合目が行われていた。



(2)
時雨(しぐれ)
×
鵤(いかる)



くるくるくるくる



ズバッ



鵤「ぐわっ!!」



回転している時雨の燐火円磔刀が鵤の背中を斬り裂いた。



くるくるくるくる



パシッ



ブーメランのように時雨の手元に戻ってくる燐火円磔刀。



鵤「ハァハァハァ・・」



鵤はかなり苦しそうな表情を浮かべている。



時雨「悪いがそろそろ決めさせてもらうぞ」



カチャッ



スッ



時雨は燐火円磔刀を握り締めて少ししゃがんだ形で構える。



ドーン!!



鵤(き、消えた)



シャキーン



ズバッ!!!



鵤「がっ!!」



時雨が燐火円磔刀で鵤の腹部を横一直線に完全に斬り裂いた。



ガクッ



腹部を両手でおさえて地面に膝をつく鵤。



鵤「うぁぁ・・・」



ドサッ



鵤はその場に倒れた。



スッ



しゃがんだ態勢だった時雨が立ち上がる。



時雨「他愛のない相手だ」


チラッ



時雨は上空の審判を見上げた。



審判「Aブロックの第二試合目の時雨選手対鵤選手の試合は時雨選手の勝利です!」



小兎「時雨選手が圧倒的な強さで鵤選手を下しました。彼の愛刀である燐火円磔刀の威力は本当に凄いです!!」



――選手達の控え室



月畑「いよいよ出番だな」


時雨の試合を見終えた月畑が次の試合の準備を始めた。



月畑の姿は半魚人で右手には自慢の武器である剣を持っている。



桑原「月畑、やっぱり時雨は流石に強いな」



クルッ



桑原の声に月畑が振り向く。



月畑「桑原か」



桑原「次はおめーの番だな。勝てよ!」



(ニコッ)
月畑「もちろんだ」



桑原「そういえばお前の相棒の酒王の奴は予選で負けちまったんだな」



月畑「ああ。酒王の奴は本来なら本選に残れるぐらいの力があるんだけどな」


桑原「だよな〜。森で酒王に追いかけられた時に感じたあいつの妖気はA級妖怪クラスだったし」



月畑「観客として見に来ている奴に詳細を聞いたんだがあいつが負けたのは・・・」



酒王が敗れた経緯を月畑が語り始めた。



――予選第1ブロック



酒王「フフフ。見渡した限り俺の敵になりそうな奴はあいつぐらいだな」



酒王は目の前にいるツンツン頭の髪型の人間風の姿をした妖怪を見つめた。



そして上空の審判から予選開始の合図の声が響き渡る。



仙道「さあ、行こーか」



スッ



ジジジ



ボンッ!



仙道が右手の手の平を上に掲げると妖気で作られた鋼鉄の球が現れた。



酒王(鋼鉄の球・・・あれに当たると痛そうだ)



グッ



酒王は構えて戦闘態勢に入る。



仙道も同様に球を右手で掴み攻撃態勢に入った。



ドドドドドドッ!



仙道「あれっ?」



仙道以外の他の第一ブロックの予選出場者全員が仙道の横を通り過ぎていった。


酒王「へっ??」



予選出場者達が一斉に酒王に向かって襲いかかっていったのだった。



「うぉぉぉぉ!!!」



酒王「な、なんで??」



酒王は他の予選の対戦相手達が一斉に襲いかかってきたことに戸惑い始めた。


「気色悪いんだよ!」



バキッ!



酒王「あうっ!」



「見ていて腹立つ」



ドガッ!



酒王「ゲフッ!」



「真っ先に倒す」



バゴッ!



酒王「ぐはっ!!!」



酒王は予選出場者達に力を発揮するまもなく一斉によってたかって全力でボコボコにされた。



仙道「まいったなあ」



一人ポツンと残された仙道はポリポリと顔を掻きながら苦笑いを浮かべた。



――選手達の控え室



月畑「というわけであいつは予選で消えた。あの不気味過ぎる顔を誰もが許せなかったらしい」



桑原「ははは・・・分かる気がする」



月畑「話はこれまでだ。闘場にいってくる」



桑原「俺も勝つからよ!二回戦でおめーと勝負だ」


月畑「ああ」



クルッ



コツコツコツ



月畑はAブロックの自然式円闘場に繋がる階段に向かって歩いていった。



桑原「そういえば月畑の対戦相手は誰だっけ?」



チラッ



桑原は対戦表の組み合わせを見た。



(3)
月畑(つきはた)
×
武威(ぶい)



桑原(武威?どっかで聞いたことのある名前だけど・・・はてっ??)



桑原は両腕を組んで考え始めた。



幽助と蔵馬がスクリーンで試合の様子を見つめていた。



蔵馬「流石は電鳳だな。一撃だ」



幽助「やっぱり親父の仲間は強いぜ」



Dブロックの第二試合目に登場の電鳳が一撃で闘いを終わらせた様子がスクリーンに映し出されていた。



幽助「蔵馬、おめーの二回戦の相手がこれで電鳳に決まっちまったが大丈夫か?」



蔵馬「さあね。恐ろしく強い相手だからどうなるか分からないけどベストは尽くすよ」



幽助「そっか。あ〜早く俺の出番がこねーかな。陣と早く闘いてーぜ」



蔵馬「ははは、本当に嬉しそうだね。まだ幽助の試合の前には桑原君の試合と鈴駒と修羅の試合とかがありますよ。彼等も同じブロックだから彼等と闘う可能性もあるのだからしっかり見ておいた方がいいと思うよ」



幽助「ああ、もちろんだ」


コツコツコツ



桑原が腕を組んでブツブツと呟きながら幽助達のそばにやって来た。



幽助「何をブツブツいってんだ、桑原?」



桑原「おう、浦飯。いゃあ、Aブロックに俺の知り合いの月畑って奴が試合に出るんだが対戦相手の名前がどこかで聞いたことがあるような名前なんで誰だったかなーって思ってな」



幽助「俺も知ってる奴か?」



桑原「多分・・・」



その時、Aブロックの審判の女性の声が聞こえてきた。



審判「これよりAブロック一回戦の第三試合、月畑選手対武威選手の試合を開始します」



幽助「おっ、始まるようだぜ」



幽助達はスクリーンを見つめた。



幽助・桑原・蔵馬(!!)



スクリーンに映し出されたAブロックの武威の姿を見て三人は同時に驚きを見せた。



桑原「お、思い出したぜ、あいつは・・・」



飛影も幽助達のそばから少し離れた位置でスクリーンを見つめている。



飛影(あれは暗黒武術会の時に戸愚呂チームにいたデカブツか)



――Aブロック



月畑と武威が間合いを取りながら試合開始の合図を待っている。



武威(・・・)



月畑(こいつあんなに分厚い鎧を着て動けるのか?)


上空の女性審判が二人の様子を見ている。



審判「始め!」



審判の試合開始の合図の声が響き渡る。



カチャッ



月畑は剣を握り締めて戦闘の構えに入った。



月畑(こいつに全く隙がない。かなり出来るぞ)



ジリジリ・・・



月畑はじわじわと武威との間合いをつめていく。



スッ



武威は右手を横に伸ばした。



ジジジ・・・



ズンッ



月畑(!)



武威の右手に妖気で作られた巨大な斧が出てきた。



ガシッ



武威は巨大な斧を右肩にのせた。



月畑「な、なんて馬鹿でかい斧なんだ!」



武威(・・・)



月畑(とりあえずこちらから仕掛けて奴の様子を見てみるか)



カチャッ



ダッ!



月畑は剣をもう一度強く握り締めると武威に向かって一気に駆け出した。



月畑「ハァァ!!!」



ビューーン!!!



月畑が武威の左肩を狙って剣で素早く斬りつける。



ガキーン!!



武威の左腕が月畑の剣を受け止める。



ググググ・・・



月畑が力を込めて剣を受け止めた腕ごと武威を斬り裂こうとするが全く斬れない。



月畑「馬鹿な!何故斬れない!?いくら分厚い鎧を着ているとはいえこの妖気を込めた剣で斬れないはずがないのに!」



スッ



武威がゆっくりと右の肩にのせていた斧を上に持ち上げた。



武威(・・・)



ブーン!!!



月畑(!!)



ドゴォォォ!!!



武威が振り下ろした斧がもの凄いスピードで月畑を横から一直線に真っ二つにした。



ガンッ!



グシャッ



斬り裂かれた月畑の上半身が近くの岩壁にぶつかりそのまま地面に落ちた。



プシュゥゥゥ!!!



武威の目の前には上半身を失った月畑の下半身から血が噴水のように吹き出して立っている。



ピクピクピク



ドサッ



月畑の下半身は僅かに痙攣するとその場に倒れた。



審判「あっあ・・・」



上空から試合を見守っていた女性審判はあまりの衝撃に声が中々出てこない。



武威(・・・)



ガシッ



ズン!ズン!ズン!



武威は再び肩に斧をのせるとそのまま闘場を後にした。



シーン



メイン会場も衝撃の光景に一瞬静まりかえる。



そんな中で小兎が衝撃のあまり言葉が出てこない審判の代わりに武威の勝利を宣言した。



小兎「Aブロック第三試合の月畑選手対武威選手の試合は武威選手の勝利です!」



小兎の武威の勝利宣言で静まりかえっていたメイン会場は一気に大きな歓声となる。



「すげーぜ!!」



「あんな重い鎧を着ているのにあの巨大な斧をなんてスピードで振り下ろすんだ」



酒王「つ、月畑ァァァァ!!」



相棒の死を目の当たりにした酒王は目に涙を浮かべて観客席で叫んだ。



――選手達の控え室



桑原「月畑ァァァァ!!」


桑原も酒王と同じく月畑の敗北と死をスクリーンで見て大きな声を上げた。



蔵馬「今の武威の妖気は暗黒武術会の時と比べ物にならないほどの妖気だ」



スッ



飛影が静かに蔵馬の横に来た。



飛影「ああ、あのデカブツの妖気は間違いなくS級クラスに到達しているぜ」



幽助「とんでもなく強くなってやがるな」



桑原「ち、畜生ォォ!!よくも月畑を俺が奴をぶっ倒してやる!!」



桑原の身体から巨大な霊気が溢れ出ていた。



蔵馬(す、凄い・・・桑原君の霊気が急激に上がっている)



暫くして武威が選手達の休憩場に戻って来た。



そして武威と幽助達が遭遇した。



幽助達・武威(・・・)



スッ



飛影が一歩前に出て武威に話しかける。



飛影「おい、久しぶりだな。暗黒武術会以来か」



武威は静かに口を開いた。


武威「ああ」



飛影「今の試合を見たかぎりあれから相当腕を研いたようだが今ごろ何故あら・・」



ズィ



桑原が飛影が言い終わる前に武威の目の前に出て来た。



桑原「よくも月畑を殺しやがったな!許さねーぜ!!俺が次の試合に勝てば二回戦でてめーと当たる。ぜってーぶっ倒してやるから覚悟しとけ」



武威「フッ、桑原か・・・相変わらず威勢がいいな」



桑原「何だと!コラァ!!」



その時会場にアナウンスが流れる。



「桑原選手は試合があります。至急Aブロックの闘場に来てください」



桑原「ちっ、まだてめーに言いたい事があるが仕方ねー、俺の試合をじっくり見とけよ」



武威「わかった」



クルッ



タッタッタッタッタ



武威(桑原か・・・)



桑原はAブロックの闘場に向かって走り始めた。



幽助「桑原ァァァァ!!」


ピタッ



クルッ



桑原は走っていた足を止めて振り向いた。



桑原「何だ?」



(ニッ)
幽助「勝てよ!」



幽助は親指を立てた。



(ニカッ)
桑原「おうよ!」



桑原も指を立てた。



クルッ



タッタッタッタッタ



Aブロック第四試合

桑原(くわばら)
×
牛頭(ごず)



桑原和真の魔界統一トーナメントの初戦が今始まる。


続く
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