幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界統一トーナメントのAブロックの一回戦の第四試合が始まろうとしていた。



――メイン会場の観客席



雪菜「いよいよ和真さんの出番・・・」



巨大スクリーンで雪菜が桑原の試合を心配そうな表情で見つめていた。



――Aブロック



牛頭(ごず)
×
桑原(くわばら)



桑原と牛頭が対峙している。



牛頭は2mを越す巨体と鍛えあげられた鋼のような筋肉にその名の通り頭が牛という姿をしている。



上空から審判が二人を見ている。



審判「始め!」



審判から試合開始の合図の声が響き渡る。



桑原「よっしゃあぁぁぁ!!!行くぜ牛野郎」



ジジジ・・・



桑原「霊剣!」



ギュンンン!!



桑原は右手に霊剣を作りだした。



(ニャッ)
牛頭「やれやれ人間か、楽勝だな」



牛頭は桑原が人間ということで桑原を闘う前から甘く見ていた。



――選手達の休憩場



時雨がスクリーンで桑原の試合を見つめている。



時雨「次元刀ではなく霊剣か・・・まあ様子見といったところか」



スッ



躯が時雨の横にやって来る。



時雨「躯様」



時雨が躯に話しかけた。



躯「あの人間がいよいよ闘うようだな」



時雨「ええ。この試合はおそらく桑原が勝つでしょう。あの牛頭はA級の上位クラスの力を持っていますが今の桑原なら倒せる相手です」



躯「お前が教えた剣術をどれだけ奴が身につけているか楽しみだ」



時雨「拙者もそれを実践で見るのが楽しみです」



――Aブロック



牛頭「捻り潰してくれるわ」



ダッダッダッ



牛頭は桑原めがけて走り出した。



桑原「来やがれ」



桑原は霊剣を構えた。



牛頭「おらぁぁぁ!!」



ビューン!!



牛頭が桑原に向かって強烈な一撃を放った。



バッ



ズガァァァン!!



桑原は素早くジャンプして攻撃をかわした。牛頭の腕が地中にめり込む。



シュタッ



着地する桑原。



牛頭「ちっ!よけられたか」



ズボッ



ダッダッダッ



地中にめり込んだ腕を引き抜くと再び桑原に向かって走っていく牛頭。



牛頭「フン」



ビューーン!!



先程よりさらに素早い牛頭の一撃。



バッ!



ズガァァァン



牛頭の攻撃を先程と同じようになんなくかわす桑原。


トッ



バッ!



ヒューー



シュタッ



攻撃をかわし牛頭の右肩を軽く踏んで高くジャンプした桑原は牛頭と少し離れた位置に着地した。



牛頭「またかわしやがったか」



桑原「あの金髪野郎の動きに比べたら屁でもねーぜ。今度は俺の番だ」



ブォーン!!



牛頭(消えた!)



桑原の姿が牛頭の目の前から消えた。



牛頭「ちっ、どこだ」



キョロキョロ



牛頭は消えた桑原の姿を探す。



桑原「俺はここだ」



ブォーン



桑原が牛頭の上に姿を現した。



牛頭「なっ!?上か!!」


桑原「でゃぁぁぁ!!!」


ビューン!!



桑原は霊剣で斬りつける。


牛頭「くそっ!」



ズバッ!



桑原の霊剣が牛頭の左肩を斬り裂く。



牛頭「ぬうぅ!」



ズズズ



牛頭は斬られた左肩を右手でおさえて少し後ずさる。


シュタッ



桑原は着地して再び霊剣を牛頭のいる方向に向けて構える。



桑原「すげー筋肉をしてるな。流石に今の一撃では倒せねーか」



牛頭「ちっ、人間だと思って甘く見過ぎていたようだ」



今まで桑原を侮っていた牛頭の顔が真剣な表情となる。



(キッ)
牛頭「本気で行くぞ」



グッ



牛頭は右手に力を強く込め始めた。



牛頭「うぉぉぉぉ!!!」


ボンッ!



牛頭の右手が大きく膨らんだ。



桑原「な、何だ?」



牛頭「覚悟しろ」



ジジジ・・・



桑原「牛野郎の腕にすげー妖気が集まっている」



牛頭「くだばれェェェェ!!!」



スッ



ドーーーン!!!




桑原(!)



牛頭の右手から巨大なエネルギー波が放たれた。



桑原「これをくらったら流石にやべーかもな」



シュゥゥゥ・・・



桑原の右手から霊剣が消えた。



桑原「あの手で行くか」



スッ



ジジジ・・・



桑原「次元刀ォォォ!!」


ピキーン



桑原の右手に次元刀が姿を現した。



そしてその瞬間、桑原に牛頭の放ったエネルギー波が直撃する。



ドガァァァァァァーーン!!!!!!



桑原の立っていた場所が大爆発を起こした。



――メイン会場



小兎「あーーっと!桑原選手に牛頭選手の放った巨大なエネルギー波が桑原選手に直撃いたしましたァァァァ!!!」



雪菜「和真さん!?」



――Aブロック



爆発後の桑原の立っていた場所に激しい砂煙が漂う。


(ニャッ)
牛頭「へへへ、やったぜ」


牛頭は勝利を確信し笑みを浮かべる。



シュゥゥゥ・・・



砂煙が徐々に消えて行き桑原の立っていた場所が見えてきた。



牛頭「フフフ、奴のボロボロになった姿をじっくりと見てやるか」



しかし消えた砂煙の先には桑原の姿が完全に消え去っていた。



牛頭「な、何だと!?」



桑原「悪いな、それでは俺を倒せねーぜ」



突如、桑原の声が牛頭の耳に聴こえて来た。



ザシュッ!!



桑原は牛頭の右の胸部から左の脇腹にかけて斬り裂いた。



牛頭「がはァァ!!」



ズズズ・・・



ガバッ



牛頭は斬られた衝撃で後ろに下がりながら傷をおさえた。



牛頭「馬鹿な!!」



牛頭は目の前の光景に驚愕の表情を浮かべる。



牛頭「く、空間が斬れている!!?」



桑原「へっ、驚いたかよ」


牛頭の目の前の空間が斬れておりそこから桑原の次元刀だけがその姿を見せている。



キーーー



そして静かにゆっくりと空間が円状に斬られていく。


シュパーン!!



空間が円の形に斬れた。



シュタッ



そして円の形に斬れた空間の中から一人の男が姿を現した。



(ニッ)
桑原「桑原和真様の登場だ」



ピキーン



シュッ!



牛頭(!)



桑原は次元刀で牛頭を突こうと動いた。



牛頭「うおっ!?」



ピタッ



桑原は次元刀を喉元で止めた。



(ニッ)
桑原「どうだ牛野郎?」



牛頭「な、何だこの剣は!?」



桑原「次元刀ってやつだ」


牛頭「次元刀・・・」



桑原「てめーの放ったエネルギー波が俺に直撃する瞬間に俺は目の前の空間をこの次元刀で素早く斬り裂いて空間の中に飛び込んでエネルギー波をかわした」



牛頭(・・・)



桑原「そして空間の中を移動して空間の中からお前を斬り裂いたってわけだ」



牛頭「まさか空間を斬り裂くような真似を人間が出来るとは・・・」



桑原「俺の自慢の技だ。それでどうすんだ?この状況でもまだ勝負を続けるのか?」



桑原は牛頭の喉元に突きつけている自らの次元刀を見ながら話す。



牛頭「この状況では勝ち目がない。俺の敗北を認めるぜ・・・」



桑原「敗北を認めるなら俺の勝ちでいいんだな?」



牛頭「ああ。だからこの剣を下げてくれ」



桑原「わかったぜ」



スッ



桑原は牛頭の喉元に突きつけていた次元刀を下に降ろした。



シュゥゥゥ・・・



そして桑原の右手から次元刀が消える。



(ニャッ)
牛頭「ありがとよ」



スッ



ビッ!



牛頭は腹部から流れていた血を手につけると桑原の目に向かって投げつけた。



ベチャッ



桑原「あっ!?」



ガバッ!



牛頭の血が桑原の目に入り桑原はたまらず目をおさえた。



桑原「ち、畜生ォォ!何をするんだ!きたねーぞ!!」



(ニャッ)
牛頭「けっ、甘いぜ人間!勝負に汚いもくそもあるかよ」



グッ



牛頭は右手に力を込めた。


牛頭「この傷のお返しだ」


ビューン!!



牛頭は強烈なパンチを桑原の腹部を狙って放つ。



ドゴォォォ!!!



桑原「うっ!!」



牛頭「もう一発だ」



ビューン!!



バキッ!



腹部に続いて桑原の顔面にも強烈な一撃が入った。



桑原「うゎぁぁぁ!!」



ヒュー!!!



牛頭の一撃を受けて桑原が近くの岩壁に向かって吹き飛ぶ。



ドガァァァ!!!!



ガラガラガラ



そして岩壁に桑原が突っ込んだ。



桑原「痛てーな、くそったれが」



ムクッ



桑原が立ち上がる。



ズン



桑原(!)



立ち上がった桑原の目の前に牛頭が既に立っていた。


牛頭「死ねや!!」



ビューーン!



牛頭は桑原にパンチを放つ。



桑原「やべーっ!」



シュッ!



桑原は素早く左に動き間一髪攻撃をかわした。



ドガァァァン!!



ガラガラガラ



牛頭の腕が岩壁にめり込む。



バッ



ドンッ!!



桑原は牛頭の攻撃をかわすと同時に地面を蹴って飛び上がり両足で牛頭にジャンプキックをくらわせる。



牛頭「おっ」



ピュー!!



ドテッ!



桑原のジャンプキックで10m先まで飛ばされる牛頭。


桑原「よくも騙してやってくれやがったな!覚悟しやがれ!!」



ジジジ・・・



桑原「霊剣!」



ギュンンン!!



桑原は次元刀ではなく再び霊剣を作りだした。



スッ



桑原は霊剣を少ししゃがみ加減に構えた。



――選手達の休憩場



躯「時雨、あれはお前の最強の技ではないのか?」



時雨「ええ、そうです」



躯「桑原にあの技までこの短期間で教えたのか?」



時雨「まさか・・・拙者が修行の時に桑原に一度見せはしましたが教えるまでにはいたっていないです」



躯「ならば奴は一度見た時雨の技を自力で体得したというのか」



時雨「おそらくは」



――Aブロック



桑原「行くぜ!」



ジリジリ



ドーン!!



牛頭(は、はやい!!!)



シャキーン!



ズバァァァ!!!



時雨が鵤を倒したあの同じ技で牛頭の腹部を横一直線に深く斬り裂いた。



牛頭「がっ・・・」



ドスン!!



牛頭はその場に倒れた。



桑原「フ〜、上手くいったぜ」



上空から審判が桑原と牛頭の試合の様子を見つめている。



審判「Aブロック一回戦の第四試合の牛頭選手対桑原選手の試合は桑原選手の勝利です!!」



審判が桑原の勝利を宣言した。



桑原「よっしゃあァァァァ!!!初戦突破ァァ!!」


――メイン会場の観客席



(ニコッ)
雪菜「和真さんが勝った・・良かった・・・」



雪菜は桑原の無事と勝利で安堵の笑みを浮かべた。



――選手達の休憩場



躯「フッ、俺達の想像以上に奴はお前の剣術を体得していたな」



(ニャッ)
時雨「桑原め、いつのまに・・・本当に大した男だ」



武威は桑原の試合を静かに見つめていた。



武威(・・・面白い)



牛頭を下した桑原は月畑を倒した武威と二回戦でぶつかることとなった。



他のブロックのBブロック第三試合では鉄山が勝利。Cブロックでは第二試合を九浄が第三試合を酎がそれぞれ勝利し二回戦への進出を決めていた。



蔵馬は桑原の試合後に見ていたDブロック第三試合の梟対眉墨の試合で勝利をおさめた梟に目を奪われていた。



蔵馬「あの梟とかいう男、奴に似ている・・・」



スクリーンに梟と眉墨の試合後の光景が映し出されている。



倒れている眉墨の身体はところどころ爆発して吹き飛んでいた。



蔵馬は静かに呟く。



蔵馬「そう、死んだあの鴉に・・・」



続く
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