幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――選手達の休憩場



牛頭との闘いを終えた桑原が休憩場に戻って来た。



(ニカッ)
桑原「浦飯ィィ!!見たかよ!俺様の強さ」



桑原は満面の笑みで幽助に話しかける。



幽助「見てたぜ!桑原があんな一撃必殺の技を使うとはすげーじゃねーか!」



桑原「だろ!まあ実際は時雨の技のパクリだけどな。この技は時雨に死ぬほど鍛えられたお陰で出来たようなもんだ。それでどうだった?俺の剣技はよー」



スッ



飛影が幽助や桑原のそばにやって来た。



飛影「まだまだ踏み込みが甘い上に無駄な動きが多いぞ。とても俺と同じ男を師事した様には思えんな」



(ピクッ)
桑原「飛影・・・全くてめーはいつもいつも」



飛影「次の相手は牛頭とは比べものにならない相手だ。勝ちを喜んでばかりいないで次の試合で死にたくなければ少しでも剣の腕をあげたらどうなんだ」



桑原「わーてるよ!少しぐらい勝利の余韻に浸らせろや」



飛影「フン、しかしこの短い期間でこれだけの力を身につけたのは貴様にしては大したものだがな」



幽助・桑原(!)



幽助と桑原は飛影の意外な誉め言葉に一瞬驚いた表情を見せたが直ぐにいたずらっぽい表情に変わった。



(ニャニャ)
幽助「おっ!珍しいことがあるもんだな。あの飛影が誉めるなんてよー」



(ニャニャ)
桑原「確かにあの飛影が誉め言葉を言うなんてマジで驚いた。富士山噴火の前触れじゃないのか?俺を誉めるなんて思わず自分の耳を疑ったぜ」



飛影(・・・こいつらいつか殺すか)



桑原「あれっ?そういえば蔵馬は?」



幽助「さっきまで一緒にいたんだけどな」



キョロキョロ



桑原は蔵馬の居場所を探して辺りを見回した。



桑原「おっ!いたいた」



蔵馬はスクリーンの近くまでいって何かをジッと見つめている。



桑原「蔵馬ァァ」



ポン



桑原が蔵馬の名前を呼び肩を軽く叩いた。



蔵馬(!)



クルッ



蔵馬は少し驚いた様に振り返る。



蔵馬「ああ、桑原君か」



桑原「珍しいな、おめーが俺が後ろに来た事に全く気付かないなんて。俺の試合は見てたか?」



蔵馬「もちろんですよ。見事な勝利でしたね」



桑原「へへへ。しかしなんかえらいスクリーンを見入っていた様だけどなんかあったんか?」



蔵馬「いや、別に大したことではないですよ」



桑原「そっか、大したことないなら別にいいんだけどよー」



チラッ



桑原は次の対戦の組み合わせを見た。



桑原「おっ!次のDブロックの第四試合に鈴木が出るじゃねーか。あいつを応援してやらねーとな」



蔵馬「そうだね」



桑原「っとその前に観客席にいる雪菜さんに俺の勝利を報告してくるぜ」



(ニコッ)
蔵馬「ははは、相変わらずだね。雪菜ちゃんに宜しくいっといてくださいね。それと桑原君は狙われているということをくれぐれも忘れないでくださいよ」



桑原「わかってるって」



クルッ



ダッダッダッダ



桑原は蔵馬に背を向けてメイン会場の方に走り去っていった。



桑原の後ろ姿を見ながら蔵馬は苦笑いを浮かべた。



蔵馬「俺としたことが桑原君が後ろに来た事に気付かないぐらいスクリーンを見入っているとはな」



フゥ〜



蔵馬は軽く息を吐いた。



蔵馬(俺の考え過ぎだ。鴉は暗黒武術会の決勝で俺が確実に殺した。生きているはずがないしあれは別人だ)



桑原が立ち去って暫くするとスクリーンに鈴木と対戦相手の駒形の姿が映し出された。



蔵馬「どうやら鈴木の対戦相手はあの女性のようだな」



鈴木の対戦相手の駒形は美しい女性の妖怪で着物をイメージした武闘着を着て鈴木の前に立っていた。



蔵馬「見た感じだとあの女性はA級の中位クラス。鈴木の相手ではないな」



ピーン



蔵馬(!!)



蔵馬は遠くから蔵馬を見つめる何者かの強い視線を感じた。



クルッ!!



蔵馬は素早く振り向いた。


蔵馬から少し離れた位置で腕を組んで立つ一人の男が蔵馬を見つめていた。Dブロックの第三試合を終えて戻って来た梟である。



蔵馬「か、鴉・・・」



蔵馬は梟の姿を見て思わず鴉と呟いた。



梟は長身で細くて美しく長い髪に顔を目から下をマスクで隠していた。蔵馬が以前闘った鴉と瓜二つの姿である。鴉との大きな違いは髪の毛の色が黒ではなく茶色であるということ。



蔵馬・梟(・・・)



蔵馬と梟、二人の目が合う。



蔵馬(スクリーンで見るより実際に見ると梟は鴉にあまりにも似ている)



梟(・・・)



クルッ



コツコツコツ



梟は背を向けるとゆっくりと歩いていった。



蔵馬(梟は間違いなく俺を見ていた・・・何故だ?梟、お前はやはりあの鴉なのか?)



蔵馬は立ち去る梟の後ろ姿をジッと見つめていた。



そして梟の歩く後ろ姿を見つめる男が蔵馬以外にもう一人いた。武威である。



武威(鴉・・・)



武威は兜を被っている為にその表情を伺い知ることが出来ないが暗黒武術会の時に戸愚呂チームで同じチームメイトだった鴉をよく知るだけに死んだ鴉にそっくりな梟に対して強い視線で彼を見つめていたのだった。



――霊界



コエンマが机の上に別室から持って来た大量に置いてある資料を調べていた。


コエンマ「う〜ん、う〜ん」



コエンマは資料を見ながら腕を組んで何か考え事をしていた。



ぼたん「コエンマ様、便秘ですか?」



コエンマ「たわけ!違うわ」



コエンマ達が調べている理由は幽助が魔界に旅立つ直前に桑原を狙う比羅達が何者であるか調べて欲しいと頼んだ為であり霊界には大量の膨大な資料と情報網がありそれを見込んだ上での頼みであった。



ぼたん「何かわかりました?」



コエンマ「全くわからん。幽助のいう者達の事が載る資料が必ずあると思うのだが中々見つからないな」



ぼたん「まあ膨大な資料ですからね」



「失礼します」



ガチャッ



コエンマの部屋の扉が開きあやめが何かの資料を持ってやって来た。



ぼたん「あやめ、何かあった?」



あやめ「ええ。かなり古い霊界の書物が見つかったからこっちに持ってきたの」


コエンマ「どれどれ見せて見ろ」



あやめ「あっ、はい」



ドスン



コエンマの机に数冊程の古い大きな本を置くあやめ。


モワーン



本から大量の埃が辺りに飛び散る。



コエンマ「ゴホゴホ。かなり古い本だな」



あやめ「例の資料室で見つけて参りました」



コエンマ「あの資料室からか。どれどれ早速調べて見るとするか」



パサパサパサ



コエンマはあやめが持って来た本を調べ始めた。



ぼたん「しかし本当に古い本だね。あやめ、こんな本をどこで見つけたのかい?」



あやめ「コエンマ様が以前、閻魔大王様の事件の事を調べ上げたあの資料室の奥に隠れるように置いてあったのよ」



ぼたん「あの資料室か。でもよく見つけてきたね」



(ニコッ)
あやめ「まあね」



ぼたん(あやめは相変わらずコエンマ様の事になると頑張るのよね)



コエンマが本を調べ始めて30分が過ぎようとした時にコエンマが突然声を上げた。



コエンマ「むっ!これは・・・」



コエンマは本のある一ページのある記述を見て驚いた。



ぼたん「コエンマ様、何か見つかったんですか?」


コエンマ「うむ、この本を読んでわかったぞ。桑原を狙う連中が霊気でも妖気でもない気を持つ理由とそしてその正体もな」



あやめ「何者なのですか?」



コエンマ「奴らの正体は・・・」



コエンマは比羅達の事についてぼたんとあやめに語り始めた。



――10分後



あやめ「なるほど・・・それが彼らの正体だったのですね」



ぼたん「じゃあそいつ達は桑原君を使って何をするつもりなんだろう?」



コエンマ「幽助達もそれを知りたがっておったが肝心の桑原が次元刀以外の能力におそらくまだ目覚めておらんのだろうからわからんのだ」



ぼたん「何なのでしょうね?」



コエンマ「桑原は次元刀という非常にレアな能力を持つ男だ。おそらくあいつにはまだ奴らが欲する眠っている能力があるのだろう」


ぼたん「でも桑原君がまだその能力に目覚めているわけではないのならそんな能力を本当に持っているっていうのも奴らにわからないのではないですか?」



コエンマ「確かにな。桑原を狙う連中にはわからないだろう。幽助達がいっていた奴らの協力者が相手の隠れた潜在能力がわかる能力者だとしたらどうだ?」



ぼたん「あ・・・そっか。確か幽助達と面識がある者っていっていましたよね。コエンマ様はそれが誰だかわかったのですか?」



コエンマ「うむ。幽助達から話しを聞いてからずっと考えておったのだが相手の潜在能力を探る能力を持ち幽助達と面識を持つ者は一人だけ思い当たる男がおる」



ぼたん「一体それは誰です?」



コエンマ「樹だ」



――亜空間



樹は一人の妖怪の肉体を見つめている。



樹「素晴らしい肉体だ。死んで三年も経過しているというのにな」



樹の目の前には幽助の遺伝上の父親である雷禅の肉体が横たわっている。



樹「これで器が手に入った。ここまでは俺の計画が順調に進んでいる」



チラッ



樹は雷禅の隣で横たわっている仙水の肉体を見つめた。



コツコツコツ



スー



樹は仙水のそばに行き仙水の髪の毛を優しく触る。



樹「忍は俺が今からやろうとしていることをお前が知ればどう思うのだろうな・・・」



――霊界



ぼたん「魔界の穴事件の後に死んだ仙水の魂と身体と共に行方不明になっているあの男ですか?」



コエンマ「そうだ。あいつは忍が霊界探偵をしていた頃に敵として出会い、その後は忍のパートナーとして行動を共にしていたので奴の事はわしも良く知っておる」



あやめ「彼は相手の隠れた潜在能力を見抜く力を持ち合わせていたのですか?」


コエンマ「樹は一目で見ればわかっておった。その者が持つ才能と隠れた潜在能力をな」



ぼたん「じゃあ、魔界の穴事件の仙水達に協力していた人間達はまさか?」



コエンマ「おそらくは仙水が魔界の穴事件で集めた天沼や御手洗達の能力者は樹がその才能を見つけだし忍が持つ絶大的なカリスマ性で味方につけていたのだろう」



ぼたん「才能を見抜く樹に相手を取り込むカリスマ性を持つ仙水。見事な連携プレイだね」



コエンマ「魔界で最後に話をした時に樹は仙水と静かに時を過ごすといっておったが・・わしが考えられる協力者は樹しかいない。もし本当に樹なら何を企むかわからないぞ」



コエンマは静かに目を瞑り何かを考え始めた。



あやめ「コエンマ様?」



パチッ



コエンマの目が開く。



コエンマ「ぼたん!あやめ!万が一に備えて舜潤ら特防隊に伝えてくれ。いつでも出動出来る準備をしておくようにとな。それと幽助に現段階の情報を伝えるのだ」



ぼたん・あやめ「わかりました」



コエンマ「何か大きな胸騒ぎがする」



――亜空間



スッ



樹は桑原の次元刀で斬られた顔の傷を触った。



樹「桑原、俺はお前に左目を斬られた時に俺は感じ取った。さらなる上の能力がお前に隠れているということをな」



樹の目の前に桑原が雪菜と楽しく話している姿が映し出されている。



樹「一目で全ての能力を見抜けなかったのはお前が初めてだ。お前の能力は比羅達だけでなく俺にも必要となる。それは比羅達ですら知らない事だがな」



――魔界



ピッピッピ



幽助が魔界に持って来ていた霊界との通信機が鳴り始めた。



しかし幽助は煙鬼の大統領府で借りていた部屋に忘れていたのだった。



続く
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