幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界統一トーナメントDブロックでは四試合目が始まろうとしていた。



鈴木(すずき)
×
駒形(こまがた)



上空から審判が二人を見つめる。この試合の審判はあの樹里である。



樹里(フフッ、鈴木の試合だから無理言って変わってもらっちゃった)



鈴木は目の前にいる駒形を見つめた。



鈴木(女か・・・闘いにくいな)



――メイン会場



小兎「鈴木選手と駒形選手は共に非常に容姿に優れております。美しい二人による華麗な闘いに期待が持てます」



小兎はスクリーンの鈴木の姿を見ながら考える。



小兎(樹里さんは鈴木の試合の審判が出来ていいな〜。あ〜あ、私も凍矢の試合の審判がしたい)


――Dブロック



樹里「それではDブロックの一回戦の第四試合を始めます」



駒形が鈴木に話しかけた。


(ニコッ)
駒形「鈴木さんでしたね。お手柔らかにお願いしますわね」



(ドキッ)
鈴木「あ、ああ。こちらこそ」


(うん?なんだこの感覚)



樹里(あの鈴木の顔!!なんなのあの女!!)



鈴木は駒形の笑みで頬を赤く染めていた。



樹里「も〜っ!!始め!」

(あたしあの女、嫌いだわ)


嫉妬で怒号気味の樹里の試合開始の合図の声が響き渡る。実はこの時に樹里はあるミスを犯していた。



駒形「行きますわよ」



グッ



駒形は構えた。



ダッ!!



駒形は鈴木に向かって一気に駆け出した。



駒形「ヤァァァ!!」



ブーン!!



駒形は鈴木に向かって回し蹴りを放つ。



ガシッ!



鈴木は右腕で駒形の蹴りを受け止めて防御した。



ジーン



鈴木(おおっ!?意外と蹴りに威力があるな。腕が少し痺れたぜ)



(ニコッ)
駒形「どんどん行きますわよ」



(ドキッ)
鈴木(まただ!?あの笑顔を見たら何故か変な気持になるぜ)



鈴木は駒形の笑みで一瞬、油断をした。



ビューン!!



鈴木「しまった!」



駒形は鈴木の腹部を狙ってパンチ。



ドゴッ!!



鈴木の腹部に駒形の攻撃がヒット。



ビリビリ



鈴木の腹部に駒形の攻撃で衝撃が走る。



鈴木(かなり効いた・・・)



駒形「私に手加減などはしないでくださいね」



パチッ



駒形は鈴木にウインクをした。



(キューン)
鈴木「あ、ああ」


(本当になんなんだこの感覚は??)



頬を再び真っ赤に染めた鈴木であった。



その後、鈴木は圧倒的に力の劣る駒形の連続攻撃に苦戦を強いられていた。それは駒形の仕草や笑顔に目を奪われてしまった為である。



バキッ!



駒形の強烈なストレートが鈴木の顔面にヒット。



ザザザ



顔面に一撃をくらって後ろに後ずさる鈴木。



鈴木(まさかこの感覚が恋というものなのか!?)



何かを悟った鈴木は鼻血を垂らしながら笑みを浮かべていた。



――選手達の休憩場



鈴駒「あれれ、鈴木の奴が苦戦をしてるぞ」



陣「しかもなんか顔が笑ってるみたいだな」



死々若丸「あんな相手に苦戦とはいつもの鈴木ではない。いったいどうしたんだ?」



凍矢「あれは色香だ」



陣「へっ?」



凍矢は呆れた表情でスクリーンの鈴木を見つめている。



陣「そういえばなんか今の鈴木の状況と似たような試合を以前どっかで見たような気がするんだよな〜」



陣は腕を組んで考え始めた。



死々若丸「凍矢の言う同じ色香で前の大会で敗れた奴がいたぞ」



凍矢「いたな」



陣「あっ!思い出した!!鈴駒の試合だ」



(ギクッ)
鈴駒「お、おいらかい!?」



コクッ



死々若丸と凍矢は頷く。



陣「鈴駒は流石ちゃんにメロメロになってなすすべもなく負けたんだもんな」



鈴駒「あ、あははは・・・」

(おいらってあんな感じで流石ちゃんと闘ってたのか)



死々若丸「しかし暗黒武術会以後は大人しくなっていたとはいえ、あのナルシストの鈴木が女に惚れるとはある意味革命的なことだぞ」



陣「だな。あの鈴木も自分大好き妖怪から卒業していよいよ春が来たんだな〜」


凍矢「酎に鈴駒にそれに鈴木まで俺達のまわりは何で女に弱い者ばかりなんだ」


そして凍矢達とは別の位置で壁に背中を持たれて鈴木の試合を見ている者がいた。



棗「鈴木って酎の仲間だったわよね。やっぱり普通は中々気付かないわよね」



ダッダッダ



酎「お〜い!棗さ〜ん」



Cブロックの第三試合を終えた酎が棗の所にやって来た。



棗「お疲れ。試合は見ていたわよ」



酎「あれっ?九浄は一緒じゃないのか?」



棗「九浄なら試合が終わるなり才蔵の所にいってずっと話しをしているわよ」



酎「そっか」



棗「それより酎の仲間の鈴木が苦戦しているわよ。鈴木の方が実力が上で対戦相手の駒形との力の差がかなりあったとしてもあの状態では負けるわよ」



酎「なぬー!」



チラッ



酎がスクリーンを見ると鈴木がボコボコにやられている姿が映し出されていた。


酎「なんだこりゃー!?鈴木が綺麗な姉ちゃんにボコボコにされとるではないか!」



棗「綺麗な姉ちゃんね〜。彼はどうやらあの駒形って子に恋をしたみたいね」



酎「おいおい・・・」



棗「彼があの事に気が付いたら直ぐに勝負がつくのだろうけど。でも知らない方が彼は幸せかも」



酎「ああっ?棗さんどういうことだ?」



棗「試合前にあの駒形って子を見かけた時に私はすぐに気付いたんだけどあの子は実は・・・」



棗は酎に駒形について話し始めた。



酎「何だってぇぇぇ!!」


酎の絶叫が辺り一面に響き渡る。



――Dブロック



鈴木(俺は間違いなく駒形に恋をしている)



上空で樹里が恐い表情で鈴木の試合を見つめていた。


樹里(もーっ!!何で鈴木はあんな女にデレデレしてしかもボコボコにされてるのよ)



ゴソゴソゴソ



樹里はポケットから選手のプロフィールと個人情報が載った資料を取り出した。


パラパラパラ



駒形の情報を探して資料をめくる樹里。



樹里(あ、あったわ。全く駒形って女は何者よー)



樹里は資料で駒形のプロフィールの情報を見て驚愕の声を上げた。



樹里「えーーーー!!」



――メイン会場



「なんだ?Dブロックから凄い声が聞こえてきたぞ」」



樹里は口元に付けているマイクのスイッチ切り忘れていたのだった。



――Dブロック



樹里「嘘ォォォ!!駒形ってオカマなのォォォ!!!!」



樹里の声がメイン会場と各ブロック全体に響き渡る。


――メイン会場



「おい!駒形ってオカマだとよ」



「嘘だろー!俺は女だと思っていた」



小兎「樹里さん!樹里さん!マイクのスイッチが入ってますよー!!!」



――Dブロック



樹里「あ〜しまった!?マイクのスイッチが入ったままだ!!?し、失礼しましたァァァァ!!」



カチッ



樹里は慌ててマイクのスイッチを切った。



鈴木と駒形はというと



駒形「オカマとは失礼ですわね!心は女ですわよ」



鈴木(・・・)



鈴木はうつ向いて黙り込んでいる。



駒形「鈴木さんどうしたんですの?」



ゴゴゴゴ・・・



スッ



鈴木は顔を上げると両目から大粒の涙を流していた。


駒形「うん??」



(ピキピキ)
鈴木「初めて自分以外の存在を好きになったのにそれがまさかオカマだったとは・・・」



――選手達の休憩場



凍矢「鈴木の奴がなんか泣いているようだぞ」



陣「初めて自分以外を好きになった相手が男だったもんな〜」



死々若丸「不憫だ・・・」



鈴駒「おいらは流石ちゃんを好きになってよかった」


酎はスクリーンの駒形を見て信じられないって顔をしていた。



棗「ねっ!私の言った通りでしょう?」



酎「マジかよー。本当に棗さんの言う通り駒形が男だったとは」



棗「鈴木は恋と失恋を同時に知ってしまったわね」



酎「俺は棗さんを好きになっていて良かった」



――Dブロック



駒形「鈴木さん、あなたまでオカマだなんて失礼ですわよ。私の心はれっきとした女ですわ」



鈴木「ウォォォォ!!」


ビューン!!!



駒形「へっ?」



バゴーン!!



大粒の涙を流しながら鈴木が駒形の頬に強烈なパンチで殴りつける。



ドテッ



駒形「女の子の可愛い顔をグーで殴るなんて酷いですわ」



駒形は目に涙を溜めて鈴木に文句を言う。



プチン



ゴゴゴゴ・・・



鈴木「女の子だとー!!
誰が女の顔だコラァァ!!これは試合だ!シバキ倒すぞ!!」



――選手達の休憩場



陣「なあ凍矢、鈴木の性格がなんか変わって見えないか?」



凍矢「言うな陣、鈴木の心の叫びがここまで聞こえてくる」



――Dブロック



鈴木「一つ聞くがお前は最初からそんな女性らしい顔立ちだったのか?」



駒形「違いますわよ。50年前に美容整形してこうなりましたの」



(ニャッ)
鈴木「50年前にね〜」



ゴソゴソゴソ



鈴木は腰にぶら下げている道具袋の中から小さな袋を取り出しその中身を手に取った。



鈴木「オカマ野郎、覚悟しろ!」



ブォーン!!



鈴木の姿が駒形の目の前から消え去る。



駒形「き、消えた」



ブォーン



シュタッ



そして駒形の目の前に姿を現す鈴木。



シュッ



カパッ



駒形「あがが・・・」



左手で駒形の頬を押さえて無理矢理口を開かせた。


鈴木「俺からの愛のプレゼントだ」



ピュ!ピュ!ピュ!



駒形の口の中に5個の丸く小さな錠剤のような物を放り込む。



ビューン



ドゴッ!



駒形「う・・・」



軽く駒形の腹を殴る。



ゴクン



駒形は鈴木が口に投げ入れた物を飲み込んでしまった。



駒形「鈴木さん、私に一体何を飲ましたのですの?」


鈴木「お前が飲み込んだ物は俺が前世の実を使い作り上げた錠剤だ。一錠で10年分程の時を戻す」



駒形「えっ!?」



鈴木「お前は何粒の錠剤を飲み込んだかわかるか?5粒だ。つまり50年分程の時を戻す」



駒形「50年分ということは私が美容整形をする前!?」



(ニャッ)
鈴木「そういうことだ」



シュゥゥゥゥ・・・




駒形の身体から白い煙のような物が出てきた。



駒形「いゃぁぁぁ!!!」


ドローン



駒形の姿が50年前の姿に変貌を遂げた。



そこには筋肉質の暑苦しいヒゲ面の男の姿が現れた。


駒形「うわぁ!!50年前の私の姿に戻ってる!?」



ゴゴゴゴ・・・



鈴木「お、俺はこんな男にこ、恋をしてしまっていたんだな・・・」



鈴木は再び大粒の涙を流す。



ピカー



鈴木の右腕が輝き始めた。


鈴木「これが初めて自分以外を好きになり直ぐに失恋した男の純愛パンチだァァァ!!」



ビューン!!



鈴木の純愛パンチが駒形に向かって放たれた。



駒形「ああっ!!」



ドゴーン!!



鈴木のパンチが駒形の顔面にクリーンヒット。



ピューー



ピカー



鈴木の一撃で駒形は遥か彼方で星となり消え去った。


鈴木「ウォォォ!!オカマなんか嫌いだァァ!!!」


――選手達の休憩場



酎・鈴駒(オカマを好きにならなくて良かった)



死々若丸「不憫だ・・・」



――Dブロック



鈴木「俺が優勝したらオカマ禁止の法律を作ってやる!!」



鈴木は両手を挙げて雄叫びを上げ誓ったのだった。



樹里(ホッ、駒形が男でなんか安心したわ)



そして大会は進みAブロックの七試合目が間もなく始まる。



修羅
×
鈴駒



続く
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