幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――会場へと続く道



北神と黎明は砂亜羅と接触していた。



砂亜羅「黎明、生きているのなら何故、我々の下に帰って来ない?」



北神(こいつは間違いなく黎明を知っている。一体何者だ?)



黎明「お前は私を知っているのだな!」



タッタッタ



北神「黎明待て!」



黎明は北神の静止を聞かずに必死の形相で砂亜羅に詰めよる。



黎明「教えてくれ!私は一体何者なんだ」



砂亜羅「何を言っている?私をからかっているのか?」



黎明の態度に砂亜羅は戸惑う。



北神「お前が何者なのかは知らないが黎明は自分の名前以外の記憶を全て失っている」



砂亜羅「何だと!?」



驚く砂亜羅。



黎明「私は一体何処から来たんだ?私の事を知っているなら何でもいい!教えてくれ」



黎明は砂亜羅の肩を掴み、自分の記憶の手掛かりを知る砂亜羅に真剣な表情で訴えかける。



砂亜羅「本当に記憶がないのか」



黎明「おい!」



ユサユサ



必死に砂亜羅の肩を揺する。



ドン



砂亜羅は肩を掴んでいた黎明を突き放した。



砂亜羅「離せ」



黎明(・・・!)



砂亜羅「記憶がなかったのは予想外だったが、まあいい、生きていたお前を連れて行けば比羅も喜ぶだろう」



(ピク)
北神「比羅だと!」



幽助から出発前にこれまでの事情を聞いていた北神は比羅の名前に反応した。



砂亜羅「お前、比羅の事を知っているのか?どうやら浦飯幽助か蔵馬辺りに聞いたみたいだな」



北神「ああ、幽助さんからお前達の話しは聞いている。お前は比羅の仲間か?」


砂亜羅「そうだ。そこにいる黎明も私達の仲間だ」



黎明(!)



北神「何だと!?」



砂亜羅の衝撃の言葉に北神と黎明は驚く。



砂亜羅「比羅や私達の事をお前が知っていたのは驚いたが魔界の者達に我々が来ている事をまだここで知られるわけにはいかないのでな、悪いが口を封じさせてもらう」



カチャ



砂亜羅は腰に下げていた鞘から剣を抜いた。



赤く光輝く不気味な剣。



砂亜羅「久しく血を見ていないから丁度良かった」



北神「黎明、下がっていろ」



黎明「あ、ああ・・・」



黎明は北神の言葉を聞き入れて直ぐに後ろに下がる。


北神(正直、奇淋との闘いで妖力の大半を失ったこの身体では奴とまともに闘っても恐らく勝ち目がないな・・・)



北神は冷静に自分の置かれている状況を分析していた。



砂亜羅は北神の後ろに下がった黎明に呼びかける。



砂亜羅「何をしている黎明、こっちに来い!お前は私達の仲間なのだからな」



黎明(!)



チラッ



北神は後ろにいる黎明に目をやる。



北神(黎明・・・)



黎明「私は・・・」



黎明は意外な事実を知り戸惑っていた。



砂亜羅「まあいい、この男を始末したら記憶がなくても比羅の下に無理矢理でも連れて行く」



ジジジ・・・



砂亜羅の剣先に魔光気が蓄積されていく。



北神(今はこいつから逃れて幽助さんに通信機を渡し、比羅達が魔界に来ていることを伝えねば)



北神はこの場から逃れる方法を考え始めた。



――メイン会場



小兎「あーっと!!Dブロックでは蔵馬選手が妖狐の姿に変わりました!!!これは非常に注目です」



雪菜「蔵馬さん、変身してしまいましたね」



――Dブロック



妖狐へと変貌を遂げた蔵馬。美しい銀髪を手で優しく掻き上げる。その姿は中性的で妖しい色気を醸し出していた。



電鳳「それがお前の本当の姿か?」



妖狐・蔵馬「ああ、そうだ」



ブォォォォォォォォォ!!!!!



妖狐・蔵馬は攻撃的な妖気を電鳳に向けて放出し始めた。



ピシピシ



大地に亀裂が入る。



(ニャッ)
電鳳「ほ〜う、気持がいいぐらいの攻撃的な妖気だな。坊主の友達だけはあるようだ」



妖狐・蔵馬「お前を相手にするには南野秀一の肉体では勝負にならないからな」


――選手達の休憩場



桑原「おおー!?蔵馬の奴、試合が始まるなり、妖狐の姿になりやがった」



飛影「相手が雷禅の仲間だからな、蔵馬は最初から全力で行くつもりだろう」



幽助「蔵馬、おめーの全力の力を見せてもらうぜ」



――会場近くの崖の上



比羅達は巨大スクリーンに映し出されている妖狐に変化した蔵馬の姿を見ている。



比羅「なるほど、あれが黎明を倒した蔵馬の本来の姿か」



駁「確かに凄い妖気だが、あの程度では俺の敵ではないな」



比羅「駁、奴は黎明を倒した男だ、油断は決して出来ないぞ」



(ニャッ)
駁「比羅、俺に油断があると思うか?」



比羅「フッ、ないな。お前はどんなに力が弱い者に対しても手を抜かない男だからな」



スクリーンでは蔵馬が電鳳に対して攻撃を仕掛け始めた。



駁「比羅、始まるぜ」



比羅「妖狐・蔵馬、貴様の闘いを見せてもらうぞ」


――Dブロック



カーーー!!!



ドン!!!!!!!!



地中から閃光と共に巨大なオジギソウがその姿を現した。



ギイギギー!!



不気味な鳴き声を発するオジギソウ。



電鳳「あいつの能力はどうやら植物を扱うことのようだな」



電鳳はその場から動かずに蔵馬の動きを見ている。



妖狐・蔵馬「行け」



オジギソウに電鳳への攻撃の合図。



ギイギギー!!



妖狐・蔵馬「ここは魔界だ!獰猛なお前の力を存分に発揮するがいい」



オジギソウが電鳳に勢いよく向かって行く。



電鳳「どれどれ」



ズンズンズン



巨体を揺らしながら走る。


ガシッ



電鳳はオジギソウの巨大な身体を両手で掴む。



妖狐・蔵馬「何をするつもりかは知らないが無駄だ」


キキ



オジギソウは電鳳を呑み込もうと巨大な口を開く。



電鳳「俺を呑み込んでも美味くないぞ」



ブォォォォォォォ!!!!


電鳳の身体から巨大な妖気が放出され始めた。



凄まじいまでの砂煙が辺り一面に吹き荒れる。



妖狐・蔵馬「なるほど、さっきのお返しとばかりの攻撃的な妖気だな」



ピシピシピシ



オジギソウを掴む電鳳の両手の筋肉が張り始める。



電鳳「ウォォォォォ!!!」



ボン!!!



腕の筋肉が急激に膨らんだ。



電鳳「よいしょっと」



グググ



電鳳はなんと自分の身体より数倍は大きさはあるはずのオジギソウを両手で持ち上げた。



妖狐・蔵馬「何だと!?」


ギギギ!?



妖狐・蔵馬も電鳳に持ち上げられたオジギソウも電鳳のパワーに驚く。



電鳳「ほら、くれてやるぞ」



ビューーーン!!!!



オジギソウの巨体をボールを投げるように軽々と妖狐・蔵馬に向けて投げつける。



妖狐・蔵馬「驚いたな」



バッ



ヒューーー



空中にジャンプする妖狐・蔵馬。



ズン!!!!!



オジギソウは地面に叩きつけられた。



妖狐・蔵馬「呆れたパワーだ」



パンパン



電鳳は両手を叩く。



電鳳「今のはほんの挨拶代わりだ」



シュタッ



地面に着地する妖狐・蔵馬。



妖狐・蔵馬「派手な挨拶だ」



ムクッ



ギイーーギギ!!!



地面に倒れていたオジギソウは起き上がり不気味な鳴き声を上げて電鳳を見る。


妖狐・蔵馬「中途半端な攻撃で気の荒いオジギソウに火をつけてしまったようだな」



ギイギギギ



オジギソウは電鳳に攻撃を加える為に行動を起こし始めた。



妖狐・蔵馬「完全にお前をオジギソウは敵と見なした」



冷静な目でオジギソウを見る。



ボキボキ



電鳳は手の骨の音を鳴らし、笑みを浮かべて戦闘態勢を整え始めた。



(ニャッ)
電鳳「俺もぼちぼちマジで暴れてやるか」



電鳳に対して敵外心を剥き出したオジギソウとその最強クラスの力を今まさに発揮しようとしている電鳳。


両者がぶつかりこれを気に激しい闘いが始まるのであった。



続く
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