幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界の3番地区



ここは三年前から現在の魔界の中心の場所として魔界の住人達に知れ渡っている場所である。



それは何故か?



現在の魔界の王・煙鬼を中心とした政府の委員会がこの3番地区に設けられている為である。



魔界に迷い込んだ人間を保護するパトロール隊の発足や法案等も全てこの地で制定されたのだった。



この三年に渡って魔界を治めてきた煙鬼の政権も後僅かで終焉を迎えようとしていた。



それは新たな魔界の王を決める大会が開かれる為である。そしてその大会もこの地で行われるのであった。


二人の男がこの地に到着した。



「ようやく着きましたね」


「ああ、ここまで人間界を出てからずっと走りっぱなしだったからな」



二人の男とは人間界から魔界に旅立った浦飯幽助と蔵馬であった。彼等は魔界の王である煙鬼に会う為にこの3番地区を訪れていたのだった。



幽助「魔界での主な情報のほとんどが煙鬼におっさんの所に入って来ているはずだ。桑原の情報もおっさんのとこに入っているかも知れねー」



蔵馬「黄泉に桑原君の事を頼んでいたけど彼の情報を早急に得るならまずはここに来るのがベストだからね」



幽助「一応、魔界に向かう直前におっさんに魔界との直通の電話で桑原達の事を聞いたけどまだ情報は入っていなかったぜ」



蔵馬「あの時は桑原君達が魔界に飛ばされてからまだ時間はそんなにたっていなかったからな。俺達が人間界を出てから丸一日以上は立っているから少しは動きがあるかも知れない」



幽助「そうだな。パトロール隊によって桑原達があれから見つかっていたらいいけどな」



蔵馬「魔界で生活している前大会の敗者でパトロール隊は組織されている。基本的に優秀な者達の集まりだから煙鬼の桑原君達の捜索の指示が魔界全土のパトロール隊の全てに知れ渡るより先に桑原君達は見つかると思うよ」



(ニッ)
幽助「あいつは霊気がかなり高いし色々と目立つ奴だからな、意外と早く見つかっているかも知れねーな」


(ニコッ)
蔵馬「そうかもね」



幽助「蔵馬、とりあえずおっさんのいる大統領府にいくぜ。距離的に残り半日ぐらいだ。もうひと頑張りだぜ」



蔵馬「ああ」



幽助と蔵馬は煙鬼のいる3番地区の中心地にある大統領府に向かって走り始めた。



――その頃、大統領府では


「煙鬼様、大会の準備が一通り完了致しました」



煙鬼「そうか、完了したか」



煙鬼は大統領府の中の一室に煙鬼の大きな身体と同じ大きさの机と椅子を置き、そこで魔界を統べる王としての実務をこなしていた。その傍らには煙鬼の妻の孤光もいた。



「それでは失礼します」



煙鬼「うむ。ご苦労さん」


煙鬼の表情は王としての威厳を保っていた。



礼儀正しい真面目そうな一つ目の妖怪は煙鬼に一礼をして部屋を後にした。



煙鬼「ふう〜、やれやれだ」



ぐて〜



煙鬼「孤光〜〜」



煙鬼は一つ目の妖怪が部屋を後にして姿が見えなくなると机の上に顎をのせて急にだらけた表情となる



孤光「やれやれ、だらしがないわね」



その姿は先程までの魔界の王として威厳を保っていた姿から想像出来ないものだった。



(ニッ)
孤光「しかし、三年も王をやっていてもあんたは結局王という立場に最後まで慣れなかったよね」



煙鬼「ははは、わしは国の指導者にはむかないみたいだ。呑気な田舎暮らしが長かったからな。ここでの生活は結構疲れるぞ」



孤光「仮にも魔界を治めている指導者なのだからみんなの前ではある程度ちゃんとした姿をしておく必要があるからね」



煙鬼「だからお前や気心が知れた連中以外では一応、ちゃんとしているつもりだぞ」



(ニャッ)
孤光「フフッ、しかしあんたのこのだらけた顔は他の人に見せられないよ」



(ニコッ)
煙鬼「まったくだ」



煙鬼・孤光「ははは」



二人は楽しそうに笑い声を上げた。



「お前達は相変わらず仲がいいな」



ブォーン



シュタッ



煙鬼と孤光の前に背中に羽が生えた一人の男が姿を現した。



孤光「あっ、才蔵」



煙鬼「才蔵、久しぶりじゃあないか!」



才蔵「久しぶりだな。大会も近いことだしパトロールの帰りにお前達に一度会っておこうと思ってな」



――才蔵とは煙鬼や孤光、そして棗達と同じく幽助の遺伝上の父親にあたる雷禅の昔の喧嘩仲間の一人で前回の魔界統一トーナメントでは決勝で煙鬼と優勝をかけて闘った魔界でも屈指の力を持つ最強の妖怪の一人である。



才蔵「しかし、お前も魔界の王として三年間もご苦労だったな」



煙鬼「わしら妖怪にとっての三年は大した時間ではないのだが、この三年は凄く長く感じたぞ」



才蔵「お前が魔界の王として苦労している姿を見ると決勝戦でお前に勝たなくて良かったよ」



煙鬼「ははは、王は本当に大変だぞ。なんとかこの三年間は魔界に大きな混乱もなく無事に勤めてこれたよ」



才蔵「お前の治世の間、魔界が一つにまとまって混乱もなく一定の秩序と平和をもたらしていたんだ。俺は本当に良くやったと思うぞ」



チラッ



才蔵は孤光の方を見た。



孤光「才蔵、どうした?」


(ニッ)
才蔵「しかし煙鬼、お前が上手くやってこれたのも影でしっかりっと支えてくれた、この妻の孤光のおかげだ。孤光に感謝するんだな」


煙鬼「そうだな、孤光には本当に感謝している」



孤光「馬鹿、何をいっているんだい。あたしは特になんにもしていないよ。一応こいつが旦那だからついてきたまでさ」



少し照れた顔で孤光は答える。



才蔵「フッ、しかし人間の女に惚れた雷禅にお前が振られて煙鬼と一緒になった時はみんな驚いたぜ」



孤光「あんときは本当に泣いたよ。もう勢いにまかせてやけっぱちでこいつと一緒になったんだけどね」



煙鬼「おいおい」



煙鬼は苦笑いを浮かべた。


チラッ



孤光は煙鬼を見た。



孤光「まぁ、きっかけがどうあれ今は凄くあたしを大事にしてくれているあんたと一緒になれてよかったって心から思っているけどね」



煙鬼「孤光〜〜」



煙鬼は、なんともいえない嬉しそうな声をあげた。



才蔵「しかし孤光、もし万が一雷禅と一緒になっていたらあの男のことだ、きっとお前は色々と苦労していたと思うぞ」



孤光「そうかもね、でもあたしは雷禅の持つあの独特の不思議な魅力に惚れていたんだけどね」



才蔵「この煙鬼や俺、ここにいない他の仲間達もあいつの不思議な魅力に惚れこんでいたんだよ」



(ニャッ)
煙鬼「そういえば、一人だけあいつに似た男がいるな」



才蔵「ああ」



孤光「あいつと一緒になるかも知れない女はあいつは雷禅にそっくりな男だから色々と苦労するだろうね」


――大統領府に走って向かっていた幽助。



幽助「はっくしょん!!」


ピタッ



幽助は走っていた足を止めて指で鼻をこすった。



幽助「これは・・・」



――人間界・雪村邸



螢子「くしゅん」



螢子の母「あらあら、風邪かい?」



螢子「あれ、変だな?」



螢子は、鼻を指でこすった。



螢子「もしかして・・・」



――魔界



幽助「螢子が」



――人間界



螢子「幽助が」



――魔界・人間界



幽助・螢子「絶対に悪口をいってる」



――大統領府



煙鬼達が楽しく談笑していたその時。



コンコン



煙鬼達のいる部屋を外からノックする音が聞こえてくる。



煙鬼「入っていいぞ」



煙鬼は今までだらけていた表情をやめて表情を引き締める。



孤光・才蔵(このギャップがいつ見ても面白い)



「失礼します」



先程の真面目そうな一つ目の妖怪が入ってきた。



煙鬼「どうしたんだ?」



「煙鬼様にお客様です」



煙鬼「客か、才蔵に続いて今度は誰だろうな?」


孤光「さあね〜、せっかくだからここに通したら?」


煙鬼「そうだな。おい、通してもいいぞ」



「わかりました」



一つ目の妖怪は客を連れて来る為に部屋を後にした。



才蔵「今度は誰だろうな?」



(ニッ)
孤光「周か鉄山とかだったりしてね」



コンコン



煙鬼「入っていいぞ」



一つ目の妖怪が部屋に入ってくる。



「失礼します。お客様をお連れしました」



一つ目の妖怪がそういうと一人の男が部屋に入って来た。



煙鬼「あっ、お前さんは!」



才蔵(珍しい客だな)



孤光「黄泉」



(ニャッ)
黄泉「久しぶりだな。ちょっと聞きたいことがあってここに来た」



人間界から幽助達より一足先に魔界に戻っていた黄泉。その黄泉が突然、煙鬼の住む大統領府にその姿を現したのだった。



続く
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